第3話

 先導デート午前の部が終了し、現在お昼休憩で大手バーガーチェーン店へと来ていた。


 途中からもうめんどくなったのか、堂々と現れたシルバさんと合流し、現在、五つくらい離れている席で食べさせ合いっこをしている在原カップルを見る。


「……弟子もちゃんとエスコート出来てるみたいで良かった良かった」


「ちなみにシルバさんから午前は何点でした?」


「んあ?……あぁ…まぁ及第点として80点かね」


 ポテトをムシャムシャと食べながら言うシルバさん。及第点で80点か。シルバさんの評価はなかなか厳しいご様子だ。


 ちなみにだが、道行く途中で俺がいるにも関わらずに男二人にナンパをされたメリィちゃん。隠れてみていたシルバさんが咄嗟に助けに行こうとしたものの、そのナンパをしようとしていた後ろから屈強なグラサンを掛けた男に路地裏に連れていかれた。消える途中で俺たちにサムズアップをしていたため、鬼島組の皆さんだと思われる……護衛されてるのかなぁ?


 脳内で鬼島さんがグッ!と親指を立てた。


 まぁ正直あの時はめちゃくちゃありがたかったので、後で何かお礼の品でも送っとこ。


「あの二人ももう大丈夫そうだし……先導しなくても大丈夫かな?」


「多分大丈夫だと思う。何かやらかさない限りはちゃんと成功だと思うよ」


「だよな」


 メリィちゃんのお墨付きも貰ったので、在原にL○NEで連絡。後は頑張れ……っと送信。


 在原が彼女さんに断りを入れて、スマホを取り出して俺が送ったメッセージを見る。しばらくして、ピコンと俺のスマホがなり、在原から『さんきゅ』と連絡が来た。


「……よし、それじゃあこの後どこ行きます?」


「俺はこの辺で退散するよ」


「いいんですか?」


 見守っていなくてという意味が入ってる俺の言葉に頷きで返すシルバさん。食べ終わったゴミをまとめて、お盆を持って立ち上がった。


「あぁ。しっかりと弟子が漢している姿を見たからな。師匠としては充分だ」


 それじゃあなお二人さん、と言ってから立ち去るシルバさん。スマホを取り出して誰かと電話をしながら店から出た。


「……それじゃあメリィちゃん、この後どこ行こっか」


「みぃくんと一緒ならどこでもいいよ……あ、タレがついてる」


 と、ティッシュで俺の頬をふきふきしてくれるメリィちゃん。ほぇー可愛いんじゃあ。


「鬼島組の皆さんにお礼の品探しに行こう」


「うん、賛成」


 とりあえず20個入りの饅頭を二つ買って、鬼島組の人に渡しました。いやぁ、グラサンしてるし筋肉ムキムキで会ったら会釈してくれるから直ぐに分かるのはありがたかった。兄貴って言われました。辞めて欲しいって思いました。


 五時になり、家へ帰宅。メリィちゃんの腕には可愛らしいぬいぐるみが抱かれていた。


 あの後、二人でゲーセンに行き、クレーンゲームをしてり、二人協力プレイのゲームをしたりして、普通に楽しんだ。


 在原からも『今日は大成功だった!マジありがとう!今度なんか奢る』に『ラーメン1杯な』と送ってから部屋に入った。


 エアコンを付け、荷物を床に置いき、ベッドに座る。


「……はぁ!今日も楽しかったよ!ありがとうみぃくん!」


 と、ぬいぐるみをベッドに置いたメリィちゃんが座っている俺に真正面から抱きついてくる。ふわっと、一瞬いい匂いに包まれた後、背中がぽすん、とベッド触れた。


 すりすりと、頬を擦り付けて甘えてくるメリィちゃんの頭を撫でる。


「んふふ……みぃくん……好き……」


 とそのまま頬にちゅっちゅしてくる。最近…っていうか同棲し始めてからメリィちゃんがまた更に可愛くなってきたので困る。何が困るのかと言うと、理性をゴリゴリ削ってくるから困る。


 頭の中で顔と羽の黒い悪魔と顔と羽が白い天使が現れた。


『おいおい、みぃよ。何を我慢している?抱きついてるのは彼女だぜ?ヤッちまいなYO』


 顔が黒い棒人間が悪魔の囁きをしてくる悪魔さん。しかし、そこで顔の白い棒人間が顔の黒い棒人間の前に立ち塞がる。


『ダメだよ!』


 お、やっぱりはこっちは止めるのか?


『ちゃんと前戯してからしないと!』


 ブルータス、お前もか。どうやら天使は天使でも堕天使だったようだ。


「はぁ……んっ……」


 ……なんで耳元で甘い声が聞こえてるんですかねぇ?見るとメリィちゃんが俺の匂いをめちゃくちゃ嗅いでいた。


 しかもこれって……一番最初に俺ん家に来た時と同じじゃん!メリィちゃん俺の匂い嗅いで発情してます!?


「んぅ………みぃ、くん……はぁ…」


 ぎゅううう……!さらに俺を痛いほど抱きしめ、もっともっと体を擦り付けてくるメリィちゃん。


「みぃくん………お願い、私をめちゃくちゃに……」


「あっ、」


 Foooooo!!と堕天使と悪魔が脳内で踊ると同時に、俺の理性が弾け飛びました。


 この後、俺のベッドが三十分ほどアンアンキシムサウンドと成り果てました。



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ちなみに作者は生まれてから一度も女子とお出かけをしたことがありません。デートは架空の概念的存在だと思ってます。なので点数とかぶっちゃけ適当です。

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