第11話

 転移された場所は、どこかの大きい大広間だった。俺達が現れるとチャット欄で『お、双棒』だ、とか『最強コンビだ』などなど様々なメッセージが流れてる。


 さて、今回の新イベント、街強襲イベントは、かなり特殊な八人パーティー。普段、最大でも四人でしかパーティーを組めないので、なかなか新鮮である。まぁ普段から二人だから四人でも俺にとっては新鮮だけどね。


「……ん、あれ?またまたメッセージが激しく……って明鏡さん!?」


「うっそ!?マジ!?」


 名実共にトップの棒人ゲー最強キャラ、明鏡のハナミさん。ユニークアイテム『千本桜』を持つ。


「……やば!一刀のシルバさんまで出てきた!」


 ユニークアイテム『妖刀ムラマサ』を持つトップランカーの一刀、シルバさん。


 暫くすると、今度は聖剣のカリンさんや、要塞のゴランさん、流星のスピカさんや賢者のアランさん…………あれ?


 運営の使徒スレイプニール、図らずしも全員集合……?


[ハナミ]『珍しい、まさか私達八人が揃うとは』


 気づけば、俺たち八人は集まっていた。さっきから汗が凄くてコントローラーを持っている手が震えている。


[みぃ]『ssssssそうううddddでsssすね!!?、?』

[ハナミ]『……君、動揺しすぎではないか?』

[シルバ]『笑』

[メリィ]『す、すいません!ウチのみぃくんが!』

[カリン]『確かに。動揺しすぎじゃない?』

[アラン]『はは、面白いね、キミ』


 し、仕方ないでしょう!いくら俺がたまたまラッキーで運営の使徒スレイプニールにいても、ハナミさん含め全員憧れだっちゅーに!


 そして順番的にも、運営の使徒スレイプニールに入ったのは俺とメリィちゃんが最後。その時はまだ名前はなかったが、俺達が入ってから運営の使徒スレイプニールという名前が付いた。


[みぃ]『皆さん憧れですから!動揺するのは仕方ないです!』

[ゴラン]『ほぉ、憧れ。それは嬉しいな』

[スピカ]『ん、照れる』


 メリィちゃんとの会話も忘れてひたすらカタカタカタカタカタとタイピングの音が響く。耳元でもすごいカタカタカタカタカタと音が鳴っているので、向こうも必死なのだろう。


[メリィ]『私……夢見てるのかな!あ、スピカさん!後でフレンド登録お願いしていいですか!』

[スピカ]『OK牧場』


「やったああああ!!」


「ぎゃー!!鼓膜ーー!!」


 耳元で突然叫ばれたため、ヘッドホンを堪らず外す。み、耳痛てぇ……。


「あ、ごめんなさい!みぃくん!大丈夫!?」


「だ……だいじょばない……」


 凄くて耳が痛いです。まだキーンってしてます。音割れレベルはやべーってメリィさんや。


[ハナミ]『……ふむ、何かの縁だ。どうだろう?私たちでパーティーを組んでみないか?』

[カリン]『明鏡さん、それナイスアイデアです』


「「は?」」


 なんだって?パーティーを組む?誰が?俺たちが?


[ゴラン]『おー!それは面白そうだな!』

[アラン]『たしかに。序列関係なく、みんなの実力が見れるな』

[スピカ]『面白そう』

[シルバ]『たまにはいいアイデアを出すじゃないか明鏡』

[ハナミ]『偶にはとはなんだ偶にはとは』


 ……あれ?思ったより皆さん肯定的でやんすか?


[ハナミ]『さて、双棒。君達はどうだい?』


 どうだい?そんな面白そうなことーーー


「「わざわざ手を離す訳が無い!」」


[メリィ]『是非!よろしくお願いします!』

[みぃ]『よろしくおねがいします。後、双棒ってやめてください。呼ばれ始めた時2日くらい慰めあったんですから』

[ハナミ]『ん?そうか?私はその名の通りだと思うがな。明鏡の方が意味不明だろう。一体何を指してこうなった』


 やれやれ……という肩をすくめるエモートをハナミさんがした。


[ハナミ]『それではパーティーを組もう。リーダーは』

[シルバ]『そりゃあ言い出しっぺの明鏡だろう?』

[スピカ]『問題なし』

[みぃ]『ハナミさんでお願いします』

[メリィ]『みぃくんに同じく』

[ゴラン]『めんどいからパス』

[アラン]『上に同じく』

[カリン]『明鏡さんなら』

[ハナミ]『…………君たち?』


 既にパーティーに入っていたメリィちゃんの上に、新たに六本のHPバーが………やべ、写真撮っとこ。


 スマホでパシャ!と撮ると、耳元でもパシャ!と音がした。どうやらメリィちゃんも写真を撮ったようだ。


[ハナミ]『私もみぃくんと呼んでもよろしいか?可愛い』

[みぃ]『も、勿論です!』

[シルバ]『俺、二人の出会いとか気になるー』

[カリン]『無粋ですよ一刀』

[ゴラン]『そこは気になってもぐっと胸に押し込むんだよ』

[スピカ]『一刀空気読めー』

[シルバ]『あれ?皆酷くない?』

[アラン]『当然でしょう。二人の馴れ初めをきくなんて、馬に蹴られますよ』

[メリィ]『な、馴れ初めじゃないですよ!?』


 こんな感じで、グダグダとチャットしながら、ユグドラシル急襲イベント始まった。


 後に、俺たちの暴れようから使徒の虐殺カタストロフと名付けられるようになり、その動画を公式が出したら後々500万回の再生数を誇った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る