第8話 お客様→サボリ魔天使ちゃんと百戦錬磨の祓魔師さんと生真面目天使さん

「店長さーーん‼︎今日はぜっっっったいここにいることがバレませんよ‼︎」

「そのセリフ、毎回言ってるよアリアちゃん…」


私の店をサボり場所として使用しているアリアちゃんは堕天しかけている天使だ。アリアちゃんが店にサボリに来る。毎回絶対に上司のヤスさんにはバレないから、と言う。早ければ1分、遅くとも10分後にはヤスさんがこの店に来る。その度に私がヤスさんにお小言を頂く。

……なんとかして仕事に戻っていただきたい。


「店長さん‼︎暇だから恋バナしましょう‼︎乙女トークしましょう‼︎」


「何がどうなってそうなるのかなぁ……」


アリアちゃんの話には緩急がない。唐突に始まり、唐突に終わるのだ。まぁ、終わるというよりヤスさんによって強制的に終わらされるのだが。


「で⁉︎いるんですか!好きな人‼︎」


目を輝かせながらアリアちゃんがこちらを見ている……。キラキラした、子犬みたいな目。この目に私は物凄く弱い。だから、ヤスさんに甘やかしすぎだと言われるのも仕方がないのかもしれない。


「まぁ、いるけど……」


「えええええええ‼︎誰ですか⁉︎教えて下さいよ⁉︎最悪、なんで好きになったかだけでもいいですから〜!」


……。好きな人はいるが、好きになった理由か……。何だろう。言葉にしようとすると上手くいかない。そういえば、好きになったのっていつだっけ……。はっきりとは分からない。

でも、それでも好きなのだ。


「なんでとかは詳しく言えないけど、でも、好きだよ。その人のこと」


「なるほど!びびっと来たんですね。運命の赤い糸で繋がってるのかもしれません!店長さんの好きな人ならいい人そうだしカッコいいんだろうなぁ〜……ヤスさんと違って」


……ヤスさんって一応、アリアちゃんの上司なんだよね?好きな人の話の時でさえ、ヤスさんのことをいじるとは、流石アリアちゃんだ。怖いもの知らずすぎる。アリアちゃんがヤスさんのことを話すといつも迎えが来るんだよな……と思っていた時だった。


店のドアがギィ、と音を立てた。


「ぁぁぁぁぁ!ゴキちゃん襲来!店長さんどうか、どうにかして下さい」



「えっ⁉︎どうにもできないよ!えぇと……いらっしゃいま……せ……?」






「邪魔するで」







そこにいたのは、ヤスさんではなかった。黒のライダースジャケット(中に白T)に黒のズボンを履いてサングラスにピアス、極め付けに腕に数珠をはめたお客様……がいた。身長も190はゆうに超えているだろう。


「て、店長さんっ……なんだかおっかなびっくりな人ですね……」


少し怖いのだろうか。アリアちゃんは私の服の裾を引っ張って耳元でそう囁いた。いや絶対さっきアリアちゃんがゴキちゃん襲来とか言ってたの聞こえてたでしょ……。なんなら怒ってる可能性高いよ?どうしよう……。


「店長さん、此処って雑貨屋やんなぁ?」


「えぇ……」


ものすごく緊張する。威圧感のある低い声に訛りがすごい。

というか、私を店長と思ったあたりアリアちゃんが囁いたのが聞こえたのか?

まさか。私も少し怖いと思ったがお客様相手に失礼だと思い直した。


「何かお探しの物はございますか?」


「そこにあるテーブルが欲しいんやけど……」



そう言って、お客様は入ってすぐ右にあるテーブルを指差した。

テーブルとは珍しい。


「その商品はエルフが作ったオークのテーブルですね。美しい素材感とスタイリッシュなデザインが特徴なんです。使っていくと天然木ならではの味が出てきます。」


「ほぉ……それはええなぁ。」


その人は商品をじっと見つめている。いつもは五月蝿いアリアちゃんがこんなに静かなのも珍しいかもしれない。アリアちゃんはお客様が来てもずっとマシンガンのように話し続けるから。


「この商品を買いたいんやけど、なんぼ?」


この人、決めるの早いな。

まだ五分ぐらいしか経っていないのでは?急いでいるのだろうか。


「店長さんのお店は物々交換ですよ‼︎商品に見合う物を交換するんです‼︎さぁ、見せなさい!」


「急に喋るねアリアちゃん……!っていうかその言い方は失礼だよ‼︎

すみません……」


説明してくれたのはありがたいけど言い方が凄く、上からだった。

絶対怒ってるでしょ……。


と思っていたが、目の前にいる人は突然声を上げて笑った。



「おもろいな、天使の嬢ちゃん!うーん……せやな……。今はこれしかないけどええ?」


そう言って黒い鞄から取り出したのは箱のようなものだった。

全体が黒いテープで巻かれており、中から呻き声が聞こえる。

なにやら禍々しい雰囲気が漂っていた。

自分の本能が告げている。これは決して触ってはいけないものだ、と。

いや何これ怖。


「あの、これ……」


「あ、間違えた。すまんの」


そう言って箱をしまった後、取り出されたのはぬいぐるみだった。

可愛いクマのぬいぐるみ。……この人、実は可愛もの好きなのか?


