第44話 出生の秘密

僕は15歳にしてはじめて、真実を知らされた。あの女は、僕に淡々とこう言い放ったのだ。


僕は父さんの子供ではない。

石井の家と僕とは、血がつながってない。

石井の家の誰も、父さんも、この事は知らない。

みんな僕を本物の息子、孫だと信じている。

この事実は、この女だけの秘密にしてきた。

そのままいければ、石井の財産は僕が相続できる予定だったから。

今回、離婚になっても、僕が黙って母についてくれば僕にも一生、言うつもりはなかった。

僕が母親と一緒に石井家から籍を抜くといわなかったので、仕方なく話した。

あんたを傷つけるつもりはなかったのよ。

だからあんたと、石井の人間たちは、縁もゆかりもない、血がつながってない、その家にあんただけ残して出ていけるわけない。

もし、石井家に一人残ると言い張るなら、この事を石井家にバラす。一文無しで追い出されることになっても、わたしはあんたを連れて行くから。


わかったら黙って引っ越しの準備しな。


そうそう、田上とやっと連絡取れたから。

あの嫁に、あたしもあいつも慰謝料取られた後だったのだけが悔しいけど、まあ、値切ってやったし。田上は精神的に弱ってたからラッキーだった。離婚したらすぐ田上と結婚するからね。

これであたしもあんたも好きなように暮らし続けていけるよ。

本当よかった。


あとは、この石井家からいくらとれるかだけなんだから、子供のあんたが邪魔するんじゃないよ!今話した事は、絶対、言うんじゃないよ。絶対。


僕は、ひとつだけ、聞いた。


その話が本当なら

僕の本当のお父さんは

だれなの?

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