6話

前書き

 非常に私事で申し訳ないのですが、とある作品を読んでしまい、かなりのトラウマと化したので、それを上回るくらいの砂糖を投下することで私の精神を保つことに決定いたしました。

 なろうにて糖尿病患者さんを数多く作った私の腕が光りますね。書くのは指ですけど。


 それでは、ほんへん


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……うへ……うへへ……」


 四月も終わりに近づいたとある日の昼休み。何やらウレこと在原剛がとてもとても気持ち悪い笑みを浮かべている。


「うへへ……」


 ……本当にどうしたのだろうか。ちょっとニヤケすぎて病気か?ってくらい心配になるのだが。


「……おい在原。その油断しきったにやけ顔やめろ。よく女子の視線に耐えれるな」


 在原に向けて『なにあいつ、キモっ』みたいな視線がクラス中の女子から向けられている。ちなみに俺もさすがにキモイと思っている。


「ばっかお前………これからの予定がすげぇ楽しみなんだよ!……ウヘヘ…」


 ダメだこいつ。手遅れかもしれない。しかし、理由を知らないことには俺も無闇に気持ちがる訳には行かない。まぁ正直に言うとキモイのだが……。


 もしかしたら彼女が出来たのかもしれないしな。そしたら仕方ない気もする。さすがにその緩みきった顔はやめて欲しいけど。


「……で、何がそんなに楽しみなの?」


「ふふ……聞いて驚け充!なんと俺は!ゴールデンウィーク!毎日シルバさんと冒険するぜ!」


 立ち上がった在原はイスに片足を乗っけて右手でグッ!と掲げるようにして拳を作っている。


 あぁ……うん。まぁ何となくそのニヤニヤの気持ち分かるようん。憧れのシルバさんだもんね。仲良くなってて良かった良かった。


 …ま、俺はハナミさんとその間に仲良くなりましたけどね。


 …………ゴールデンウィークか。




「どうしますか?」


「ん?どうしたの薮からスティックに」


 プレイヤーホームでゆったりしていて、脈絡もなく話し始める俺。まぁ確かに薮からスティックだなぁ。


「ゴールデンウィーク。どうしますか?メリィちゃん」


「うーん………」


 メリィちゃんは今年は受験生。センター試験に向けての勉強やら、受験勉強やらで忙しい……はずである。多分。


 だって毎日スティックヒューマン・オンラインにログインしてるし、当たり前のように俺と一緒にゲームしてるし………あれかな?メリィちゃんは授業聞いてるだけで80点以上取れる天才さんなのかな?


「メリィちゃんは受験とか大丈夫なの?」


 そして、堪えきれずに聞いてしまった。俺も基本勉強はしないでも70は取れるため、ちょっと知りたかった。


「うん余裕。私、授業は寝てても何故か分かる人だから」


「oh……」


 まさかのスリーブリーディング!?いや、ここはメリィちゃんが天才っていう点でいこうか。うん、メリィちゃんは頭がいい……。


「みぃくんはどうなの?」


「俺も、授業聞いてれば70くらいは………」


 まだ高校二年生だし、今のところはまだあんまり難しくないって言うのが救いだな。あともう少ししたら勉強しないと。


「それじゃ、ゴールデンウィークは毎日基本的にはできるってことで大丈夫?」


「うん、それで大丈夫ーーーーあ」


「………ん?」


 何やら何かを思い出したかのように声を発したメリィちゃん。何か予定があったのだろうか。


「どうしたの?」


「あ………うぅ…」


 何か狼狽えるように声を出すメリィちゃん。いったい本当にどうしたのだろうか。


「あの………みぃ……くん」


「うん」


 名前を呼ばれたので返事をする。


「えっと……ゴールデンウィーク全体でお暇ですか?」


「えっと………」


 カレンダーを確認。俺は部活には入っていないため、特に学校へ行かないと行けない理由もなし。どこか旅行の予定もなし、友達と遊ぶ予定もなし。


 うん……なんか悲しくなってきたな!


「ーーーーうん、ゴールデンウィークは毎日暇だね」


 なんか言ってて凄く悲しくなってきた。俺って実は可哀想な人間なのかもしれない。


「それじゃあその…………たいです」


「……ん?」


 ボソボソっとして聞こえなかった。ヘッドホンをしてもきこえなかったため、かなり小さい声だったのだろう。


「その……会いたいです、旦那様………」


 ……………


 ……………………


 ………………………………ん?


 ちょーっとごめんね?一瞬俺の脳がショートしてた。


 ……で、なんだって?


「……会いたい…?」


「う、うん………」


 無意識のうちに呟いていた、メリィちゃんの要望。会いたい………会いたいって……あれだよな。会いたいってことだよな?俺、それ以外に会いたいって意味知らないのだが。


「えっと……いわゆる、オフ会……と言うやつでしょうか」


「うん……オフ会デート……しよ、旦那様」


 オフ会………オフ会かぁ……オフ会!?デート!?


 脳が言葉を受け止めた瞬間、俺の脳が沸騰したかのように熱くなる。


 まじ!?俺、あのメリィちゃんとオフ会!?しかもデートまでいけんの!?


「うん!その……したい!めっちゃメリィちゃんとデートしたい!」


「そう……?嬉しい…」


 嬉しいのはこっちじゃぁぁぁぁ!!と全力で叫びたいのを我慢する。好きな人とのデートなのだ。今まで画面越しでしか喋ったことがない俺たちが遂に会えるーーーーーーあ。


「あの………メリィちゃん、どこ住んでますか…?」


「え?………あ」


 俺たちはなんと、距離という概念を見失っていた。


「……えっと、俺、関東住んでます」


「あ、私も関東です」


 こーんな感じでお互いに広い範囲から狭い範囲へ狭めていき、俺は神奈川県、メリィちゃんは千葉県に住んでいることが判明した。


「それじゃ、ゴールデンウィークのどこかで、オフ会デート……しようね」


 とりあえず、ここに記しておこう。メリィちゃんがめちゃくちゃ可愛いということを。

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