病名は・・・
「相談ってなんのことだろう」
俺は
もし文芸部を退部したいとかだったらどうしよう。せっかく片思いの相羽さんと同じ部活にはいれて毎日の部活の時間が楽しみだったのにそれが終わってしまう。
もしかして下心があって部活に入ったのがばれた?
俺は内心不安で一杯だった。
そんなことを考えていると相羽さんが部室に来た。
「遅れてごめんね。ちょっと先生に頼まれたことが長引いちゃって」
「いやいや、全然大丈夫だよ。それで相談したいことっていうのは?」
「えっとね、まだわからなんだけど」
「もしかしたら私病気かもしれないの・・・」
「え?」
予想外のことに俺は頭が真っ白になった。
え?病気?もしかしてこれから入院するとか・・・
「そんな顔しないで。重たい病気とかじゃないと思うから」
そんな顔に出ていたのか・・・
「それじゃあどんな症状なの?」
「えっと・・・最近食欲がなくなったり、寝つきが悪くなったり、なんかいろんなことに集中できなくなっちゃうんだよ。あと心臓の鼓動がすごく早くなる」
今は7月の下旬だしその症状なら夏バテの可能性が高いと思ったが、それならわざわざ俺に相談なんてしないだろう。きっと相羽さんもそれぐらいわかっているはずだ。
夏バテ以外の病気でそんな症状がでる病気はあるかな??
「その症状が出るときっていつ頃とかわかる?」
「それは・・・えっと・・・」
相羽さんが口ごもってしまった。言いにくい質問だったかな?
「いや、言えないんなら全然言わなくてもいいよ」
「いやいや、そういうわけじゃないんだけどね!!!えっと・・・その・・・」
「特定の人と一緒に居たりすると治るんだけど、その人と離れたり学校が終わるとなぜかこの症状が出ちゃうの・・・」
それは恋煩いだよ。と言うことが俺にはできなかった・・・
「こんなこと相談できるの
そうだった相羽さんは超が付くほどの機械音痴だった。
スマホも電話しか使えないんだった。パソコンなんて電源を入れてないのに起動しないとかって半泣きで助けを求められたこともあったっけ
ここでその症状が恋だということを教えてしまってもよいものか
でも相羽さんは恥ずかしい思いをして俺に相談をしてくれたんだ。誠実に対応しなくてはいけないのではないのか
そして俺は・・・
「ごめん相羽さん。俺もその症状が何なのかわからないや」
ごまかしてた。自分の恋心を優先してしまったのだ
「そっか・・・相談に乗ってくれてありがとうね。なにかお礼をしなくちゃね」
「いやいや、俺なんもしてないしお礼なんていいよ」
俺は相羽さんの恋を邪魔しようとしたのた。今も罪悪感で死にそう
「そうだ、土曜日って時間ある?行ってみたいお店があるんだけど一人で入る勇気がなくて・・・その今日のお礼ってことで私が奢るよ」
あれ?もしかしてこれってデートでは????
いやいやいやそんなことあるわけないだろ。これはお礼だお礼。ここで意識するほうがおかしい
「もちろんいいよ。でも俺は何もしてないんだしちゃんと払うよ」
「それじゃあ9時に駅前に集合でいい?」
「わかった」
「やっぱり智晴君といると症状が和らぐんだよね」
「え?なにか言った?」
「うんうんなんでもないよ!!今日はありがとうね!!!それじゃあ」
そういって相羽さんは一目散に部室から出て行ってしまった。
恋をあつめました @yoru1022
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