神頼み

(神様お願いです。私の想いに直人が気付きますように)


今日は元旦。私と直人の二人で初詣に来ている。


私の恋は神様に頼るしかなくなってしまった。


(っていうかおかしくない?私がどれだけ直人にアプローチしたと思ってるの?)


(毎日お弁当を作ってあげたり、さりげなく彼氏ほしいアピールしたり、休の日とかお祭りに毎回誘っているんだよ。今日の初詣だってこっちはデートのつもりで誘ってるんだよ。これだけアプローチしているのに気づかないなんてことある???)


(なんでこの馬鹿はこんなにも鈍感なの??)


(あれなんだろ、無性に腹が立ってきた)


(これからもみんなが元気に過ごせますようにっと)


俺は香澄が願い事を言い終わったかどうか確認するためにチラッと横顔をみたら、呪いをかけんばかりの表情でこちらを見ていた。


「え?何怖い、俺に呪いでもかけてんのか」


「別に直人の馬鹿が治りますようにってお願いしただけだし」


「はぁ?お前よりは馬鹿じゃねえよ!!」


「はいはいそうですね」


「なんか怒ってねえか」


俺はわけもわからず急に怒りだした香澄をなだめるのに手いっぱいだった。

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