第25話 反省
・・・不覚です。
観覧車に乗ってからの記憶が全くありません。
舞い上がってしまいその上にあんな恥ずかしいことの連続で。
まさか快斗が別人のようになってしまうとは・・・
あんな積極的なのは彼じゃないわ。きっと何か理由があるはずよ佳純。
ベッドの上であれこれ考えていると、ちょっとだけドアが開いていてきらりと光る2つの目が合った。
「ママ!勝手に覗かないでよ!」
「あらあら、さっきから顔を真っ赤にしながら何を思い出していたのかしら?その様子だと作戦がうまくいったようね」
ママが不敵な笑みを浮かべるのを見て、嫌な予感が頭をよぎる。
「・・・なにかしたの?」
「なにもしないわよ?ただチョコレートを・・・ウイスキーボンボンをあげただけじゃない」
・・・え!?
あれってただのチョコレートじゃなかったの?
快斗と遊園地デートに行く前日の事だった。
急にママが「夕方に小腹がすいたらこれを食べなさい」とチョコレートをよこしたのだ。
そしてジェットコースターに乗る直前に鞄から
・・・その直後
「いいなそれ?チョコか?」と快斗に言われ、「あげようか?」と手渡してしまったのだ。
好きな人にはなんでもあげたくなっちゃうじゃない?
「消極的なあなたの手助けになるかと思って、少し強いお酒の入った特製ボンボンを授けたのよ」
やめてよそのドヤ顔。手違いで私は食べていないんだから・・・あっ!
・・・ひょっとして、ジェットコースターであっという間に酔いがまわった?
そういえば快斗の頬が妙に赤くなっていたっけ。わたしとのデートで照れちゃってるのかと思ったわ。ハプニングもあったし。海風のバカ!!
「・・・ねえ?高校生は飲酒禁止だよ?」
「ただの景気づけだから大丈夫よ。まあ・・・お酒の弱い人が食べたら面白いことになるけどね」
そう言ってペロッと舌を出す。
私が似てしまった、いたずらをした時のジェスチャーだ。
娘を危険にさらす親がどこにいるだろうか?ここにいるけど・・・
「・・・快斗が食べて、チャラ男に変身しちゃったの・・・。次にどんな顔で会えばいいかわからないじゃない!どうしてくれるのよ!」
「言葉とは裏腹に幸せそうな顔してるのはどこの誰よ?楽しんだくせに。あなたじゃなく快斗君がお酒に弱いのは嬉しい誤算だったわね。今度また家に呼んだら?そしたらわたしが・・・」
「ダメ!絶対にダメ!快斗はわたしの---」
「はいはい。それぐらいはっきり本人に気持ちを伝えなさい」
言いたいことだけ言ってママは部屋を出て行った。
・・・まったく親バカなんだから・・・
* * * *
・・・やってしまった。
観覧車に乗るあたりからはっきりした記憶がない。
覚えているのは大好きなアニメキャラを自分が演じてる夢を見ていた事だけ。
せっかく高いお金を出して観覧車に乗ったのに、揺れが心地よくて夢を見ながら眠ってしまったようだ。
やっぱり夜中までゲームをしていたのが響いてしまったのだろう。
スタバで苦いエスプレッソを飲んだら意識がはっきりしたものの、佳純は眠ってしまった俺に怒りをあらわにして顔を真っ赤にしていたし。
帰りもほとんど話をしてくれなかったから明日が怖い。
今週末の金曜日からは美少女達と怒涛の3連戦が待っているのに、デートの練習もできなかったとは。
次は・・・風紀委員とか。
最初から敵意むき出しの彼女とデートなんて本当にできるのだろうか?
今から胃が痛い・・・
明日は気分転換に新しいラノベでも久しぶりに買いに行くかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます