どう表現したら良いのかわからない、そんな感情に包まれている。人生ゲーム中の他愛のない応酬と耳心地の良い屁理屈によって、僕らは世界に引き込まれていく。
少しずつ明かされる二人に共通する過去。それをやり直すかのような人生ゲームは、ゲームであってゲームではない。
人生の難事や辛い事件がフィクションによってフラッシュバックする居心地の悪さを真正面から描ける筆力は相当なものだ。
流星のように雨の匂いのように、それは見える人にしか見えないし、嗅げる人にしか嗅げないのかもしれない。
彼らは晴れた日に傘を選べるし、選ばないこともできる。良い話だった。