第14話 助けて父さん

「もしもし」

「おーにゃと!おはよう!どした?母さんと旅行楽しんでるか?」

「、、、」

「あれ?どした?いまどこらへんだ?朝ごはんは美味しかったかー?」

「父さん、、、」

「ん?なんだよ、直人!父さん今から会社行くとこでちょっと時間ないぞー。どしたんだ?なんかあったか?言ってみろほら」

「いや、なんでもないよ。父さん仕事頑張ってね!お土産買っていくから!」

「おう!ありがとなー!じゃ行ってくるな!母さんによろしく」


電話が切れた。父さんには何も言えなかった。言っちゃダメだ!父さんは昨夜僕が見たことを知ったらどうするだろう。許すわけがない。きっと母と大喧嘩になって離婚する。そしたら母は、あの生活力のないだらしない母はどうやって生きていくんだ?僕は?僕はどうなる?いろいろなことが頭を堂々巡りして、激しい頭痛で立っていられなくなった。


風に当たろうと部屋を出ると、田上が戻ってきて僕に向かって手を振った。携帯で誰かと話している。そのまま片手に持っていたパンとジュースが入った袋を僕に持たせて甲板の方へ歩いて行った。僕は、部屋に戻ろうかと思ったが、意を決して田上の後を追った。

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