第7話 魔境帝国 北側支援に特別予算30兆Ⅿか?首相は国際協調を訴え

●魔境帝国30兆Mの巨額支援を発表

4月20日、魔境帝国が北側大陸の支援関連予算として、30兆マークルを支出する用意がある事が分かった。30兆という金額は、魔境帝国の1年の国家予算の3分の1に相当する。


●イディア首相が世界会議で協調よびかける

この事実は東部中立地区で開かれた世界会議において、イディア首相から発表された。


イディア首相は「魔境帝国はかつて北方の脅威と戦いました。しかし現在はそこにいた人々も同胞となっています。南海の大陸でできたことは、海を隔ててもできるはずだと信じています。」と、諸外国の協調を呼びかけた。


●敗戦国に多額の支援 国民の声は賛成多数か

首相の会見を受けて、魔境帝国内ではイディア首相に賛同する声が個人・組織・企業レベルで多数表明されている。


世界文学賞を受賞した魔境帝国出身の作家・キギキヨネ氏は、自身の発表する個人紙において「わが魔境帝国の首相を、これほど誇りに思ったことはかつてなかった」と首相を絶賛した。


魔境帝国を代表する企業・ペンシル社は、「魔境帝国の公的予算とは別に10億マークルの寄付を表明する」と賛同を示した。


現地メディアの世論調査によると、イディア首相の支持率は高水準を保っており、北側大陸への支援には肯定的な国民が多数派であるようだ。


●国内無神論者は難色

一方で、敗戦国である北側諸国に対して多額の支援を行う事に難色を示す声も聞かれる。特に強い反発を示しているのが、魔境帝国議会の無神論派勢力だ。無神党、人間党、真神党*1は共同で反対声明を発表している。


反対声明によると、イディア首相は3月初旬に始祖神と会談しており、始祖神の御心に感銘を受けた様子が報じられていた。北側大陸への支援にかじを切った背景には、始祖神の存在があると考えられる。


無神党のサッコー議員は、「首相が個人的な宗教的価値観によって国家予算レベルの金額を動かすことに賛成できない」と述べている。3党は今後、イディア首相の退陣要求を視野に協力体制を取ると予想されている。


●魔境帝国の支援 北側復帰の糸口になるか

北側大陸支援・復帰の突破口になるかもしれない魔境帝国の巨額支援。イディア首相の進退を含め、世界中が動向を注目している。


*1:真神党は無神論ではないが、現在降臨されている始祖神を「真なる神」として認めていない。始祖神関連の議論では、しばしば無神論派と合流している。

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