第4話
10月になりました。
我が校でも文化祭が近づき、学校全体が浮ついた空気になっております。
当然、俺が所属しているクラスでもそういった話が出る訳でしてーーーーー
「………女装メイド喫茶?」
「いえす」
とある男子達の悪ふざけでド定番中定番であるメイド喫茶。それに、男子も女装をする女装メイド喫茶となってしまったのだ。
「……え?みぃくんメイドさんになるの!?」
「うん」
いやぁ………まさか先に俺の方がメイドさんになるとは思わなかったなぁハハッ。
「………へー……」
メリィちゃんの視線がちらりと俺の後方へ向かう。そこには、ハンガーに掛けられた俺含む全男子の夢であるミニスカタイプのメイド服ではなく、クラシックメイドドレスだった。
なんでも俺のクラスにメイド喫茶のオーナーを知り合いに持つやつがいたので、相談したところ、無料で貸し出してくれるとの事。小悪魔系のメイド服やら、ゴシック風なメイドドレスなど、様々なメイド服が教室に運び込まれた時は全員が目を剥いていた。
しかし………気の所為なら良かったのだが、教室に運ぶ時に業者の人が来たんだが、めちゃくちゃマッチョのグラサン掛けたーーーはい、鬼島組の皆さんなんでいるんです?
バレない程度に会釈されたんでちゃんと返しました。
あれかな、ヤーさんって副業ありなのかな?
「……でも、なんであのメイド服にしたの」
「そりゃあ最初に俺じゃなくてメリィちゃんに着せるために決まってんじゃん」
綺麗な銀髪に黒のドレスに白のエプロン。そしてメリィちゃんの美貌を合わせたらこれまた見事な銀髪美少女な完璧清純派メイドの完成である。
「………も、もう……みぃくんがそう言うなら……着て上げてもいいよ?」
「しゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」
ガッツポーズをして立ち上がった後にメイド服をメリィちゃんへ渡した。
「そ、それじゃあ早速お願い!………出てった方がいい?」
「……目を瞑ってくれるなら……ここにいていいよ」
はい、めっちゃ目を瞑ります。たまにちらっと目を開けてメリィちゃんのお着替えシーン見たいけど頑張って目を瞑っときます。
頼むぞ棒悪魔と棒堕天使。出てくんなよ?
とか思った瞬間に脳内に黒い棒人間と白い棒人間が現れた。またか貴様らぁ!
『へへっ……おいおいみぃよ。目の前にいるのは彼女だぜ?着替え中に襲っちゃうのも醍醐味じゃないかYO』
くっ……たしかにーーーーーいやいやダメだ!せっかくメリィちゃんが俺を信頼してこの部屋にいることを許してくれているんだ!俺はぜったい目を開かんぞ!
『ダメだよ悪魔さん!』
おぉ!今日はちゃんと天使か!
『手全体で目を隠して、たまにチラチラっと指の隙間からお着替えを見るんだよ!』
ブルータス。お前もか。やっぱりだよ!ちょっと期待した俺が馬鹿だったよ!
『襲っちゃえYO~』『指の隙間から見るのです!』という悪魔と堕天使の囁きを鋼の意思で弾き飛ばし、耐えまくる。
そしてついにーーーーーー
「んしょ……うん!バッチリ……かな?大丈夫だよ!みぃくん!」
「開・眼!」
勢いよく目を開ける。するとそこにはーーーーー
「…………………」
「……えへへ……どう、でしょうかご主人様。似合いますでしょうか」
ーーーーー女神。
今のメリィちゃんを現すのは、この表現が一番正しかった。
しかも演技までしてくれて俺の事をご主人様呼び。
これはもう襲ってもいいのでは?(違う)
「………っ!!凄い!凄い!かわいいよ!メリィちゃん」
「キャッ!みぃーーーご、ご主人様!?」
あまりにも可愛すぎてメリィちゃんに抱きついてしまう。そしてメリィちゃんは頑なに演技を続け、俺の事をご主人様と呼ぶ。
うん、今日の夜は御奉仕プレイかな?
その後、メリィちゃんのメイド服鑑賞会を行った後に、本来の目的ーーーいや、メリィちゃんにこれを着せるが八割だけど、残りの二割をメリィちゃんへ相談せねば。
「それでメリィちゃん。本題なんだけど」
「……え?私にこれ着せるのが本題じゃないの?」
うん、八割ぐらいこれに熱意入れたけど、これが本題じゃないんだよね。
フリフリと長いスカートの揺らすメリィちゃん。あ、さっきの可愛い。もう1回やって。
「まぁ俺、女装するわけじゃん?」
「うん」
「とりあえずメリィちゃんに見せて感想もらおうかと」
そう、これが二割の本題である。今日事前にメイド服を着て、明日の放課後に発表会をすることになっている。
と、言うことなので、メリィちゃんにはメイド服を脱いでもらい、俺が着ることに。
………ぬ?メイド服って着るの難しいな……こうかね。
何とかメイド服を装着し、髪を少し整えてからカチューシャを頭に嵌めて……よし!
「どうぞ」
「ではでは」
ゆっくりとメリィちゃんが目を開け、俺と目が合うとーーーーー。
「…………………」
黙りこくってなにやら考え中のポーズ。あれー?そんなにダメ?
「………素材は悪くない……ううん、これは……」
「………メリィちゃん?」
何やらブツブツ呟き始めたメリィちゃん。揺らり、とまるで幽鬼のように立ち上がると、ガっ!と俺の両肩を掴んできた。
「………みぃくん」
「は、はい……」
謎の迫力に少し冷や汗をかいてきた。
「……お化粧しましょ?大丈夫、女の子先輩の私が教えてあげるから!」
「えっ!?えっ!?ちょ、ちょ!?メリィちゃん!?」
その後、母さん共々に弄られました。
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新作『フェアリーテイルと空想の旅人』を描きました。ぜひぜひ読んでみてください。色々調べながらなんで休日投稿になりますが。
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