第4話 母の女友達
僕は中2にもなって女の子を好きになったことがない。それはあの日の経験が原因だとうすうすわかっている。母が友達?を集めてうちでランチした時だ。母より年上でおばあちゃんより下、という感じのおばさん達がやってきた。僕にも食べろというのでその場にいた。そこで聞かされた話は、僕の人生を変えた。きっと、あのせいだ。
「今回はマジで当たりだよ。やっとだー!だってさあ、持ち家あり。嫁のみ。子なし。年収1,500で自営業。しかもITだよ。クルマはMINIのオープンカー。なんと、ハーレーも乗ってんの!」
「なにそれ?そんな男があんなとこ来るわけないじゃん」
「でしょ?奇跡でしょ?いやー私マジついてる」
「漁るだけ漁ったもんねえ。何人目よ」
「あー覚えてないけど、20くらい?」
「一年で?ちょっとそんなだっけ?流石にすごい数だわー!よく子供できなかったよねー!あはははは」
「危なかったの何度もあったよ。ま、できてても誰のかわかんない状況だったからさ、ほんとよかったわ」
「で?どーするの?そいつに絞ってくの?」
「けっこー仕事忙しいしまだ嫁大事ぽくてさ。会えない時も多いからしばらくかけとくわ」
「何人残すのさー」
「だってあっくんとのりのりは切れないじゃん。金もらってるし」
「三股かあー。ま、みほなら余裕だな」
「その当たりさんにはバレない?」
「絶対大丈夫。それに向こうも今までさんざんあれ使ってきてるから、しばらくは何人かいるんじゃん?」
「あんたそれでいいの?」
「かなりあっちが合ってるからさ、すぐ私のもんだよ」
「えー!自信満々じゃん、またあれやったの?クルマの中でとか?」
「あれは効くよねー!男ってマジ馬鹿だと思うわ。あのクルマで嫁と出かけるのかと思ったら私も燃えるんだよね。」
「あんたマジでサイテーだわ!あはははは」
僕はあの時まだ小3で、わかるところとわからないところがあった。でも、気持ち悪くなって食べさせられてたピザを吐いた。
「うわ!ねーにゃとが吐いたよ!大丈夫かー?」
「にゃとー!なにしてんのよ!お母さんの仕事増やさないで!おばあちゃんち行ってきな!」
僕は走って5分のお父さん方のおばあちゃんちへ行くために大急ぎで靴を履いた。母は「にゃと、愛してるよ。おばあちゃんにここで聞いたこと話したらダメだよ。おばあちゃんは何にもわかんないからね。心配かけるとおばあちゃん年だから死んじゃうんだよ」と笑って言った。
僕はおばあちゃんがとても好きだし、これが話してはいけないことだという事くらい、もちろんわかっていた。
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