第8話
PCの電源を付け、一応毎日ログインしているはずなのに、なんだかとても久しぶりに起動するような気がするスティックヒューマン・オンラインを開き、ログインをする。
見慣れたプレイヤーホームに己の分身にも等しい棒人間が現れた。
そして目の前にも棒人間が現れる。そう、俺の愛しい人であるメリィちゃんである。
今日は久々にギルド『スレイプニール』のギルドリーダーだであるハナミさんが、全員に緊急の話があるということで、全員集合。
円卓の机のオブジェクトに八個のイス。そこに座らせて雰囲気作りは完璧である。
「……そろったね」
耳元でハナミさんの声がする。
「みんな、今日は集まってくれてありがとう。それとみぃくん。ミスコン優勝おめでとう」
「ちょいまち。なんで知ってるんすか」
「とまぁ一先ずこの話は流すがーーー」
え、待って待って。ほんとになんで知ってるんですか?
「みんな、スティックヒューマン・オンラインからスレイプニールに次作ゲームの先行体験の招待状だ」
というわけでやって参りました東京。スティックヒューマン・オンライン運営会社であるガロプラからの依頼である『スティックヒューマン・VR』という新しいゲームの先行体験のために来た。
前から新しいのが来ると少し前くらいから仄めかしてはいたが、まさか俺たちが先行体験に呼ばれるとはな……。
「すごいドキドキするね……」
それでは、今日のメリィちゃんのコーナーです。今日のメリィちゃんの格好は全身真っ黒コーデ。俺には服の種類はよく分からんがとてもよく似合っております。服の黒とメリィちゃんの白のコントラストがうんたらかんたらでめちゃくちゃ可愛さがアップしております。
うん、俺向いてねぇな。黙ります。
とあるニュースみたいにやろうとしたが、残念ながら、俺の語彙力が無さすぎて断念。大人しく腕に押し付けられているご立派なお胸様を堪能します。
ガロプラに指定された場所は、とあるタワーで、とある部屋を今回のイベントのために貸切にしたらしい。
ビルに入り、ガロプラから送られてきた招待状を受付のお姉さんに見せてから、指定された部屋へ行く。
エレベーターに乗り、6階のボタンを押してしばらく待つ。チーンと音が鳴った後にドアが開くと。
「お久しぶりです。みぃ様、メリィ様」
「「神田さん!」」
そう、そこには俺たちをSS○の舞台に立たせてくれた神田さんがそこにいた。
人が良さそうな笑みを浮かべ、頭を下げる神田さんに俺達も慌てて頭を下げる。
「今回は来てくださって本当にありがとうございます」
「い、いえいえ!その、俺達も先行体験に呼んでくれてありがとうございます!」
このままだと頭の下げあい合戦になると悟った神田さんが
「今はハナミ様が待機してます。皆様が揃うまでお待ちください」
と、部屋に案内され、神田さんが扉を開ける。入室するように促されたので、入ると、そこには一昨日俺たちにこの話を持ってきてくれたハナミさんが優雅に紅茶を飲んで待機していた。
「……やぁ、メリィちゃんは昨日ぶり、みぃくんは久しぶりだね」
「お久しぶりです、ハナミさん」
「こんにちはハナミさん!」
ぺこりと一礼してから部屋に置いてあるイスに腰掛ける。場所はハナミさんの対面である。
「さて、ハナミさん。俺一昨日からずっと気になってたことがあるんですけどーーーー」
「あぁ、あれはシルバからの提供だ」
「うーっす。三人とも久しぶりーーーーってあぶね!なんか飛んできたぞ!」
おっと、どうやら無意識のうちにシルバさんへ殺意を向けていたようだ。目の前に置いてあった皿の中の小さなお菓子を反射的にシルバさゆへ投げつけていたようだ。
「おいみぃ!何しやがる!」
「自分の心に聞いてください。またあの時みたいに正座したいですか?」
「……………あ、なーんか無性にみぃに土下座したくなってきたなぁ………許して?」
「許しません。そこに正座です」
「不幸だぁぁぁぁぁ!!」
やかましい!!俺の方が不幸だわ!
視界の端でメリィちゃんとハナミさんがガールズトークを繰り広げているさなか、俺はシルバさんに向けて説教をしていた。
「みんな、久しぶーーーーシルバはまた何かバカをやらかしたのかい?」
「おいこらアラン!それはどういうこーーー」
「事実ですよね?」
「…………………………………」
「……はは、みぃくん、程々にね」
こうして、続々とスレイプニール陣営は集まり、この説教は最後のスピカさんが来るまで続いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
気づけば終わりまで後5万文字程度になっていた。
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