第5話 魔族の祖先 魔境大陸の魔王と類似か?遺伝子研究すすむ

●魔族の謎解明か? 新研究すすむ

新種族として注目されている魔族。彼らが実はこれまでにも世界に存在していた可能性があると主張する論文が発表された。


魔族の遺伝子は、太古の昔に魔境大陸を治めていた魔王の一族に類似しているという。


●東部魔法科学集合研究所で調査が進行中

論文を発表したのは、世界中立機関である東部魔法科学集合研究所の研究チームだ。


魔族大陸の住人をランダムに遺伝子調査し、世界中のあらゆるサンプルとの遺伝子比較を行った。


その結果、魔境大陸に伝わる魔王の廃城で発見された遺物に付着していた遺伝子が魔族の物と類似していた。


●遺伝子調査の技術「北側大陸と共にほとんど失われている」

しかし、類似点が見つかっても「魔族は魔王の末裔」と言い切ることはできないという。


その理由は、魔王の廃城で見つかった遺伝子は損傷が激しく、当時の住人の遺伝子かどうかを判別することが困難であるからだ。遺伝子調査の技術は科学力の賜物で、北側諸国が本場だった。


北側諸国出身の研究員A氏は、「北側大陸の崩壊と共に、重要な技術や設備がほとんど失われてしまった」と語る。


●魔法粒マーカーテストが突破口になるか?

遺伝子調査の技術の損失で打撃を受けている研究チームだが、魔法技術で補える可能性に注目している。


魔法粒の活性度を検査する魔法粒マーカーテストを遺伝子調査と組み合わせる事で、魔王城で発見された遺伝子の正体を特定しようというのだ。


この方法が成功すれば、魔族と魔王のつながりだけでなく、魔族が出現した理由や北側大陸の行き先も解明できる可能性があるようだ。


●南側諸国 魔族受け入れやすい文化傾向

研究結果を待たずに、魔族と魔王のつながりを後押しするような調査結果もある。


魔境帝国をはじめとした南側諸国の人々は、魔族を受け入れやすく親和的な傾向にあるという。


その理由としては、亜人や魔法生物と共生する文化があり、多様性の高い社会を前提として生活しているからだと考えられている。


もしかすると、魔境ではかつて魔族と人が共に暮らす国があったのかもしれない。


学術部記者 ロックジョージ2世


神庭暦6000年5月

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