第1話

「……雪」


 季節はめぐり、12月18日。いつものようにメリィちゃんとデートをしていると、予報通りの雪が降った。


「わわっ、本当に降ってきた……傘持ってきてて正解だったね」


「うん」


 ひとつしか持って来ていない傘をさして、二人でひとつの傘に。周りを見ると、俺たちの同じようにカップル同士で相合傘をしている光景が多く見える。


「………もうすぐ今年も終わりか」


「なんか早かったね」


 5月に初めてメリィちゃんと会ってからもう7ヶ月も過ぎたのか………なんでだろうな。めちゃくちゃ体感速度が早く感じる。


 ちなみにだが、歳をとる事に体感速度が早く感じる現象のことを『ジャネーの法則』というらしい。中学の時に、校長室の掃除の時にわざわざ調べてくれたことを教えてくれた。


 いやぁ、本当にいい校長先生だったなぁ。卓球部の時にめちゃくちゃ媚び売ってて良かったよ。卓球マシーン貰えたし。


 おっと、脱線したな。


 今日俺たちが買い物兼デートの理由は、クリスマスの一週間前になったので、クリスマスケーキの予約をするためである。


 学校も三日後から冬休みだし、そうなったらもっとメリィちゃんと一緒にいる時間が増える。なにそれ天国。


 クリスマスか……聖なる夜じゃなくて性なる夜になりそうだな。ベッドがアンアンキシムサウンドになるなこれは。


「……あ、今みぃくんえっちなこと考えたでしょ」


 傘を持っている右手を優しく抓るメリィちゃん。なぜ分かった。


「分かるよ、みぃくんのことなら、なんでも!」


「じゃあ俺が今何したいか分かる?」


「ん………」


 立ち止まり、片目を閉じてウインクした後に唇をちょんちょんとして「キスちょーだい」と可愛らしくアピールをするメリィちゃん。


 俺は傘を少し後ろに逸らし、後ろから俺たちが見えないようにしてから二秒ほどキスをした。


「んふふー。満足!」


「それはなにより」


 朗らかに笑うメリィちゃんを見て、俺も自然と笑顔になる。


 もう今年は特にイベント事はないので、早めに冬休みの課題を終わらせたら後はのんびりメリィちゃんとゆったりイチャイチャするだけ。


「ゆきだるまつくーろ!」


「今日は積もらないよ」


 やけにハイテンションで笑うメリィちゃんと、まだまだ隣を歩んでいける。


 そんな今の日常が、とても嬉しく、とても幸せである。











 買い物が終わり、誰もいない家のドアを開ける。今日も今日とて仕事が忙しい父さん&母さんはクリスマスの日でも仕事であるので、クリスマスパーティーができないことをものすごく残念がっていた。


 あの……いつ休んでるんです?


「んしょ……」


 買い物の荷物をテーブルの上に置いて、テキパキと冷蔵庫に買ったものを入れていく。もう既にこの家を完全にマスターしたメリィちゃん。買ったものを五分でしまい終えると、ぴょん、と俺に抱きついてきた。


「おっと」


「ん~~~」


 今日はやけに甘えんぼさんだな?


「みぃくん、コタツ行こ、コタツ」


「はいはい」


 よいしょ、とメリィちゃんを抱き上げてから先月からリビングに置いてあるコタツへと行く。


 このコタツは中々大きく、俺が横になっても首から下が全部埋まるほど横が長い。


 そして最近のメリィちゃんのお気に入りは、俺がコタツで横になっている上にのしかかることである。


「んん、後ろはコタツで前はみぃくん……すごいよ、この世の全ての幸せが今ここに詰まってる」


「それ多分メリィちゃんだけだよ」


 まぁ俺もメリィちゃんのどことは言いませんけどご立派な物が押し付けられているのでとてもとても大満足ですが。


「そんなことないよ。きっと世の中のカップルはそう思っているはずだよ」


 ぎゅううううと抱きしめる力を強くするメリィちゃん。おっふ……これはこれは、メリィちゃんの豊かな何かが!どことは言いませんけど!


「……みぃくん、すけべな顔」


「…………ほう?」


 何かのスイッチが入ってしまった俺氏。メリィちゃんの背中に回していた腕を俺とメリィちゃんの間に素早く入れて俺の胸で形をいやらしく変えている豊かなものを掴む。何とは言いませんけど。


「ひゃ……!ちょ、ちょっとみぃくん……あんっ」


「俺はすけべだからなー、ほれほれー!」


「ちょ、ひゃあん!そんな強くもまないでー!」


 その後、俺たちはそのままムラムラしたので俺の部屋へ行き、駆逐艦が圧倒的に強くなる夜戦でメリィちゃんとアンアンキシムサウンドを楽しんだ。


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