第4話 法蔵院家の宿題
学校から屋敷に戻った麗華は、自室にあるマホガニーの机を前にして、高級ビジネスチェアにゆったりと座り与えられた宿題に取り掛かる。
麗華に対して白鳥学園から宿題が出ることはないので宿題と言ってもこの宿題は、法蔵院グループの現
その内容は、
――法蔵院グループがいかにアギラカナに取り入っていくか――
ちなみに麗華のいま住んでいる屋敷は麗華所有のもので父
麗華はこれまでにアギラカナについてグループの調査機関が調査した内容をまとめたレポートを机の上のモニターに映し出す。内容を思い出しながら、考えを整理するため、もう一度読み返す。
その宇宙船から首相官邸前に小型の宇宙船で降り立って以降、アギラカナ大使館が都内に建設されるまでは積極的にメディアにも現れ、去年の流行語大賞にもノミネートされたアギラカナ代表、ミスター山田とその4人の美女たちではあるが、最近はほとんど大使館から人前に出ることもなく、今彼らは頭上の巨大宇宙船に戻っているのではと
彼らに代わって表に出ているのは、アギラカナ代表特別補佐官を務める
調査レポートによると、
その線で調査機関が調査を進めたところ、ミスター山田の本名は山田圭一、彼も一条佐江が○○製作所を退職する少し前にその会社を辞めていたことがわかった。彼の場合は製品検査偽装を主導していたとされ、実質解雇されたらしい。これについてはどうも、会社側に
いずれにせよ、ただの会社員だった山田圭一がどういった経緯で宇宙船国家アギラカナなどというとんでもないものの代表になりおおせたのかは不明である。
アギラカナ代表の山田圭一に接触することは、物理的にも不可能なため、接触可能なターゲットは外部との折衝を行っているアギラカナ代表特別補佐官の
写真や映像に映る
彼女に接触を試みようとしたものは皆、気が付くと見知らぬ山奥に一人ぽつんと立っているという都市伝説めいた
部屋の入り口で控えていた
「
「そうですな。お嬢さまが一条特別補佐官の前でか弱い女子高生を演じてみると言うのはどうでしょうか」
「あら、わたしは演じなくてもか弱い女子高生よ」
「申し訳ありません」
法蔵院流槍術免許皆伝の麗華が良く言うと心の中で苦笑する
「冗談よ。
「お嬢さま、私も『もちろんお助けします』と言いたいところですが、ミスター山田に付き従う4人の女性を見るに、いずれも私以上の使い手と見受けられます。彼女たちと同等、もしくはそれ以上の
「
麗華の父、法蔵院
「世間は広いと申しましょうか、宇宙は広いということでしょうか。私ももう少し若ければ、鍛錬を積み重ね彼らと
「そういえば、代田は今何歳なの?」
「今年で60、還暦です」
「てっきり40くらいかと思っていたわ。誕生日を後で教えてね。赤いちゃんちゃんこを作ってあげるから」
「ありがとうございます。赤いちゃんちゃんこを着た執事というのも新鮮ですな」
「
「あの方は私より
「あの人も50超えてるようには見えないけど、あなたたちそういう意味では異常よね」
これには
「それで、いかがいたしましょうか?」
「そうね、少しベタだけど、
「わかりました。そういった状況を作り出すよう手配します。ところでお嬢さま、一条特別補佐官にお近づきになられた後はいかがなさるおつもりですか?」
「それは、まだ何も決めていないわ。出たとこ勝負かしらね」
【補足説明】
ミスター山田
惑星型宇宙艦アギラカナ艦長、宇宙船国家アギラカナ代表、アギラカナ宇宙軍総司令官、駐日アギラカナ大使、等の肩書を持つ日本人。
ミスター山田に付き従う4人の美女
山田の秘書。バイオノイドといわれる生体ロボット。4人ともアギラカナ宇宙軍陸戦隊出身のため非常に高い身体能力と戦闘能力を持つ。一般には、山田の秘書であるとしか知られていない。
一条佐江
アギラカナ代表特別補佐官。山田のたった一人の直属日本人スタッフ。日本人スタッフのうちアギラカナ大使館内のアギラカナ専用区画に入ることが許されているのは彼女だけである。特別補佐官の名称は山田が思い付きでつけたもの。アギラカナ大使館職員としての初年度の年俸は5千万円。
アギラカナ大使館
宇宙船を改造してビルディングに模したもの。地上10階、地下3階。上層部の8階、9階、10階はアギラカナ専用階としている。日本人スタッフ(日本国各省庁からの出向者)は現在7階の一部を使用中。
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