第7話

「な……なんじゃこら……」


 視界悪っ!あ、なんだこの見たことないアイコン!


 新マップである鋼の雪原は、俺達を迎え入れた。強力な猛吹雪と共に。


「わわっ!なにこれなにこれ!」


 メリィちゃんの方も慌てている。とりあえず、何か対策取らないと!なんか変なバッドステータスでやられる!


「一旦!マップからでよう!」


 俺達は、開始30秒で鋼の雪原を後にするのだった。


 転移コマンドでプレイヤーホームへととんぼ返り。な、なんか情報量多くて無駄に疲れた気がする。


 遅れてメリィちゃんがプレイヤーホームに転移してくる。


「……暫く、休憩&情報収集」


「……うん」


 俺達は、スマホを手に取った。


 棒人ゲー攻略専用スレを開く。既に結構盛り上がっていた。


 1.そこらへんの棒人間

 鋼の雪原情報求む。俺も潜ったけどなんか情報量多くてやりにくい。

 とりあえず、俺が調査したことだけ書いておくから、足りない分追加していって。

 ・かなりの猛吹雪

 ・見たことないバッドステータス

 ・異常な命中率の高さ


 2.そこらへんの棒人間

 1<<有能


 3.そこらへんの棒人間

 運営から新情報でたで。ウラル貼っとく

 http(以下略)


 4.そこらへんの棒人間

 3<<おまんも有能


 5.そこらへんの棒人間

 とりま、運営からの情報を分かりやすく記載しとく。なんか質問あるなら運営に。

 ・新天候猛吹雪のせいで命中率は普段より30パーセントほどダウン。補助魔法オススメ

 ・新バットステータス『凍傷』。放っておくと、寒さで体力持ってかれるから注意。回復役は絶対にいる。

 ・新モンスターは全員軒並みに防御力が高くなっている。

 後の詳しいことは公式ホームページ行きな。


 6.そこらへんの棒人間

 5 <<まじ助かる。




 なるほど。あの雪の結晶みたいなアイコンはバッドステータスだったのか。棒人間だから寒いんだろうなぁ。


 とりあえず貼ってあったウラルからホームページ飛んで、詳しい内容に目を通しておく。


 大体スレに書いてあったのと同じ。確かに分かりやすく整理されていた。


 後、最初の村にたどり着くと命中率ダウンと凍傷のバッドステータスが無くなるアイテムが無料で貰えるらしい。


「ーーーーとまぁこんなとこかな?」


「私もだいたい同じですね」


 15分後。戦果を報告した俺たち。


「どうする?もう1回行ってみる?」


「行きましょうか」


 よし、なら早速転移コマンドを呼び出して、行き先を鋼の雪原にセット。既に1回行ったことあるから転移できるようになった。


 転移してすぐ、メリィちゃんと俺に命中率アップとHP自動ヒーリングの補助魔法をかけておく。


「よし、とりあえず今日の目標は第1村人ならぬ第一町を発見だ」


「了解であります!みぃくん隊長!」


「メリィくん、返事はサー、イエッサーだ」


「サー、イエッサー!」


 ノリがいい。二人で笑ってから道を進む。


「モンスターとの戦闘はどうする?」

 

「三回くらいでいいじゃない?基本的にモンスターってダンジョンモンスター以外非接触攻撃ノンアクティブだし」


 ノンアクティブ。こちらから攻撃しなければ敵対しないということである。何事にも例外はあるがな。


 例えば、今目の前から来てる狼系のモンスターはアクティブだな。しかも意外とスピードも早くてやっかい………ん?


「戦闘準備!」


 目の前から三体の真っ白なオオカミが現れた。カーソルを合わせると『スノウウルフ レベル38』と表示されていた。


 メリィちゃんがタンク専用スキルである『ハウル』を使い、ヘイトを稼いでターゲットを自分に向ける。寸分の違いもなく、一斉にメリィちゃんへ襲いかかるが、シールドバッシュで全員吹き飛ばした。


 そこで俺が『フレイムサークル』を発動させる。火属性の範囲攻撃で、レベル70の時に覚えた杖のスキルだ。


「……確かに、防御力が硬いな」


 大抵のモンスター……レベル38だったら、普通のモブよりも強い、同じレベルのモンスターでも瞬殺はできる。


 しかしこのスノウウルフ。HPの減りが遅かった。ぶっちゃけ俺もビックリした。一瞬「やべ、削りきれないかも」と思った。


「……ギリギリだったな」


 もちろん削り切るのがって意味だよ?しかし、範囲攻撃で攻撃力が若干下がっていたとしてもこの防御力か……魔法攻撃アップのバフかけとこ。


 その後も、俺らはスノウオーク、スノウゴブリン等、計5回の戦闘をした。だって、仕方ないじゃん!アクティブ系モンスター多すぎ!


 しかも全員防御力高くて、スノウオークなんて耐えられたわ!


 鋼の雪原……中々厄介な新マップだな……燃える!


 難しい程、ゲーマー魂が燃える。きっとメリィちゃんも同じ気持ちのはずだ。


 そしてついに、俺達は雪に覆われた街『フレディカ』に到着した。


 街に入ったら強制イベント。おやおやこの街は初めてかい?というおばあさんの話から始まって『耐寒マント』と『雪防止ゴーグル』を貰った。これが運営が言ってた凍傷を防ぐマントと命中率ダウン防止のゴーグルだ。


 街の中心に行ってポータルを開いてから一旦プレイヤーホームへ戻る。


「もう今日はやめとく?」


「……んー、そうしよっかな。夜更かしは美容の天敵だしね」


「それ、毎日ほぼ日付が変わるまでこれやってるメリィちゃんが言う?」


「もうみぃくん!それは言わないお約束だよ!」


「ははっ」


「あー!笑ったなーこんにゃろ!」


 棒人間が怒ってます!というようなエモートをする。それに平謝りするようなエモートで返しておく。


「もう……おやすみなさい、みぃくん」


「あぁ……おやすみ、メリィちゃん」


 そして、メリィちゃんのアバターは消えていった。

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