第10話
「…………」
……ん?知らない天井だ……ってそうか。昨日は疲れすぎたから神田さんがホテルを取ってくれたんだっけ。
チラッと隣を見る。
「………すぅ……みぃ、くん」
眠ったままでも胸にすりすりと甘えてくるメリィちゃんを見ると胸がぎゅぅぅっと締め付けられ、抱きしめたくなる症候群が出てくると同時に、何かイタズラもしたくなってしまう。
軽く五秒くらい考えた俺はーーーーー
「…………」
イタズラの方をすることにした。
どんなイタズラしよっかなぁ……とメリィちゃんの顔を見続けて三十秒。ピコーんと頭の中に電球が出てきた。
「むきゅ……」
鼻呼吸をしていたメリィちゃんの鼻を摘む。
……………………
…………………………
「酸素ー!!」
苦しくなったメリィちゃんの目が覚める。
「みぃくん!さすがに鼻をつまむのはないんじゃないかな!」
プンプンという表現が似合いそうなほど分かりやすく怒るメリィちゃん。
「悪い悪い………これで許してくれるか?」
「あっ………んんっ」
頭を撫で、メリィちゃんの顔をこちらへ引き寄せてからキスをする。
ちゅ、ちゅ、っと何回も何回も触れるだけのキスをしてムードを少しずつ上げていく。
「んっ………」
「はむっ……んんっ」
そして、ベロをメリィちゃんの口内へ侵入させ、そのままベロチューへと発展。互いの息が苦しくなるまで互いの唾液を交換した。
「はぁ……みぃくん…朝から凄いよ……」
「ごめん、メリィちゃんが可愛すぎて」
「……まぁいいけど」
顔を赤くしてプイッ、と逸らすメリィちゃん。可愛すぎです。
ふいに、コンコンコンとノックの音が鳴った。2人揃ってそちらを向くと、声が聞こえた。
「みぃくん、メリィちゃんも起きているかい?」
「ハナミさん?」
ベッドから降りて急いで部屋のドアを開ける。すると、メリィちゃんとは別ベクトルの美しさを放つハナミさんがドアの前にいた。
「どうしました?ハナミさん」
後ろからひょこっと俺の肩から顔を出す感じでハナミさんへ話しかけるメリィちゃん。背中に押し付けられる何とはいいませんが柔らかいものが柔らかいです。
「君たち本当におしどり夫婦だな………いやなに、朝ごはんを一緒にどうかなと。1人で食べるのは味気ないだろう?」
「あー……俺は問題ないですよ?」
チラッとメリィちゃんへ目配せ。
「はい、私も大丈夫です。是非一緒に食べましょう」
「ありがとう。それじゃあ待っているから着替えてくるがいい」
失礼しますと言ってからドアを締める。そして着替えを持ってメリィちゃんは洗面所へ行き、俺は部屋の方で着替えることに。女の子の着替えの方が時間がかかるため、俺はこっちを使わせてもらった。
「お待たせー」
「よし、じゃあ行こうか」
メリィちゃんに手を差し出すと、嬉しそうに握って来て、そのまま指を絡める。
「すみません、お待たせしました」
「ん……あぁ、大丈夫だ。それでは行こうか」
一瞬だけ部屋から出てきた俺たちを見てから、ハナミさんの視線が一瞬だけチラッと右下に下がった。
「………はぁ、私に結婚願望はないが、君たちを見ていると私でも付き合ってみたいなと思ってしまうよ」
「え?ハナミさん彼氏いないんですか!?」
とメリィちゃんが驚いたように声に出した。ぶっちゃけ俺も驚いた。
ハナミさん、こんなに綺麗なのに?
「なに、私に近づいてくるやつは大概金目当てのやつか顔に釣られたやつか下卑た視線を向けてくるやつだけだ。私のことを好意の視線で見てくるやつなんて今まで一人もいない」
「……あー」
メリィちゃんが共感するように声を出した。まぁメリィちゃんとこんな日本人離れした美しい容姿を持っているからな。見た目で近づいてきたやつがいたんだろう。
「その点に比べて、君たちは私から見ると凄い羨ましく思うよ」
ハナミさんの目が一瞬哀しく映る。
「……どうだろうかメリィちゃん。みぃくんを私とシェアするというのは」
「…………ん?」
「…………へ?」
ハナミさんのトンデモ発言に目を丸くする俺とメリィちゃん。
「みぃくんは今まで見てきた男たちとは全然違う。私から見ると非常にいい男として見ている。無論、付き合うのもぜんぜんアリだ」
「………へ?は?」
頭が混乱する。きゅ、急に何を言ってるんだ!?
「どうだい?メリィちゃんさえ良ければみぃくんを私とシェアという形でーーーー」
「ダメダメダメダメ!!!いくらハナミさんでもみぃくんを渡すことなんて出来ないから!」
焦った形でメリィちゃんが横からぎゅううう!!と抱きついてきて渡さない宣言をする。
話はズレるがさっきのダメダメダメダメ!!!がめちゃくちゃ可愛かった。
「……ということでハナミさん、俺もメリィちゃんが大好きなのでその考えは諦めてください」
「………アハハ、さすがに冗談だよ君たち。安心した前、この私があんなわかりやすい感情なんて出すわけないだろう」
「…………………」
メリィちゃんはまだ疑っているのかハナミさんをじとーっと睨む。
「……いや、からかったのは本当にごめん。君たちを見るとついついからかいたくなってしまう」
「………みぃくん狙いはウソ?」
「嘘だよ。そもそも私には婚約者がいるからな」
「「…………え!?」」
「小さな時から一緒……まぁ幼馴染と言うやつだな。この前二人で愛の逃避行を経験したんだ……ドキドキしたなぁ」
と、語るハナミさんの顔はまさに乙女だった。
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