第6話
新年になりました。今日も今日とてコタツでぬくぬくと過ごしている俺たちは、父さんたちの親戚から頂いたチョコを食べようとしていた。
「……と言ってもなんて書かれているか分からんのだが……」
箱の包み紙的なあれには、多分この商品についての事が書かれているのだろうが、何語かそもそも分からない。
メリィちゃんがビリビリー!と包み紙を剥がして、箱を開ける。そこには、キャンディが入ってる両端を引っ張って開けるタイプのチョコとなっていた。
「…………これ、チョコの中に酒入ってるタイプのやつじゃね?」
「そうなの?」
「いや……分からないけど多分……」
なんかこれ、小さい時に間違えて食べて、ちょっと美味しくなかったからペっ!て吐き出した記憶があるのだが。
「え、じゃあ私たちこれ食べれないの?」
「いや、多分料理酒とかとカテゴライズすると同じ所になるから多分大丈夫」
と、1つ開けて口の中に放り込む。ふむ、やっぱ俺はちょっと苦手だな。
「酔ったりとかしないかな」
「そんな酔うほど入ってないと思うし、大丈夫だと思うよ」
「へー……いただきます」
そして、パクっと口の中にメリィちゃんはチョコを入れた。そして、美味しい!と言って食べる。
成分表示を見てみると、なんか1パーセントって書かれているような気がする。まぁ数字だけなので恐らくなのだが。
まぁ、この程度で酔っ払う人なんて流石に居ないでしょ。確かどっかのラブコメ漫画ではこの酒入りチョコを食べて、酔っ払って、ヒロイン全員が主人公の唇を奪いに行くシーンがあったが。
さて、とりあえず口直しにジュースでも持ってーーーーーー
「ーーーーみーくん」
ーーーーん?
立ち上がろうとした俺の袖をクイクイっと引っ張るメリィちゃん。しかし、なんださっきの可愛い呼び方は。俺を尊死させるつもりなのかしらん?(手遅れ)
……しかし、なんか違和感があったぞ。なんか小さい『い』が抜けていたような気がーーーーー
「みーくん!!」
「うおっ!?」
ドン!と強い衝撃で俺に抱きついてくるメリィちゃん。もちろんしっかりと受け止めたうえで背中から地面へと倒れ込んだ。
「みーくん……みーくん!」
「はいはい、みぃくんですよ」
なんだ?なんだ?一体何がメリィちゃんをこうして…………………。
………………………………………。
え、酔ってる?
メリィちゃんを見ると、その顔は少しだけ上気しており、なんか目が心なしか少しだけとろーんとしているように見える。
………なるほど、これがフラグ回収というやつか。いやー、遂に俺も第1級フラグ建築士の才能が………嬉しくねぇな、あんまり。
「みーくん………うふふ……みーぃーくーん」
「…………………」
ま、可愛いので全てよし!
とりあえずコタツに座り直すと、いつもなベストプレイスである俺にもたれ掛かるように座るメリィちゃん。いつもと違うことがあるとすれば、酔ってることと、真正面から抱きついていること。
もうね、メリィちゃんが可愛すぎてやばいのよ。俺の心臓破裂しそうでやばい。語彙力が吹っ飛んでしまう。
残念ながら、今のメリィちゃんの可愛さを伝えるための語彙力が俺には足りていないようだ。
「ねぇ、みーくん」
「ん?」
胸にすりすりと甘えるように顔を押し付けるのをやめ、酒でうるうるとなっている。
とくん、と心臓がはねた。何故か知らんが、俺の生唾を飲む音がひどく大きく聞こえた。
「私………もう我慢できないよ……」
「………え?」
その顔は、何故か少しだけ泣き出しそうな顔になっている。
「私………早くみぃくんと結婚したいよぉ………」
「……………………」
部屋の時間が止まる。ついでに俺の時間も止まる。
………そっかぁ……メリィちゃん、早く俺と結婚したいのかぁ……そこまで俺の事好きなのかぁ………嬉しいなぁ……。
「………スゥー」
俺は一度大きく息を吸った。
んんんんんん年齢制限っ!!!
「ガッッッッッデム!!!」
俺は何故今結婚出来ないかを酷く神……いや、政府を恨んだ。
皆さんご存知のとおり、日本での結婚できる年齢は、男子が18歳。そして、女子が16歳である。
ぶっちゃけ偏見なのだが大体結婚する人って20後半とか30代位の人が多くない?っていう純粋な疑問。
とまぁその話は一旦置いておくが………そう、男子が結婚できるのは18歳である。
はい、さて問題です。俺の年齢はいくつでしょうか………はい、正解は17歳です。そう、17歳……………。
「あと1つ歳が足りねぇ………!」
デデドン!という効果音がつきそうなほど落ち込む俺。恨むぞ政府……どうせなら男子も16にするか女子を18に上げろこのやろー!!
その後、頑張って結婚したい結婚したい言うメリィちゃんを何とかなだめた。
じゃあ私が今すぐみぃくんと結婚するために法律変えてくるって言った時はマジで焦った。多分法律変えるより俺の誕生日待つ方が早いよ…?
だって俺、誕生日4月ですし……。
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