第5話
カメレオンゴーレムが不思議に笑い、叫んだ。その瞬間、床に張っているラインが伸びて壁まで侵食した。
「はぁ!?」
「なんだよあれ………」
フヨさんとふーすけさんの声が聞こえた。ぶっちゃけ俺も心の中ではそう思った。
この床のラインは真ん中に行くほど感覚が狭くなっており、棒人間ですら危うい。なので、基本退避する時は壁際にいたのだが、もう壁に触れながら移動というものが出来なくなった。
そして次の瞬間、キラさんの足元に赤いマークが出てきた瞬間、キラさんの棒人間が食べられた。
「おーーーい!!」
キラさんの悲鳴が聞こえた。棒人間なのかどうかは知らないが、わざわざ体の真ん中から真っ二つに折られるという一撃必殺だった。
俺は急いで装備を杖に変えてレイズデッドを使ってキラさんを復活させた後にヒールで体力を回復。
「ありがとうみぃくん」
「フヨ!した!」
「あっぶね!」
フヨさんがギリギリジャンプで回避。しかし、ラインを踏んでいたため、上から拳が振ってきた。
キラさんの棒人間が潰れる。HPが物凄い勢いで減っていく。そして、何の因果か知らないが、ご丁寧に混乱のバッドステータスが着いた。
「みぃくんは回復!」
「了解です!」
すぐさまヒールを2回連続でフヨさんに掛ける。キラさんもキュアで混乱を回復させた。
「なにこれ!?本当強いんだけど!!」
「とりあえず頑張って攻撃しましょう!いくら攻撃くらっても構いません!エリクサーなら沢山ありますから!」
「一度でもそれ言ってみてー!!」
そんなこんなで、1時間後。ようやくカメレオンゴーレムの最後のHPバーが消えて、体がポリゴン状になって弾け飛ぶ。そして『Congratulations!!』の文字が出た。
「「「「「「あぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」」
六人分の溜息&気の抜けた声が同時に出た。もう何あれ。うざいし強いし硬いし。もう絶対にいかねぇ。
最初三桁もあったエリクサーが今では43個。この迷宮だけで60個以上。カメレオンゴーレム戦だけで40個近く使ってしまった。
そして各々の死亡回数がふーすけさんが7回。キラさんが6回。俺とフヨさんが4回で、コージさんとメリィちゃんが3回だった。
ふーすけさんがめっちゃからかわれてた。
「ごめん。ちょっと休憩していい?マジ疲れた……」
「俺も少し休憩したいです」
「私も」
「それじゃあ30分後にまた集まろっか」
コージさんの言葉を皮切りにミュートにする音が響いた。俺もミュートにしてから机を離れ、ベッドへダイビングした。
いやマジでなにあの敵。くそ強かったんだけど。カメレオンゴーレムだけで琥龍の雄叫びよりも時間かかってるのなんで?公式さん、これほんとに4人のレベル200でクリアできるの?無理だよ絶対………。
まぁテスターが実際クリアしたんでしょうけど。
ティロリロリン♪とスマホから着信音が響くので、特に確認をしないで電話に出る。
「……ふぁい。どしたのメリィちゃん……」
「………随分おつかれだね、みぃくん」
「逆にあれで疲れない方が異常だよ」
「……まぁ確かに……」
多分ここ数日は夢に見ると思う。クリアしたらもう絶対行かない。失敗しても半年はいかなーい。
「……お話、しよ?」
「………うん」
俺、復活。
メリィちゃんと30分話して癒してもらったため、カメレオンゴーレム戦の疲れは取れた。二度と戦いたくはないですけど。
多分今度更新される二度と戦いたくはないボスランキング絶対載るわこいつ。ちなみに今の一位はキラーベヒモスである。
体力もMPも30分休憩していたので全快しているため、エリクサーの消費が少し抑えられた。
現時点で攻略時間は6時間弱。夜の10時から集まっているというのに、もう少しで日の出が拝めそうである。良かったよ、まだ夏休みで。夏休みじゃないとこんなこと出来ないからね。
「皆大丈夫?眠くない?」
「いえ、むしろ今アドレナリンドバドバ出まくってるので全然眠たくないです」
アドレナリンがどうかは知らないけど、興奮して全く眠くないのは確か。
まぁ?今日は多分昼通り越すまで寝るとは思いますけど。反動で。
「よし!白亜の迷宮も残り少し!がんばろー!」
フヨさんが音頭を取って、俺たちのおー!が揃った。
第六面と第七面は五面ほど難しくなかった。運営よ、五面で力を入れ過ぎでは?
それでもふたつ合わせて1時間以上攻略に時間がかかり、既に空がしらみ出してきました。
「……あぁ、太陽が見える……」
ぼそっとキラさんが呟いた。初見スレイプニールはこのラスボスで全滅したらしいので、気を引き締めて行くとしよう。
もうあのカメレオンゴーレムと戦うのだけは絶対に嫌だ。あれはしばらくトラウマものである。
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