第3話
さて、改めて花嫁の挑戦というクエストを説明するが、これは女棒人間限定で、更に結婚済みの棒人間ではないと挑戦出来ないという超限定クエスト。
ぶっちゃけ、棒の花嫁みたいにそんな大したメリットがある訳では無いので、早くもスティックゲーマーにネタ枠として処理された花嫁の挑戦。
別に、俺達もするつもりはなかったのだが、後ほどメリィちゃんが「こういうのも大事だよ!」との事なので、やることを決意。まぁやるのは俺じゃなくてメリィちゃんなのだが。
そして、簡単に花嫁の挑戦の概要を。
まず、最初に俺たちが(ゲーム内で)式を上げた教会へ行くと、神父が何か困っているそうだ。話を聞くところによると、新婚さんにとってもいいアイテムがあったので、感謝の印に冒険者(俺たち)にあげようと思ったのたのだが、とある魔物の素材がないと、そのアイテムの効果が充分に発揮できないとの事だった。
だからその魔物倒してくんない?というまぁお使い&討伐系のクエストである。
その魔物がいるのは適正レベル60の『蜥蜴人の隠れ家』というダンジョンだ。確か、そこのボスは『デュアル・リザードロード』という番のリザードマンだ。
今回、メリィちゃんはソロということなので、いつものタンクではなく、ユニークアイテムの『異界の槍』を装備してダンジョンに挑んでいる。
メリィちゃんのレベルは既に164。当然、そこらの雑魚リザードマンが相手になるわけでもなく、バッタバッタと倒していく。
そして序と言わんばかりにボスもスパーン!と倒してしまい、目的のキーアイテムが手に入る。
「………簡単だねぇ」
ボソッと俺の腕の中でメリィちゃんが呟く。まぁ『棒の花嫁』も殆ど簡単だったからなぁ。ラストのファフニールにはちょっとびっくりしたけど、めちゃくちゃ弱かったし。
まぁ、キーアイテムは手に入ったので、ササッと教会へ向かい、クエスト報酬をゲット。
「お守り……?」
「なになに………」
所謂ペアセット的なお守りが俺たちの共通ストレージへ入っていく。カーソルを移動させて、クエスト報酬の『円満夫婦』と書かれたお守りの詳細を見る。
「……夫婦限定バフ『幸運』の効果の底上げ……」
なんとも抽象的な効果なんだ………。もっと具体的に示しなさいよ。
夫婦限定バフである『幸運』の効果は、全ステータス5%アップという効果なのだか、この効果が一体どこまで底上げされているのか気になる。
だがしかし、残念ながら幸運のバフをクリックしても実際に『ステータス5%アップ』と書かれている訳では無い。公式発表である。
とりあえず、効果を試すしかないなーと思いながら、一旦メリィちゃんを抱き抱えて俺の上からどかす。
「よいしょ」
おっさんみたいな声を出しながら立ち上がり、机の上に置いてあるノートパソコンを取りに行く。
「よし、そしたら俺もゲームを起動して………え、なんでそんな不満げな顔なの?」
「むーー………」
何やら不満げな様子なメリィさん。じーっとしばらく見つめ合うが、可愛らしく頬を膨らませる顔からは何も読み取れない。
とりあえず、隣に座って頬をぷにっとつついてみる。
「みゅっ」
ぷしゅーと空気の抜ける音が響くと、もう1回ぷにっと頬が膨らんだ。
「にゅっ」
今度は両手で頬をぷにっとつついてみる。すると、可愛らしい声を響かせる。
うーむ。可愛い。てかさっきからこの「にゅっ」とか「みゅっ」とか狙ってやってるの?くそ可愛いんだけど。
「むーー」
「一体何がそんなに不満なんですかね?メリィさん」
またまた頬をぷくーと膨らませる頬を掴んでむにむにとこねくり回しながら聞いてみる。
「みゅー」
目を細めながら何故か気持ちよさそうにされるがままにされているメリィちゃん。
「みゅ……これいいねぇ」
モミモミと頬をぷにぷにしていく。うむ、なかなかもちもち感。
「それで、どうしてさっき不満げな顔だったの?」
「むぅ、みぃくんが私をどかしたからー。もっとイチャイチャしたかったからー」
「愛いやつめー」
「むふー」
おれおれ。もっとぷにぷにしてあげようでは無いか。
その後、また五分くらいぷにぷにを堪能した後に隣同士に座って、肩が密着する。
「それじゃ、ササッと検証しますか」
「そうだね。きっと詳しい効果は誰かが後で掲示板とかに載せてるよ」
「だな、とりあえず『琥竜の雄叫び』行きますか!」
「あいあいさー!」
隣でビシっ!と敬礼を決めるメリィちゃん。
を見て、お互いに笑ってからクエストに行くのであった。
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