第2話
「みぃくん!回復お願い!」
「了解っす!」
12月23日。クリスマスイブの前日にて、俺とメリィちゃんは今殺戮兵器僕達のフヨさん、コージさんと即席四人組パーティーを作り、現在、スティックヒューマン・オンラインにて、12月20日から1月7日まである、探索型ダンジョンである『サンダリアン迷宮』というクリスマス限定ダンジョンに挑んでいる。
今回のイベントはいつものような攻略ではなく、何年か前に夏休み期間中にあった『ノアの方舟』と同じような感じでボスは倒さないで、時間内にどれだけアイテムを集めきれるかと言う内容になっている。
そして、このダンジョン限定アイテム『サンダの落し物』というアイテムをどれだけ集めたかによってレアアイテムが貰える確率が増えるという内容である。
ちなみに、サンタではなく、サンダである。
しかもまれにこのサンダがレア敵としてこのダンジョン内に出没することが分かっている。見た目は赤い服を来て、赤い帽子を被った白髭がたくましいおっさんである。
全スティックヒューマンプレイヤーが「いやサンタやん!」と見た時に突っ込んだと思う。だがしかし、こいつの名前はサンダである。
ちなみに、このダンジョンの時間制限は15分なのだが、今までこのサンダの落し物を一番多く集めたのが、俺、メリィちゃん、ハナミさん、そしてカリンさんの四人で行った時の80個である。
このサンダの落し物は、サンダリアン迷宮をさまよっている時に遭遇する特定の敵を倒すことによって手に入り、しかも確定で落とすので、基本は30個以上は確実に手に入る。そこからどうやって伸ばしていくかが鍵である。
「おらおらおら!!」
フヨさんが元気よく敵に突貫していく。棒人間の手にはキラリと光る、俺の真祖の剣とは別ベクトルの赤い色の剣が握られている。
あれは、フヨさんが白亜の迷宮攻略時に手に入れたユニークアイテム『レーヴァテイン』である。敵攻撃時に火傷効果を付与し、敵火傷時に攻撃力二倍というめちゃくちゃやべぇ能力を持っている。
俺の真祖の剣は血の色のような赤色だが、フヨさんのレーヴァテインは炎のように真っ赤でカッコイイ。後、ちゃんと火が出るエフェクトカッコイイ。
俺の真祖の剣は斬ると血が吹き出る演出だからな。ちょっとグロいのよ。設定で無くせることに気づいた時はありがたかった。
ちらりと残り時間を見る。後残り三分……最速でサンダの落し物を落とす『サンダのトナカイ』は最速で7~8くらいかな。
……よし。
「メリィちゃん、ユニーク解放しよう」
「分かった!」
なぜ最初から使わなかったのかはパーティーバランスを考慮したためである。このダンジョンでは、初心者でも入れるように難易度が設定してあり、イージー、ノーマル、ハード、エクストラと四段階に別れておりそれぞれの適正レベルが
イージー:レベル1~
ノーマル:レベル30~
ハード:レベル70~
エクストラ:レベル150~
となっている。つまり、考え無しでエクストラなんて行こうものなら普通に負ける。だから前衛二人、中衛一人、後衛一人のベーシックな構成で行っている。
ハナミさん達と行った時は最初からユニーク全開で行ったけど。
けれど、それはユニーク持ちが四人いたから出来た暴挙である。実際何度も死にかけたし、エーテルも10個くらい使ったし。
もう二度とやりたくはないかな。
「フヨさん!コージさん!今から俺達もトナカイ狩りします!回復は自分たちでお願いします!」
「おっけー!」
「分かった!」
フヨさんがレーヴァテイン限定スキルである『ムスペルヘイム』で周りの敵を一掃する。狩り漏らした敵を俺が真祖の剣でバッタバッタと倒していき、攻撃力を上げていく。
俺らも攻撃に加わったため、サンダの落し物回収が二倍の速度になる。残り30秒時点であれから11個ほど集まった。
時間的に次の部屋でラスト。移動時間も考えると後2体程だろうか。
部屋に入る。敵が
「「「「サンダァァァァァ!!」」」」
残り時間ギリギリでレア敵であるサンダ登場。立派な白ひげを撫で、フォッフォッフォッという声が聞こえる。
絶対に倒す。あいつを倒せばサンダの落し物が10個手に入る上、一個確定でレアアイテム枠が準備される。
まず、フヨさんが限定スキルのヘルスラッシュで黒い炎を纏いながらサンダに攻撃を当てる。次にメリィちゃんが異界の槍で普通に攻撃を当てて、状態異常に。コージさんが相手を
残り時間は五秒。そして、最後に俺が真祖の剣限定スキル。最強の高速12連撃である『デッドリーバイト』でHPを削り切る。
瞬間に画面が固まり、Time Up!の文字が出てきた。
心臓がドキドキする。あれってちゃんと倒せたことになんのか?
結果発表画面に移る。サンダの落し物合計は………64個。
「はぁぁぁぁぁ」
良かったぁ……ちゃんと倒したことになってたぁ……。
ちなみに確定レア枠はカドケウスだった。寄りにもよってダブり………。
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