第8話 マーデルローズ魔法女学校 男子生徒の受け入れを決定

●女子魔法学校の名門が共学化

西魔法大陸にある名門、マーデルローズ魔法“女”学校が歴史的な決定を下した。


同校は今年度の入学試験から、男子生徒にも試験資格を付与する。名門女学校の事実上の共学化に、魔法教育界には衝撃が走っている。


●入学試験で性別は問わず 

マーデルローズ魔法女学校の入試課によると、今年度からの入学試験の性別要件の変更は「男子生徒」の入学を認める事を決定したわけでは無いという。


「入学試験の申し込み手続きにおいて性別申告を廃止した」というのが正確な変更内容である。


つまり、男性に限らず、どんな性別でも理論上入学できるようになった。


●入学後の性別はこれまで通り自己申告で

なお、入寮手続きなど入学後に必要のある場合は、性別の申告を求める場合がある。


その場合の性別も自己申告制をとり、医学的・文化的な性別分類は適用しない。


マーデルローズ魔法女学校は真実薬の権威が在籍しているため、性別の虚偽申告は不可能である。


●共学化の理由はいつも通り「校長の一存でございます」

世界3大魔法学校にも数えられる、歴史と伝統あるマーデルローズ魔法女学校。なぜ今になって共学化に踏み切ったのだろうか?


入試課の発表会見でも同様の質問が飛び交った。担当者の解答は「校長の一存でございます」のみで、マーデルローズ魔法女学校ではおなじみの対応となった。


●マーデルローズ氏とは

校長のマーデルローズ氏は同校の創設以来、校長を歴任し続けている。魔境帝国の魔法使いの村(当時)出身で、魔境帝国魔法研究所を経て世界初の女性魔法使いのみの学校を創設した。非常に気分屋で変わり者として知られている。


マーデルローズ魔法女学校の独創的な校風は校長の影響が大きく、今回の決定に限らず「校長の一存」で変更された学内規則や設備は多いようだ。[i]


●受験生人気高騰に女子生徒からは動揺も

今回の決定により、受験生には動揺が広がっている。


近年、テレビンドラマ「マリアンローザ魔法女学院」の影響で、ドラマのモデルとなったマーデルローズ魔法女学校の受験人気が上がっている。同ドラマには男子魔法使いのファンも多く、予備校各社は今回の変更で志願者数が激増すると予想している。


女子魔法使いの名門としてマーデルローズ魔法女学校を志望する女子生徒からは、「長年の努力が男子生徒によって無駄にされるかもしれないと思うと、不安でたまらない」といった声が上がっている。


●マーデルローズ氏 本人のコメントに注目

魔法世界の反応の大きさを鑑みて、マーデルローズ氏は近く個人紙上でコメントを発表する予定である。本紙ではマーデルローズ氏と受験生たちの動向を引き続き取材していく。


[i] メートローマ(5972)「魔法女学校の生活」参考

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