第2話 君は『僕のことを好き』みたいだ。

 またまたその翌日の放課後。


「……そうだ、傘を渡したまま帰っちゃったんだっけ。返してもらわないとね。」


 僕は、帰る用意をしているときに、昨日に傘を貸したままだったことを思い出して、後輩の教室の方へ向かうことにした。


「………だよね。」


「………えぇ」


 お? 後輩の声が聞こえる。あと、話しているということは……誰か友達なのかな? まぁ、まだ帰ってはいないみたいだ。


 あの折りたたみ傘、結構お気に入りなんだよね。後輩が前に誕生日プレゼントとして僕にくれたものだから。


 それにしても、なにを話しているのか気になる……。恋バナとかしていたり? ちょっとだけ聞いてみようかな……。


 そして、僕は悪いことだと思いながらも、どうしても自分の理性に勝てずその場でしゃがむと、耳を澄ました。


「それで、どうするの?」


「………どうしよう?」


「その……好きな先輩はツンデレキャラが好きなんでしょ?」


「うん、前に私と部室に行ったときにそんな本を持ってきていたから。」


 おー、恋バナ……。って、は?


 部活の先輩っていったら、僕くらいしかいない、よな。っていうことは、後輩が……僕のことを好きって……。今、僕のことを好きって言ったのか?


 ……っていうかちょっと待て! だれがツンデレキャラが好きだって!? 僕は、普通に普通の人間だぞ! 変な性癖なんてないからな!


 ツンデレキャラは嫌いでもないけど、好きじゃないからな! それにしても、部室にそういう系の本を持ってきた……?


 あっ、もしかして僕の親友がツンデレキャラ好きだったような……ってことは、僕のかばんにそういう系の本を紛れ込ませていたのか。なんてこった……。


 ……はぁ。でもなんか、僕は変に思われているみたいだ。


 それにしても、その事をなんで後輩は知っているんだろう? ツンデレの本を見るってことは、僕のかばんを見るしかないと思うけど……


 まさか、な。


「まぁ、なんとかなるでしょ。可愛いんだから。」


「そ……そんなことないよ……」


「いやいや、自信持ってよ。モテてるでしょ。たまに、告白とかされているじゃん。」


「それは、そうだけど……。でも、それは性格がなんとかって話じゃないの? 告白してきた人、みんなそう言ってたじゃん。」


「それは、多分自分を性格をみて選んでいるいいやつだって、思わせたかっただけでしょ。まぁ、もちろん性格もすごいいいんだけど。」


 えっ、告白されてたのか……


 ズキッ……


 ん、ズキッ? なんだろう? ご飯の食べすぎで胃がもたれているとかそんなのかな?


 嫉妬なんて……ないか。そんなこと……


 でも、僕が好きってさっき言っていたし、まだ告白されているってことは彼氏はいないんだよな。


 ホッ……!


 って、だから次はホッってなんなんだよ。彼氏がいないからホッとするなんて………いや、だから……そんなこと……


「……よしっ、分かったよ。明日、告白するよ。」


「よしっ、よく言った!」


 告白……!?

 僕は明日、告白されるのか?


「……っ!?」


 僕は、それに戸惑ってしまった。そして、思わず小さい声ではあるけど声を出してしまった。


 や、やばっ……!


「誰?誰がいるの?」


 でも、こんな静かな部屋で、どんな小さい声でもよく響く……そのために、気付かないはずなんてなかった。まぁ、イヤホンとかヘッドホンとか、耳を塞いでいたりしたら気付かないだろうけど、友達と話している今、そんなことをしている可能性は0だ。


「……そのー、ごめん。」


「……先輩!?」


「えっ、先輩!?」


 僕は、どうすればいいか分からず、話していた二人の前に出てしまった。本当にやっちゃった……。


 傘を返してもらおうと思っただけなのに、こんなことになるとは……。


「もしかして、聞いていました……?」 


「ごめん……。き、聞いた……。」


 後輩が顔を赤くしながらたずねる。まぁ、僕も好きな人に好きなことがバレたら……恥ずかしいからな……。


「すみません、先輩さん。この子と話してくれませんか?」


「……あ、うん。分かったよ。」


 後輩の友達であろう人にそう言われたため、とりあえず僕と後輩はふたりでちかくの公園まで行くこととなった。 


 そして、そこの公園にあるちょっと小さめなベンチで座った。小さいために、肩がぶつかる。


 なんか、ぎこちない……。

 そして……恥ずかしい……。


 そんなことを考えながら、話を始めた。

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