5話
「さて、君達の強さ。じっくりと堪能しよう」
「はい!胸をお借りします!」
「あの……どちらかと言うと私が借りるほうなのだが……」
とか言いながらレベル70のスケルトンドラゴンを一撃で屠るハナミさん。流石っす。
いやぁ……ほんと流れるような刀さばきだな。あちらこちらで銀閃が煌めいて……おっとハイハイっと。
丁度合図があったのでシールドバッシュでメリィちゃんが吹き飛ばしたスケルトンドラゴンをサクッとフレアサークルで昇天させる。
「……すごいな。今のフレアサークル、メリィちゃんが敵を飛ばして直ぐに発動したな。何かコツとかあるのか?」
「いえ、する時はシールドで1度敵を攻撃するという合図があるので、後はタイミングですね」
一瞬スキル発動時に光るからそれに注視して、あとは適当にホイホイっとやるだけだから、これは別に難しいことではない。合図とか発動タイミングとか覚えたら比較的簡単にできる方だ。
「まぁ簡単な方です。ハナミさんも練習すればできるようになりますよ」
「簡単……みぃくんとメリィちゃんは一体どれほどでできるようになったんだい?」
「えっと…………」
1ヶ月だっけ……?あれ、もっと早かったかな?
「大体1ヶ月ですね。最初は合図間違えたり、上手く連携が行かなくて雑魚キャラに何回か殺られること多かったですね」
「……それは、ボイチャを始めた頃か?」
「いえ、まだチャット連携の時でしたね」
いちいちキーボード打つのめんどいからという理由で生まれた連携。俺たちの初めの型だな、言うなれば。
「……これが簡単……?馬鹿な。そんなことありえない……」
「ハナミさん?」
「いや、なんでもない」
……?どうしたのだろうか。急にボソボソと呟いて。
「とりあえず、君たちが恐ろしいほどの連携が出来ていると分かった」
「「いやいやいやいや」」
俺とメリィちゃんが揃って否定。こんなの練習すれば誰でもできるようになるって。
「………なるほどな。君達の強さの理由はその明らかに低い自己認識か。ならば、私の認識を少し改めないといけないな」
「ハナミさん?」
「みぃくん、メリィちゃん。私にもその連携、教えて貰えないか?是非カリンと試したい」
「「……………ん?」」
「それじゃ、やりましょうか」
「よろしく頼む」
急遽、ハナミさんが連携を学びたいと仰るので、俺は真祖の剣ーーーではなく、昔使ってたワンランク低い『方舟の宝剣』という剣を久々に引っ張り出す。
期間限定ダンジョン『ノアの方舟』という探索型ダンジョンにてドロップ率1パーセントという、どこぞのソシャゲの星五見たいな鬼畜確率を誇る宝剣。運営調べではこの宝剣を手に入れられたプレイヤーは7人しかいなかったという。
いやー、期間が夏休みで良かったぁ!夏休み期間中、ずっとノアの方舟に潜り続け、出たのは最終日だった。もう二度と経験したくないです。
「『方舟の宝剣』まで持っているのか君は……いつかストレージの中を覗いてみたいものだ」
「他にもビックリするのが沢山ありますよ。ストレージ共通時に見た時はほんとに驚きましたから………流石コレクター」
「収集は正義だ」
俺のストレージには他にも鬼畜ドロップアイテムがまだまだ眠っている。使わないから誰かにあげたいんだけどね。
さて、話を戻すが、今回ハナミさんと連携練習するのは俺だ。カリンさんと合わせたいとの話なので、比較的スタイルが似ている俺が練習相手だ。
「最初は無理して連携意識しないでいいので、ゆっくり行きましょう。目標は俺のスキルが終わった直後にスキルを叩き込む感じで」
「了解」
さすがにそこら辺のスケルトンドラゴンだと宝剣でもワンパン出来てしまうので、中ボスで連携を練習する。
「行きます。剣スキル一覧は頭に入ってますか?」
「あぁ大丈夫だ。あの、みぃくん。出来れば技名を言ってくれると助かる」
「分かりました。では行きますね、『アギト』」
上、下、最後に突きの3連撃。まるで
「あちゃー……」
メリィちゃんもしまったという感じで呟いた。
「どうだっだろうか」
「……0.7秒早かったです。先程よりもうちょっと1拍置いてからスキル発動させましょうか。見本見せますから、次はハナミさんがファーストアタックお願いします」
「ん、分かった」
と、いうことなので順番変わって俺が2撃目。中ボスは結構なスパンで復活するため、練習相手にはちょうどいい。
「あ、千本桜のスキルは使わないでくださいね。まだ覚えてませんから」
「了解した」
そして、ハナミさんが選択したスキルはアギト。先程の俺と同じなため、俺も先程ハナミさんと同じスキルを使うことにする。
「ふんーーー」
ラスト、突きのエフェクトが完璧に消えるタイミングで俺の剣が相手に届く。そして、高速の七連撃が痛々しい斬撃痕を残す。
『スタースラッシュ』。レベル120で覚えることが出来る、中々強力なスキルだ。
「これが出来れば、相手の硬直伸ばせますし、何より爽快感がパないです」
「なるほど……これは確かにハマる」
こうして、連携の虜になった人が一人生まれたのだった。
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