第10話 一日一事「世界びっくりグルメ紀行17 トブウシ」 グルメ作家 メーグルマン

●キング・オブ・肉の変わり種を求めて

神庭の泉に塩と胡椒が流れ着いて以来、人類はあらゆる肉を食してきた。


しかし、いつの時代も肉の王者は決まっていた。牛肉である。


人類の歴史に逆らわずステーキ大好きな私は、エンタメ記者の一団にくっついて東魔境大陸のブモー諸島に降り立った。


島全体が自然保護区となっているブモー諸島には希少動物が非常に多く、家畜も珍しい動物を飼っている。


●トブウシ

私の目当ては地元の人が愛してやまないという島牛、「トブウシ」である。地元民御用達のガッツリ系食堂にて、このトブウシのステーキを食してきた。


まずはトブウシの翼ステーキから。トブウシは翼が生えている小型の牛で、名前の通り飛ぶことができる。その翼の根元は島民たちのごちそうとなっているそうだ。


翼を支えていた根本っぽい部分が輪切りになって登場した。


焼き具合はお任せでレア。翼というと固い筋張ったイメージがあるが、実物は全く異なり非常に柔らかく脂身がほとんどである。


口の中に入れた瞬間に溶け消えてしまい、一枚間食しても胃もたれはしなかった。今まで食べた脂の中で、最もうまい。あまりにうまい。


グルメ作家としてそこそこの実績がある私だが、これはうまいとしか言いようがないのだ。


後から分かった事だが、トブウシの脂には脳の言語野の活動を一時的に抑える効果があるらしい(リラックスもする)。


地元の子供たちはテストの前には絶対に食べないのだとか。


今回の語彙力の無さは、トブウシのせい。そう思いたい…


グルメ作家・評論家 メーグルマン

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る