第11話
ハナミさんがぱんぱん!と優雅に二回手を鳴らすと、ウェイターさんがなにやらカラカラとよく高級な食べ物が入ってる奴が運ばれてきた。
「勝手に準備させてもらったけど、二人のお口にあうだろうか」
コトリとテーブルにお皿が置かれ、ウェイターさんがフタを取ると、そこからお肉が現れた。
………めちゃくちゃいい匂い。なんか凄い高級そうだけど食べて大丈夫なのこれ。後からお金とか……。
「大丈夫だ。今日はプライベートだからお金の心配はいらない、楽しんでくれ」
「「は、はい!」」
右手にナイフ、左手にフォークを持って高級そうなステーキを切り分けていく。や、柔けぇ………。
「……!う、うまっ……」
あと柔らか!お肉ってこんな柔らかいの!?チラッとメリィちゃんを見たら目を輝かせて黙々とハムハムと食べていた。可愛い。
「……さて、みぃくん。今回の300万の貸しなのだがーーーー」
「ーーーーあっ。そういえば……」
俺は今朝の顛末をハナミさんへ説明した。
「ふむ………あの泣く子も黙ると言われた鬼島組がね……」
「はい、聞いた時はほんとに命が無くなるかと……」
「……まぁあそこは何かと義理人情に厚い所があるからな……結果的には良かったと……言える?言えるのか?」
「多分言えるんじゃないですか?俺はもうそう思うことにしました」
でもできるだけお世話にならないようにします。兄貴とか言われたくないです。
「そうか……そしたら300万は直ぐに返せると言うわけか……」
「でも、300万円も貸してくれた事に変わりはありません。言った通り、なんでも言うことは聞きます。メリィちゃんと別れろ以外」
「私もお世話になったので言うこと聞きます!みぃくんと別れろ以外!」
「………ほんとに君たちは……」
頭に手を当ててはぁ……とため息を吐くハナミさん。でもでも、これだけは最低条件です!
「……はぁ、別にそんな酷なことを命令する訳では無いよ。君たちは私がそんなことを命令するような人に見えるのか…?」
「「いえ、全く全然」」
でも念の為の保険です。
「……まぁいい。君たちにお願い……というか提案なのだがーーーーもし良ければ二人、高校を卒業したら私の秘書をやってくれないだろうか」
「「…………?」」
俺とメリィちゃんは2人揃って首を傾げた。
………秘書?
「我々木更津グループの歴代社長は自分の目で見て秘書を決めることになっている。もちろん、秘書になるための先生はこちらで準備するし、給料もちゃんと出る。どうだ?」
「「……………」」
………あれ?これってスカウトされてます?
「「……………ええええええ!?」」
やっと頭の理解が追いついた俺とメリィちゃんの声が重なった。
秘書!?あの木更津グループ社長の秘書!?
「なんだ。ダメなのか?」
「「いえいえいえいえいえ!」」
俺にそういうのが勤まるとは到底思えないのですが!?
「大丈夫だ。君たちの実力はスティックヒューマン・オンラインでなんとなくは分かる。みぃくんのボスの攻撃パターンの見極めの速さと攻撃予備動作の早めの確認などなど、それを秘書の時に活躍させればいいだけの話だよ」
「何をどうやって!?」
そんなのがほんとに秘書の時に役に立つんですか!?
「大丈夫さ。そのための勉強期間だってあるんだ。きっと二人は私の秘書として完璧な仕事をーーーーー」
とりあえずは一旦保留という形にしてもらい、今日のところは解散となった。
条件とかなにやらなにまで大変とても魅力的で、特に将来何をやりたいかも決まっていない俺からしたら凄くいい条件だと思った。
でも、今はまだ、それを考える時間ではない。
今日からメリィちゃんとは同棲生活を送ることになるのだ。まずはそのための準備やら必要なものやらを揃えなくては!
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終わりまで後3章、話数にしたら多分45話前後になります。
最後までこの2人のイチャイチャをご覧下さい。
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