第1話
「二人ともありがとね!いい写真が撮れたよ!」
「こちらこそありがとうございました!」
「ありがとうございました」
ある日、街中を歩いていると、何やら声をかけられた。
一瞬、俺がいるのにメリィちゃんにナンパとはいい度胸じゃごら。マリアナ海溝に沈めるぞ?とか思ったが、まぁそもそも女だったし。
んで、話を聞いてみると、何やらこの建物で4月から結婚式を上げれるらしく、夫婦役のモデルを探しているのだとか。ホームページとか、雑誌とかで大々的に宣伝するらしく、お嫁さんがとても綺麗な人を探しているとのこと。
まぁ、メリィちゃんに目をつけたことは褒めてあげよう。メリィちゃんは日本………いや、世界一可愛いからな。
そして、メリィちゃんも意外とやる気なために、30分くらい写真撮られた。
いやぁ……綺麗だったなぁ。うん。もう語彙力が崩壊するくらい綺麗だった。それ見れただけで今日もう幸せなんだが。
「本当にありがとうね!写真は後で送っとくから!」
カメラマンのお姉さんに手を振ってから歩き出した。ちなみに独身らしい。あの人美人なのに……。
「楽しかったね!」
メリィちゃんが興奮冷めやらぬという感じで腕に引っ付いてくる。可愛い。
「可愛い」
「にゅ!?ちょ、ちょっと!みぃくん!?」
おっと、ついつい本音が出てしまった。一瞬で頬を赤くさせるメリィちゃん。
うーん。可愛い。
「……ん?ごめん、なんかメールきた」
ポケットに入れていたスマホから振動がしたので、取り出して、メールを見てみる。
「………うん」
メールの内容を見てから画面を消す。なるほど、出来たのか。
「なんだったの?」
「在原からだったよ。バレンタインデートなうって写真が送られてきた」
世間は既にバレンタイン。聖ヴァレンチヌスがどうたらかんたらが由来のリア充御用達デー。
しかも、今日はあんまり強くない雪も降っており、めちゃくちゃロマンスのあるホワイトバレンタインである。
「在原くん………私達も送っちゃえ送っちゃえ!」
ラブラブ度はこっちの方が上なんだよ!と言いながら、メリィちゃんがスマホを出して、ピッタリと体を寄せる。おう、メリィちゃんの非常に柔らかいものが押し付けられて……。
ちなみに、在原から来ていたのと言うのも本当である。
あれから、ただ目的もなくブラブラと街をさまよい歩き、夜になった。デートスポットとして有名な、イルミネーションが綺麗に彩られている通りで、そこら辺にあるベンチで座ってそれを眺めていた。
「うわぁ……綺麗……」
こいうい時、キザな主人公だったら君の方が綺麗だよとかなんとか言うかもしれんが、今は黙って、この空気を二人で感じておく。そこに、野暮な言葉なんて必要ない。
「……ねぇ、メリィちゃん」
「……ん?」
三分くらい、黙ってその景色を眺めたところで、メリィちゃんに声をかける。
「……俺さ、メリィちゃんに渡したいものがあるんだ」
「………え?」
ぱちぱちと目を二回ほど瞬きをし、ポケットから箱を取り出す。
「………ぇ」
その正体に気づいたメリィちゃんは、小さく、吐息とともに声を出した。
パカッと箱を開けると、そこには俺が一ヶ月前から準備をしていた指輪がそこにあった。
「……え、いつの間に……」
「メリィちゃんがトイレに行っている間にダッシュで」
たまたまトイレが宝石店の近くで本当に良かった。ダッシュで行って秒で受け取ってきたから。
「………うけとってくれる?俺からの婚約指輪」
「………はいっ」
震える声を押しとどめながら、右手を差し出すメリィちゃん。俺は、ゆっくりと
「……ラピスラズリの宝石言葉は、建康、愛、そして永遠の誓い。俺は、これからも一生、メリィちゃんを愛することを、この瑠璃色の宝石に誓うよ」
きらりと、イルミネーションの光を受けて輝く瑠璃色の宝石。調べて調べて調べまくって、悩んだ末に、この宝石にした。
ダイヤモンドでも良かったのだが、でも、彼女目と似た色の方がいいと、俺は思ったのだ。まぁメリィちゃんの瞳は碧色ですが。
「……嬉しい!」
「おっ、と」
カバっ!と抱きついてくるメリィちゃん、そして、そのままの勢いでキスを交わす。
「んっ………」
確かめ合うように。何度も何度も、触れたり、離れたりと唇を啄むようにバードキスを交わす。
「……私、もうみぃくん以外見えないから」
「……うん、俺もだよ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ラピスラズリって和名で瑠璃っていうんだへー!と調べた時に思いました。
そろそろ最終話までカウントダウンが始まります。
最終話まで、多分後14話くらい(作者の都合により前後したりします)
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