第2話 一応整理しておこう
目を覚ます。数時間前と同じ、天井が見える。間違っても、うちのじゃない。
もう一度、目を閉じて、十秒数える。そして目を開ける。
…景色は変わらない。
「夢じゃないのかよ…」
もう既になんども思い知らされている現実を見て、何度めかのため息をつく。
「あれ、起きたんですか」
そんな俺を見て、《リオン》が何回目ですかというように話す。
ここに来てから10日ほど経った。かなり怪我は良くなってきている。かなりというか、とんでもないスピードで。
はっきりいって、何が起きているのかまだ完璧にはわかってない。
目を覚ましたばかりのときは、喋るのがやっとってくらいの怪我だったのに、翌日には食事が取れるようになって、今日、10日目くらいには、もう起き上がって本が読めるくらいになっている。ただ、最初に包帯で巻かれていた右目は未だに包帯。
どうやらこの怪我は治らないらしい。
もう、わからん…。
まあ起き上がるのには少々手助けが必要なんだけどね。
さて、この10日でわかったことを整理しておこうか。
ええっと…記憶は消えてないみたいだ。
そして、ここは、今までの世界ではないということ。どこかはわからない。
そして、さっき俺に話しかけてた少年は、《リオン》。どうやらこの世界ではそこそこの有名人らしい。まあ、俺にはわからないけど。
顔立ちはかなり整っているから、俺がもとにいた世界ではモテるだろうと思う。
…話題を戻そう。
俺はこの世界で嫌われてはいないようだ。それはかなりホッとした。いや、好かれているかっていうとそうでもないんだけど…。
まあそのことは後々話そう。
ここからは今の世界と俺がいた世界で変化したことを書いていこう。
まず一番に、容姿が全然違う。
前の世界…では、普通の男子高校生だった。明るい茶髪に、一七七センチの身長。ちなみに茶髪は地毛。祖母がフランス人だったから、その名残だ。まあ、至って普通だということが伝わればいい。
しかし、この世界では、銀髪(おじいちゃんみたいにはなってないから安心してくれ)になっている。それを細いリボンで軽く、くくっている、というわけだ。
そして、中性的な見た目になっている。実際は女っぽいのだけど…。
わからない。
身体自体は人間とさほど変わらないようだ。
この世界の奴らも人間とほぼ変わりない体つきをしている。文化などはやはり全然違うけどな。
言語など、についてだが、ここでは、俺の脳がここの世界の言語に適応している。…わかりにくいな。つまり、この世界で使われている言語は日本語ではないが、俺は日本語レベルに理解できているっていうことだ。わかったか?
…あとは、この世界に住む奴らはみんな、《能力》を持っている。ただ、ここに突然やってきた俺は当然持ってない。
はあ…色々大変そうだ。
一応このくらいだな。まあ、頑張って生きていこう。
「シノさん、お粥作ったんですけど、食べます〜?」
お。
「っ。ああ、もちろん!」
あと、こいつの作る飯は、うまい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます