第8話
パチリと目が覚める。時計の時間を確認すると、まだ朝の6時30分だった。
……昨日は2時近くで寝たはずなのに、毎日早起きしているため、体が自動的にこの時間帯に起きるようになってる。
「ふぁ……」
まぁだからといって眠気がないという訳では無いけど。
ーーーーー二度寝するか。
おやすみなさい。今日は土曜日なので寝ます。
起床。午前10時16分。とりあえず飯を食べるにしては中途半端なので後でいいや。スマホを開いて在原のL○NEを探す。
『起きてる?』既読
『起きてる』
お、既読早い。
『それじゃあいける?琥竜の雄叫び』既読
『もち』
よし、ならばササッと琥竜行って昼飯食べるか。時間的にも丁度よさそうだ。
机に向かい、電源を入れてすぐさまスティックヒューマン・オンラインへログイン。そして今日は在原と通話しながらの攻略だ。
見慣れたプレイヤーホームからスタートして転移でユグドラシルへ向かう。
『ユグドラシルの道具屋前』既読
『り』
暫く待っていると、お目当ての人物がやってきた。そして直ぐにパーティ申請されるので受諾。自分のHPバーの上に小さく、もうひとつHPバーが。その上には『ウレ』という名前があった。
「うし、よろしくなーみぃ」
「よろしく、ウレ」
ウレ。在原がスティックヒューマン・オンラインで使っている名前である。そして、こういう時は名前で呼ばずにプレイヤーネームで呼び合う。なんかロールプレイングっぽいよね!といつロマンでこの呼び方になった。
「ウレは何武器だっけ?」
「あ?剣と、弓と一応杖だな」
「おっけ。なら今日は超攻撃型で行くか」
装備メニューから真祖の剣を取り出す。血のように真紅に染まった超カッコイイ剣だ。
「……いつみてもいいよなー。そのユニークアイテム」
「だろ?」
ユニークアイテム。このゲームに1つしか存在しない期間限定で一回しか手に入るチャンスがない超激レアドロップアイテム。
これが俺とメリィちゃんのコンビを有名にした出来事。俺は『吸血の産声』のラスボスである
ユニークアイテムを持つものは誰からも羨ましがれ、スティックヒューマン・オンラインのホームページにて名前を連ねることが出来るのだ。
現在、ユニークアイテムを持っているプレイヤーは8人。双棒の俺とメリィちゃん。明鏡でお馴染みのハナミさん、要塞のゴランさん、一刀のシルバさん、流星のスピカさん、賢者のアランさん、聖剣のカリンさんの八人である。
いいなぁー皆2つ名カッコよくて。やっぱ双棒ってなによ双棒って。是非とも2つ名を変えて欲しい。
ついでにだが、ユニークアイテムの強さで序列まで決まっているらしく、ここでも俺とメリィちゃんは一括りで三位だった。
「ま、ウレも日頃の行いが良かったらきっとドロップするさ」
今まであった期間限定レイドボスは八回。大型アップデートが来たので次の告知で期間限定レイドボスがくるのでは?とまことしやかに囁かれている。
話は戻るが、ユニークアイテム持ちのこの八人。八本足を持つあの神話の生物になぞって
「それじゃ、いくか。行ったことある?」
「あぁ。5回くらい野良で行ったが、二面のボスでやられた」
「あぁ。調整前にそれだけ行ければ今回よゆーだよよゆー」
「ほんとか!ならいよいよ琥竜産のレア武器ゲットだぜ!」
「ウレは色んな武器に手出してるからなー」
琥竜の雄叫びは様々な武器種が手に入る。在原にとっては宝の山だろう。
「2回までなら手伝ってやるから。しぬなよー」
「当たり前よ!」
「……で、どうだったよ」
「………すっげーやりやすかった」
2回琥竜の雄叫びへ行き、一旦プレイヤーホームへ戻ってきた俺達。無事に二回ともクリアできた。
「……てかみぃ!お前タイミング完璧すぎ!あんなにも敵の攻撃予測できるもんなのか!」
「計50回以上行ってますから」
もうそこら辺まできたら感覚よ感覚。
「やっぱみぃとコンビ組むと俺もコンビでやってみたくなるよなぁ……」
「基本ソロの人多いから探してみれば?」
俺とメリィちゃんの最初の出会いだってとあるコンビ限定ダンジョンを野良で潜った時だし。
「きっと素敵な
「なんかすげーやる気出てきた!俺、今から運命の出会い探してくる!」
「おう、行ってら。あんましつこいと粘着って思われるから、まじで波長あった人だけな。最初の言葉はめちゃくちゃうまかったですね。だぞ」
「おう、アドバイスサンキュー。それじゃあみぃ、また学校でな」
シュパッ!とウレの姿が消えると同時に、パーティー解除の音が聞こえた。
『めちゃくちゃうまかったですね!連携しやすかったです!』
『うん、私も凄いタンクしやすかった。他のことに気を取られずにしっかりと壁役できたのは初めて』
常設ダンジョンである『魚人の洞窟』に当時使っていたメイン武器の強化素材を集めていた時、あと何回か潜らなきゃ行けないから、あの後5回くらいやったんだっけ。
昔を思い出すと、無性にメリィちゃんの声が聞きたくなった。スマホを手に持ち、メリィちゃんへ通話。
何回かコール音の後、少し慌てたメリィちゃんの声。
「どうしたの?みぃくん。こんな突然に電話」
「いや、なんかねーーーーーー」
君の声が無性に聞きたくなったんだ。
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