第6話
プレイヤーホームからユグドラシルに転移して教会を目指す。メリィちゃんとの通話はスマホからボイチャにかえ、スペクターモードで俺の画面を見ている状態だ。
「あれ……教会どっちだ……?」
「そこ右だよ」
紆余曲折ありながらも、何とか教会へ辿り着く。ここ別にそんな来る機会とかなかったから全くもって覚えてなかった。ユグドラシル広いからなぁ…。
そしてついに教会にたどり着いたのだが……なんかボロボロじゃね?
至る所にヒビが入り、白い壁も若干黒ずんでるし……予告動画ではもっと綺麗だっだぞ?
「どういうことだ……?」
「……とりあえず話しかけてみない?」
まぁそうだなと思って、頭上に『?』が浮かんでいる司祭らしき人物に話しかけてみた。
『お……おお、冒険者様じゃないですか。一体何かこの老耄に御用ですかな?』
[何か困ってるように見えた]
[いや……特になんでもないよ]
「選択肢……だな」
「まぁ普通に考えて上だよね」
上を選択する。
『……ほほ。見知らぬ人にまで分かるほどの深刻さですか……ちょいと、ワシの頼み事、聞いて貰えないですかな?』
ここまできたら、画面にクエストが発生する。クエスト名は『棒の花嫁』。うん、間違いはないな。
受注する……っと。
『おお!ありがたいですぞ!実はーーー』
さて、話が長くなるので簡潔に略したいと思う。
どうやら今、世間では結婚というものが流行っているらしく、教会もこの波に乗じてイメージアップを測りたいのだという。
しかし、教会はこの有様。壁はボロボロ、古い。内装はしっかりしているらしいが、外装で人は全く寄り付かなくなってしまった。
別にそれでも問題は教会管理職としては別に無いのだが、折角教会があるのだから、何かをしてみたいとの事。
そこで、今回の結婚ブームに乗っかろうではないか!ということである。
しかし、外装は司祭達がどうにかするとして、道具が足りないとのこと。結婚衣装に結婚指輪まで調達できる程の実力者がここにはいない。
だから、無料で結婚式を挙げるから、ちょっと素材集めてきてねとの事だった。素材渡せば後は向こう側が勝手に用意してくれるらしい。
『まず、冒険者様には新郎の衣装の材料である
「……アラクネ」
ボソッとメリィちゃんが呟く。アラクネは中級ダンジョンである『毒蜘蛛の巣窟』というボスモンスターだ。適正レベルは50だから、確かにソロで行けなくもない難易度だな。
レベルキャップが解放され、余剰経験値分も上がった今の俺のレベルは158。これでも頑張って貯めた方だが、トッププレイヤーである明鏡はレベル163までやっていた。
『それでは、頼みましたぞ!』
「アラクネかぁ……」
上半身が人間で、下半身が蜘蛛のモンスター。見た目もそらぁキモく、トラウマとなったプレイヤーもいるらしい。
しかし、あいつらの弱点は火だ。
ふふ……焼き蜘蛛パーティー始まりだな。
装備欄に琥竜の杖をセットして毒蜘蛛の巣窟があるマップへ転移した。
「いやぁ……鮮やかでしたなぁ」
「……ん?」
画面には『congratulations!!』の文字と、今回掛かったクリアタイムがが7分25秒と出る。
「出てくる蜘蛛を燃やしては投げ燃やして投げ……複数体の時は範囲魔法で燃やして……快感だったね」
「アラクネもほとんど瞬殺だったな」
キシャアアア!!と勢いよくでてきたと思ったら、中級程度の魔法三発当てたら灰になったし。
ポチッとボタンを押すと、『クエストキーアイテムを入手しました!』と出て、『人蜘蛛の丈夫な糸』が表示された。
「よし、これで最初のクエストクリアだな」
ダンジョンの外へ転移し、ユグドラシルの教会へ自動転移しますか?と表示されるので、迷いなくはいを押す。
すると、教会の前へ出るので、司祭に話しかけると、『人蜘蛛の丈夫な糸』が譲渡された。
『おおっ!流石冒険者様!これは正しく糸です!ありがとうございます!作るのはこちらでやります。完成まで一日掛かるので、明日取りに来てほしい!』
「これで、第一段階は終わりか」
「お疲れ様」
プレイヤーホームへ転移すると、メリィちゃんが声をかけてきた。
「別に、そんな疲れてないよ」
「でも…それって私、のためなんでしょ?」
「う、うん……」
ちょっと照れたように言うメリィちゃんが可愛くて俺までどもってしまう。
「……こ、これからどうする!」
変な空気になりかけていたのを払拭するため、何とか話題を提供する。
「え、……えーっと……そ、そうだ!新マップ行かない?どんなものか確認しときたいし、時間あまりまくってるし」
確かに、時刻はまだ00時30分にもなっていない。
「……そうだね、新モンスターも見ておきたいし、それじゃあ行こう!」
「うん!楽しみだなぁ!一体どんなモンスターが出るんだろう!」
そして俺たちは転移した。新マップである鋼の雪原は、前回大型アップデート追加されたマップから行けるが、めんどいのでユグドラシルの転移の間から行くことにする。
行先に鋼の雪原を設定してから、転移しますか?表示の下に2分の2と表示。
「いい?」
「だいじょぶ」
メリィちゃんに確認してから転移ボタンをポチ。画面が暗転し、明るくなったマップの姿はーーーーものすごい大吹雪だった。
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