第9話
「それでは、皆様が揃いましたので、今回はわれわれガロプラの次回作である『スティックヒューマン・VR』をやっていた抱きたいと思います。お手元にVRヘッドギアはございますでしょうか」
神田さんが全員が揃ったタイミングで、俺たちを呼び出し、別の部屋へ移動。そして俺たち全員にヘッドギアが渡された。
「今回は家庭用ゲームとしての発売ではなく、ここのブースでの期間限定での提供ということになります」
説明を聞きながらカチャカチャとヘッドギアを装着していく。メリィちゃんの髪に引っかかりそうだったので手伝う。あ、うんうん。どういたしまして。
ありがとー!とめちゃくちゃボディランゲージで表してくるので、とりあえず頭を撫でておく。カワユス。
「今回、我々が用意したクエストは特別に八人用に再設定した『琥龍の雄叫び』でございます」
神田さんが言うと、welcome to stick human the VRという文字が出てきて、視界の右端にコントローラーを上から下に振り下ろすよう指示されたので、神田さんからお借りしている棒型のモーション入力コントローラーを同じようにすると、盛大なBGMと共に、景色があの琥龍の雄叫びと同じような火山ステージになった。
「うおおお!!」
ぐるぐると周りを見渡す。すげー!!VRになるとこんなにリアルになるんかー!すげー!!
クイクイっと袖を引かれ、その方向に視線をやると、いきなりドアップで棒人間の顔が現れた。
「うおっ!?」
急なことにびっくりしてしまった俺はついつい後ろに下がってしまう。
引いたことで見えるようになる棒人間の頭上に浮かぶ『Melly』という文字が目に入った。
………あぁ、これメリィちゃんだったのか。棒人間だったから全く気が付かなかった。
「……みぃくん……?」
うぐっ!何やら視線は分からないけど物凄いメリィちゃんにジト目で睨まれている気がする!ごめんよ!本当にごめん!
結論から言うとめちゃくちゃ楽しかった。俺たちが棒人間になってあの琥龍と実際に戦えるのは凄かったし、プレイヤー同士がぶつからないように、近づくと警告がなったりと様々な工夫がされてあってめちゃくちゃ楽しかった。
しかも琥龍って等身大サイズにしたらめちゃくちゃでっかいのな。噛み付く攻撃をされそうになって口を大きく開けた時はまじで死ぬかと思った。
ーーーーただ、欠点があるとするなら………。
「はぁ…はぁ……」
「ぜぇ……ぜぇ……」
これ、疲れすぎな。スピカさんなんてソファに寝転んでるし、あのハナミさんでさえ机に腕を枕にして倒れ込んでいる。
俺はパイプ椅子を4つくらい並べてそこに寝転んでいる。ちなみにメリィちゃんは俺の上にいる。重ーーーーくない!しメリィちゃんを近くに感じられるして一石二鳥だな!うん!
自分でも何を言ってるのか分からなくなりながらも、動き回って疲れた体を回復させる。
「……うーん、みぃくんが二人……あ、三人になった…」
メリィちゃんは一体どんなものが見えているのだろうか。
「皆様、お疲れ様でーーーーー」
神田さんがドアから入ってくるも、満身創痍の俺たちを見て言葉が止まる。
「ーーーーホテルの手配をしておきます。皆様、ホテルが取れるまで充分おやすみになってください」
すいません。後本当にありがとうございます神田さん。
そしてじっくり休み事二時間。ようやくホテルが取れたと連絡に来た神田さんとスタッフさんの車に乗ってホテルへ移動。今日はそこに泊まってから明日帰ることになる。
ちなみに俺とメリィちゃんは同じ部屋だったよ。
そして後日、俺たちが挑戦した琥龍の雄叫びなのだが、某大型投稿サイトにて動画画投稿されることになり、スティックヒューマン・VRをしに来た人は合計200万人だったという。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます