Boy1

鮪トオル

7月24日

人を殺めたいと思います


トロッコが大変な速度で進んできました。目の前のレバーを押せば、ここから50メートルほど離れたところの作業員を殺められる。出来すぎたチャンス。レバーに触れなければこのままトロッコは進んでいき、30メートルのところの3人が轢かれてしまう。3人の事故死と1人の殺人、どっちが満足感を得られるだろうか。決まってる、1人の殺人だ。いや、待て、見殺しも殺人にカウントするべきか?法律どうこうじゃなくて、オイラが一番楽しい奴だ。どっちも捨て難くなってきた。3見殺しと1殺しは同等と気付いてしまった。贅沢な悩みだが、時間がない。最適解を出そう。

 よし。


少年は結局、一度レバーを押して、そして、レバーを引いた。


「レバーを引くんだ。レバーを轢かせるために。なんつって。」


トロッコはまだ止まらない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Boy1 鮪トオル @ace61swiss

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