第23話 デート調査
もう!もう!もう!
どうしてこうなったのよー!!
ちなみにわたしは牛になったわけじゃないわ。
快斗の周りが急に慌ただしくなってきたから、いろいろ探りを入れて芸能事務所に一緒に入ることができたまでは良かったけど・・・なによこれ?
ゲーム作りでずっとわたしと一緒にいるはずが、なんであの年下のデカパイとデートしてんのよ?
・・・しかも気安く「センパイ!」とか言って抱きついて馴れ馴れしいっての!
これからどこへ行くのか調査しないと。これはあくまでもゲームヒロインの市場調査よ。決して尾行してるわけでもヤキモチ妬いてるわけじゃないんだからね。
やってきたのは・・・公園?
こんな人も多くて子供を連れた家族ずれがいるところなら間違いも起こるはずないから安心ね。
間違いがなにかって?あれよあれ、快斗の無自覚な天然イケメンぶりでするあれよ。
「ママー!ここに大きな葉っぱで頭を隠してるおねーちゃんがいるよ?一緒にかくれんぼして遊んでもいい?」
「へっ!?」
「み、みーちゃん、だ、だめよ!おねーちゃんはひとりで戦争ごっこしてるみたいだから邪魔したら。あっちで遊びましょう」
「はーい!」
「・・・・」
佳純、無になるのよ。心を落ち着かせるのよ。いまはそれどころではないんだから。
いけないいけないかなり目を離してしまったわ・・・ってえ?え?ええ?
「あーーー!!」
な、なにやってるの!?なんであの子に触ってるのよ!!思わず声出しちゃったじゃない。
角度的にちょっと見えずらいけど、ま、ま、まさか・・・あのメロンみたいなデカパイ触ってるの?
う、嘘でしょう?しかもなんであの子触られても照れてるだけで嫌がらないのよ?おかしいじゃない!
ひょっとして・・・
そうだわ!快斗が自分から女の子にそんなことするわけないもの!
きっと陰キャだからってからかってるんだ。誘惑するふりをしてばかにする気ね!
その証拠に眼鏡に手をかけて・・・外そうとしている。ん?このパターンってやばくない?
「ああああああ!?」
あっさり素顔をさらして抱きつかれた!
・・・手遅れだわ。あの子の顔が完全に乙女になってるもん。わたしならイチコロだわ。
快斗は相変わらず気付いてないみたいだけど、どんだけ無防備なのよ!!
腕まで組まれちゃって・・・明日はお仕置きが必要ね。もう・・・
「バカ!」
その後、公園に怪しい人物の目撃情報があったためお巡りさんが巡回にやってきたが見つからなかったらしい。
* * * *
昨日は久しぶりに大きな公園で運動ができて楽しかったな。
夜にパフォーマンスをするとかなり危険が伴うし怪我はしたくないから。
ダンスが上達したおかげで、最後は彼女も上機嫌になってくれたし人が喜んでくれるとこっちまで嬉しくなる。抱きつかれたのは想定外だったけどスランプを脱出したのだからうれしいに決まってる。
昨日のことを考え学校までの道のりを歩いていると、白いリボンで髪をポニーテールにしている佳純の後ろ姿が見えてくる。
「おはよー佳純。やっぱりポニーテルが似合うな」
「な!?あ、朝からもう・・・あなたのそーゆーとこどうにかしなさいよ!わたしにだけならいいけど・・」
最後の方は声が小さくてよく聞こえなかったけど、怒って頬が赤く染まっている。低血圧でイライラして朝から話しかけられるのが苦手なら言ってくれればいいのに。
「そういえば今朝の占いみたか?俺は『親しい人と時間を大切に』だってさ。(美雲は仕事だから)放課後どこか行かないか?他に親しい人なんて俺にはいな・」
「行く!絶対行く!遊園地行こ!メロンになんか負けてられないから!親しい人はわたしに決まってるもんね!でへへ・・」
まだ言いかけてるのにここまで即答するとは、かなり遊園地が好きらしい。喜びでよだれが出てるけどメロンに負けないってなんだ?ダイエットでもしてて我慢しなきゃいけないってことだろうか?すごい気合いだな。
俺としてはゲームのために今後もあまり親しくない女の子とデートしなければいけないから、参考にさせてもらいたい。次の予定は明日の放課後になっているのに昨日は会話がもたず聞く一方でかなり疲れてしまったのだ。
「じゃあ決まりだな。ところで佳純の占いはどうだったんだよ?」
「内緒よ。今日は、な・い・しょ」
『昨日の事をまだ怒ってるんだから。で、デートに誘われたくらいじゃ許してあげないんだから。は、恥ずかしいお仕置きをたっぷりしてあげるわ!私の今日の占いは・・・好きな人にわがままを言ってもいい最強の運勢なんだから』
放課後が待ちきれない佳純だったが快斗は当然気付いていない。
果たしてどんなお仕置きがまっているのやら・・・
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