十七夜  異世界の真実

六人は、午前中に町を散策した後、午後は塔の部屋を掃除して居住区にし、広場から海釣りをする予定だ。

下の町はまだ、全部見たわけではないが木と紙で出来た建物、屋根には石か煉瓦のように硬い物が規則正しく並べられている。

「ここから見ても、あの町はどうやって作られたのかがわからないよな。なんで、木造ならキャンプ場や山小屋みたいなログハウスみたいに作らなかったのかな」

「わからない。もしかして、塔は王様やお妃様みたいな統治者が住み、町は領民が暮らしていのかもな」

塔を眺めて話すラッシェオとピース、ティアは何か気がかりなことがあった。

この町、どこかで見た記憶があるのだ。

町に降りる六人…

生態系反応、微生物探知機など町全体を調べたが、やはり何も反応しない。

人の気配も動物すらない。

ここはどこなのか┅?

家を一軒一軒回って調べようとしたが、数が多くしらみつぶしに探しても手間がかかる。それに、もしも何か対侵入者の罠にかかっても恐ろしいので、途中で断念した。

「まったくわからないな。あれだけ探しても、何も手がかり一つ無いなんて、弱ったな┅」

ラッシェオが手書きしたメモを見直して、塔と町の配置を見てクロスワードみたく解こうとしていた。彼は数学や理科、科学は苦手だが地図記号や文字の並びを見るのは好きなので何かヒントがないか調べている。しかし、暗礁に乗り上げてしまったようだ。

すると、彼の前からメモが消えた。

「あっ」

「もう、石頭になってどうするの!!」

ルルが彼に喝を入れる。

「ルル…」

「あなたは、昨夜言ったじゃない。これは、私たちとお父さんとお母さん、おっちゃんとおばちゃんに、宿題も補習もクラブもない。誰にも壊せない本当の青春ナツヤスミだって、だから、そんな難しい顔しないで、謎解きのゲームをする気持ちでしようよ。っね」

大好きな彼女の言葉に、そうだったと思い出させられた。

自分は昨夜の大切な考えを忘れていた。

そうだ。遭難したのではなく、今は何もない異世界ではなく新世界を探検しているのだ。

「見つけようよ。私達だけの居場所を」

新しい発見をしよう。

「そうだな。楽しみも作るか」

楽しみを、誰にも自慢出来る楽しみを作ろう。

両親たちは、そ逆境をものともしないポジション思考に互いを思いやる真実の愛には感動させられた。なぜなら、小さな夫婦はこの世界で一歩と成長しているからだ。

身体ではないが、心の方は家や学校や町にいた頃よりも成長している。

その時だった。

六人の視界がぼやけた。

「うわ、何だ?」

「何、何が起こったの?」

突然の出来事に全員が驚いていた。この衝撃はいったい…?

「え、これは」

目を開けるとそこには…

「嘘だろう…?」

「何よ。これ…?」

そこには、さっきまで頭上にそびえ立っていた塔がなかった。

そして、誰もいない町に、

「人だ」

「人や動物がいる」

















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