六夜 永遠に続く夜
全員が一斉に声を上げた
「空っぽ!!!」
箱の中には古文書や宝石などが入っているのかと思いきや何もなかった。
中身のないただの空き箱だった。
「アハハハハハ」
「貴重な宝物があるのかと思いきや何もないなんて…アハハ」
「期待外れだったな」
「宝石のひとつでもあればよかったけど、一本取られたな」
「本当ね」
「まあ、貴重品なら公園を管理している州警察か自然保護局に届けるけどな」
大爆笑する六人、とりあえず、箱は今度キャンプ場などを管理する保護局に届けることにし、車の中に保管することにした。
夜、昨夜と同じようにバーベキューをする。
ピースが魚をプロのシェフのように捌き、ラッシェオが横で手伝う。
「父さん、出来た」
「おお、キャンプ前に練習したかいがあったな。ルルちゃんに美味しい魚を食べさせてあげたいなんて言っていたが、実行出来たな」
「ありがとう」
「はは、うちのルルのために、嬉しいものだ。ラッシェオくんは優しいな」
好きな人のパパに褒められて、ラッシェオは感激し、心の中で、
(よっしゃ、フーガおじさんに認めてもらったぜ)
ガッツポーズをした。
「お母さん、これでいい?」
「いいわ。家で練習した甲斐があったわね。上手よ」
ルルは、お肉を手際よく切っているが彼女も家でティアと練習していたのだ。
「本当よ。ルルちゃん、今すぐにでもラッシェオのお嫁さんになれるわ」
ユリの一言に、ルルは顔を真っ赤にした。
「きゃあ」
「こら、集中しないと危ないわよ」
大好きな男性の母に認めてもらえたと思った。だからこそ、興奮を隠せなかった。
(私、おばちゃんに認めてもらった。やった!!!)
これほど、嬉しいことは無いだろう。キャンプが終わっても料理や掃除はもっと修行しようと決意した。
串に刺した肉や魚、野菜が焼けた。
「よし、焼けたぞ」
「食べましょう」
「いただきます」
ラッシェオが捌いた魚、ルルが食べやすく切ったお肉と母たちが味付けした野菜、父たちの作った特製ソースと力加減で焼いて作れたバーベキューは最高の味が六人の口の中に広がった。
「うめえー」
「美味しい」
ラッシェオとルルが大声を出して笑う。母たちが「こら、お行儀が悪いわよ」と笑いながら注意し、父たちはビールやカクテル片手に笑う。
昨夜と同じようにダンスをするのかと思いきや、今夜は思考を凝らして、
「ファッションショーをしよう、しようぜ」
フーガとピースの提案で、持ってきている夏服や水着などを魅せ合うことにした。
それでは、記念すべき一番手は、くじ引きで順番を決める。
「一番は、フーガだ」
「私か、よし」
「お父さん、頑張って」
「あなた、しっかり」
「フーガおじさん、GO、GO」
妻子と未来の婿が囃し立てる。
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