逃避行の果ての答え

降り続く集中豪雨、やがて、風も強くなり台風のようになった。海沿いの道路を走る赤いポルシェ。

二人の心はこのまま暗い海に引き込まれてしまいそうだった。やがて、リンクは近くの建物に気付き、中に入っていた。駐車場らしいところに車を停めて二人はそこに足を踏み入れた。

ホテルだったようだが、廃業したのか内装はボロボロだった。ロビーだった場所を通り抜けて奥へ進む。すると庭園だったのか彫刻や花壇、アーチがあった。由香里はリンクの手を強く握り締めて彼も返すように強く握ってくれた。

そして……

「うぅうわーん」

由香里とリンクは雨に打たれて、大声で泣いた。

何も出来ない無力な自分たちを呪い、侮辱されて悔しさと悲しさで心が引き裂かれそうだった。

「リンク、私たち、これからどうすればいいの、どこにむかえばいいの?」

リンクは何も答えられなかった。

なぜなら、彼も絶望の淵から奈落の底の底まで突き落とされたからだ。何よりも一番辛いのは愛する人に何も出来ないの自分が情けなかったからだ。

やがて、少しづつ冷静さを取り戻した二人は前を、辺りを視界に戻した。自分たちにはまだ出来ることがあるハズだ。このまま、子供みたいに泣いて終わるなんてしたくない。

二人で顔を見合わせて、再び出口に向かい歩き始める。

「あれ、雨があがっている」

天気予報では一日雨になっていたのに、綺麗な青空が広がり、涼しく心地のよい風が吹いている。

だが、廃墟に入ったのがほんの十五分ぐらい前なのに雨が止むのか不思議に思った。

「いいじゃないか、神様が前に進めるようにプレゼントしてくれたのかもな」

「そうだね」

由香里とリンクは再び手を握り前に進んだ。




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