暖かい食卓

恵美は、作っていた夕食を皆に振る舞ってくれた。

食卓には、たくさんの料理が並べられていた。

ロールパン、ポテトサラダ、ステーキ、ハンバーガーやステーキ、サンドイッチにスコーン、クッキー、おにぎりや肉じゃが、カレー、ポトフなどまるで、高級ホテルのディナーのフルコースだ。

「きゃあ、カベルネソーヴィニヨンの赤ワインじゃない。オーストラリアの高価な奴だわ」

ワインが大好きな由香里は瞳を輝かせて言った。

恵美の話だとワインセラーが建物の奥にあり、カベルネやボルドーなど

有名なワインがずらりと並んでいた。和洋折衷、いや、中華にトルコ、アラビア料理などたくさんのご馳走が、見るだけで舌がうなる。

六人は好きな席に付いて手を合わせて食べる。なぜなら、ここに来て半日近く食べていなかったからだ。ちなみに恵美は本職は、

「帝国ホテルの女性シェフ!!すっげー」

「凄い」

「マジでか?」

実家が祖父母の代からの郊外にあるカフェなので、恵美も両親に幼い頃から料理を教わった。祖父母も両親も料理人ではなく恵美には普通の女の子として、料理は趣味にしてほしいと思っていたが、恵美は高校生になると友人たちと町の若者に人気なハンバーガーショップのアルバイトを始めた。観光客にも人気があり、たくさんの雑誌やグルメ番組にも取り上げられて恵美と友人たちも「美少女店員'S」として有名になった。

料理は人を幸せにする鍵だと考えた恵美は高校卒業後は調理師専門学校で技術を学び、祖父母やバーガーショップの店長のツテで帝国ホテルの女性コックになった。

たくさんのシェフから味を盗み、古今東西の料理をマスターした。和食、中華にフランス、トルコ料理、さらにはアラビアやイタリア料理など幅広く引き出しを創った。

「恵美さんなら、レストランしても絶対に人気が出るよ」

由香里と敦子が称賛する。

「私が都内に住んでいた時、よく行っていた六本木や麻布の高級ホテルのレストランやラウンジ、カフェで食べたコースの料理だよ」

流石は港女子だっただけある高級感を感じると、まことたつは尊敬した。

田舎育ちだから、六本木や港区と耳にしたら、まさに人生の勝ち組みたいな気持ちになる。丸の内や新宿のオフィス勤めなんて聞くとエリート感がある。

由香里もリンクも敦子、恵美も経歴が凄いと思った。

食事の後、他のみんなが寝静まった時、由香里は窓の外を眺める。

「この町に来てから、自然と心から笑えるようになったな」

リンクが近寄り優しく抱き締めてくれた。

「うん、真心くんや敦子さんたちと出逢えて心から嬉しいの、ここに来るまであった侮辱され、裏切られ、傷付けられた毎日が、思い出したくないあの時間が忘れられるの┅」

「俺もだよ」

「リンク、私、ここの住人になりたい」






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