第10話

「……おっ、俺の命は持って行っていいのでメリィちゃんの命だけは……っ!」


「待て待てガキンチョ。いくら俺らが泣く子も黙る鬼島組だとしてもそう簡単にタマはとらねぇ」


 あ、そうなの?それなら良かった。


「おい」


「はっ」


 鬼島組のヤーさんが後ろにたっていた人に指示をだすと、よくテレビとかで見たことある学校の人がジュラルミンケースを持ってきた。


 ーーーまさかこれ、人の死体とかじゃーーー


「またガキンチョが変なこと思ってるから早めに言うぞーーーー三千万だ」


 あ、なーんだ。三千万ね。死体じゃなくて良かった良かった。


 ……………………………


「「どぅうえええええええ!!」」


「ん?なんだ信じられねぇか?おい、中を開けろ」


「はっ」


 ジュラルミンケースを持ってきた人がカチャッと開けて、中にある現金がペカーとなにやら輝いてた気がした。


「な、なんで三千万なんです!?」


「簡単なことだろうが。俺たち鬼島組は、ガキンチョの漢に皆惚れたのさ。女のためになりふり構わずに突撃する……嫌いじゃねぇ」


「是非、兄貴って呼ばせてください」


「えっ………」


 それは普通に嫌です……。


「ほら、受け取れ」


「……む、無理です!受け取れません!」


「受け取らねぇとそこの嬢ちゃん連れ去るぞ」


「全力で受け取らせていただきます!」


「よし、いい返事だ」


 こうして、俺は一千万を失った代わりに、鬼島組の熱い思いと、いいもんを見させてもらった料として三千万を手に入れた。後に振り込むということなので、銀行の口座番号を教えた。


「後これ」


「………?はい」


 胸ポケから何か出したので、両手を更な状態にして受け取る。


 なになに……鬼島組五代目頭領鬼島幽玄きじまゆうげん……ん?頭領?


「一応まだ鬼島組は親父が仕切ってるが、次は俺の代だ。何かあったら連絡寄越しな。お前の熱心なファン30人送ってやるよ」


「えっ………」


「それじゃあな。期待してるぜ」


「失礼いたしやす、兄貴」


 そして、鬼島さんは車に乗って去っていった。


 あの、出来ればほんとに兄貴ってやめて貰っていいですか?












 時は過ぎ、昨日ハナミさんに言われた時間帯、俺とメリィちゃんはハナミさんが指示したお店にやってきた訳だがーーーー。


 あのー。どう見てもホテル……ですよね?


 目の前にはドドーン!と建っているおっきなホテル。はい。どっからどう見ても木更津ホテルです。


 木更津グループが運営をしている木更津ホテル。庶民からお金持ちなど、様々な人が泊まれるようにと特別な計らいをさらており、値段も他の所と比べて良心的なお値段となっており、日本ベストホテルTOP3にも選ばれるほど超人気ホテルだ。


 ……なんか物凄い場違い感半端ないんですけど!


「……ねぇみぃくん。ほんとにここ、なの?私超不安になってきたんだけど」


「……多分ここだと思うけど……俺も不安になってきました」


 早く来て!ハナミさん!


「二人とも、お待たせした」


「「ハナミさん!」」


 やっと来てくれたー!!俺たち緊張でどうにかなりそうでした!


 ハナミさんの格好はいかにもラフな感じの服で、髪をポニーテールの形にしており、とてもよく似合っていた。若干メリィちゃんも見蕩れてた。ほんと、ハナミさんって男子も女子も関係なく視線を引きつける人だな。


「それでは着いてきてくれ。案内しよう」


「「よろしくお願いします」」


 ぺこりと頭を下げ、歩き出したハナミさんの跡を着いていく。エントランスに入り、エレベーターに乗ると、ハナミさんがなにやらカードキーを取り出した。


「これから行くのは我々木更津家の関係者の人しか入れ無い特別なフロアだ」


「えっ……そこに俺達が入って大丈夫なんですか?」


「問題ないだろう。よく父さんが社員と馬鹿やってるからな」


 ちーん!と着いた音が聞こえると、エレベーターのドアが開いた。


「……うわぁ」


「……綺麗……」


 そこは、夜の街が一望できる、このホテルの最上階だった。


「今日は私たちの貸切だ。君たちはご飯は食べてきたかな?」


「えっと食べてないですね」


 家を出たのが6時時ちょっと前。そして東京に着いたのが7時ちょい過ぎでこのホテル前に着いたのが7時40分なので、夜ご飯を食べていなかった。


「ならご飯も準備しよう。食べながら色々と話をしようではないか」




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