「これは…ぬいぐるみですか…?」


一応そうだと思うが聞いてみた。はっきり言ってこのテーブルとぬいぐるみを交換するのは少し悩ましい。でもお客様には満足して帰ってもらいたいし……。


「これ、ただのぬいぐるみやないんで。天使の嬢ちゃん、これ、持ってみ」


「え⁉︎私ですか⁉︎良いですよ!」


アリアちゃんは快く承諾していた。

そして、アリアちゃんがそのぬいぐるみにそっと触れた。


すると、アリアちゃんの天使の輪っかがみるみるうちに輝かんばかりの金色になりサイズも一際大きくなった。羽も、ヤスさんに劣らないほど、いや、それ以上に立派になっている。凄いな⁉︎


「おおおおおおお‼︎す、凄い!力が漲ってきます!」


「聖なる力を高めることができるぬいぐるみやねん。天使の嬢ちゃん、せやったらめちゃくちゃ凄いやん。立派な輪っかに羽やで」


その人はふわりと笑って言った。こんな笑い方をする人なんだと思った。

怖いと思ってしまっていたことを全力で謝りたい。

これほどの物なら、このテーブルと交換するべきかどうかなど、悩む必要も無かった。


「テーブルとそれを交換でよろしいですか?」


「おお、頼んます」


「店長さん!渡すね!」


アリアちゃんが私にぬいぐるみを渡すと、いつものアリアちゃんに戻っていた。相変わらず、輪っかには灰色が混じっていた。


「あー……元に戻っちゃいましたね。あれがあればヤスさんにも勝てそうだったのに……うぅ……」


めちゃくちゃショック受けてる。

たしかに凄く強そうだったもんねアリアちゃん。


「あー、今思ったけど天使の嬢ちゃん、名前は?」


「アリア。アリアです」


「アリアの嬢ちゃん。儂はフェリペって言うんやけど」


「フェリペさんですか⁉︎祓魔師の⁉︎」


私は思わず叫んだ。フェリペ。最近、その名前を聞いたばかりだ。以前、店に来てくれたヴァイスさんが、悪魔に襲われたところを助けてもらったのだと話してくれた。お礼がしたいから出来ることはないかと聞いたところ、お礼はいらないからまた困ったら呼んでほしいと名刺だけ渡して帰ったらしい。その名刺には祓魔師  ミラー・フェリペと書かれており、その他にメールアドレスや事務所の場所、電話番号などが書かれていたと言う。


「せやで!店長さん、儂のこと知っとるんやな。あ、名刺渡しとくわ。アリアの嬢ちゃんも。この街、最近越してきたばっかりでな。ここらのことあんまり知らんねん」


「あ、ありがとうございます。この店のお客様でフェリペさんに助けられた人がいたんです。命の恩人だって言ってました。」


「この辺で最近助けたんやったら、科学者の兄ちゃんやろか?なんか飴ちゃんくれたんよな……。元気にしとる?」


「元気でしたよ!」


その時、店のドアがギィィ、と音を立てた。


「こんな所にいたんですね、探したんですよ」


……。来た。アリアちゃんの顔が一瞬にしてチベットスナギツネのようになった。フェリペさんが今度は天使の兄ちゃんか!と顔を綻ばせて言っている。兄ちゃんと言うより父さんに近いんだよなぁと思った。ヤスさんは相変わらず瞳孔がガン開きだ。先に、行動を起こしたのはアリアちゃんだった。


「店長さん、失礼します。今日は、負ける気がしません‼︎」


「え⁉︎アリアちゃん⁉︎」


アリアちゃんはそう言うと私の前に置いたぬいぐるみを奪い、手に取った。先程のような立派な天使の姿になっている。ヤスさんはいつもと違い焦った表情をしている。珍しい。明日は天地がひっくり返るかもしれない。


「アリアさん⁉︎何ですかそれ⁉︎仕事に戻りましょう⁉︎」


「ゴキちゃんは帰ってください〜‼︎」


アリアちゃんがそう言うと同時に、天から眩しいばかりの光がヤスさんの体を覆って、姿が消えた。何が起こったのだろう。ヤスさん、無事なんだよね⁇


「や、やったぁぁぁぁぁ!追い返せましたよ!いつもは変な力しか使えないのに‼︎」


「よ、よかった…ね…?」


「アリアの嬢ちゃんやるやん!」


アリアちゃんは飛び上がるほど嬉しかったようだ。追いかえしてよかったのだろうか……。仕事、またサボって来ているんだよね?


「私、天使が能力使ってるの見たことなかったんだけど……勝手に使って良かったの?」


「いいんですよ‼︎多分‼︎しかも私の力、普段はクソ雑魚なんで。動物と話すことが出来るぐらいです」


「え⁉︎そうなん⁉︎動物と話せるんか」


「はい。小さい頃に動物と話したいなーって思ってたらこの能力だったので、嬉しかったんですよ〜!」


アリアちゃんがそう言うと、フェリペさんが顎に手を当てながらふーん…と言った。アリアちゃんの能力を聞いたのは初めてだ。というか、彼女の口から天使についての事を聞くことが初めてだ。動物と話せるなんて、少し羨ましい。可愛い能力だな。そう思っているとフェリペさんが静かに口を開いた。



「アリアの嬢ちゃんに話があるんやけど…」


「何ですか‼︎フェリペさん‼︎」


「よければ、儂と祓魔師の仕事、やってみんか?」


……。急なスカウトが始まってしまった⁉︎フェリペさんは事務所を営んでいるんだったな。もしアリアちゃんが承諾したとしても、ヤスさんが怒らないだろうか。


「なんで私なんです?」


「うーん……何となくや。それに、さっき凄い力もっとったやろ。多分、嬢ちゃんは自分の力をちゃんと理解してないだけやで」


「あの、どう言うことです?」


アリアちゃんの目はじっと、フェリペさんを捉えていた。そんなアリアちゃんにフェリペさんは続いた。


「ほら嬢ちゃん。さっき天使の兄ちゃんが来た時に帰れって言ったらおらんなったやろ?」


「ええ。なんで雑魚能力の私がこんな事が出来たのかは分からないんですけど」


「儂が思うにな、『動物と話したいと思ったら話せた』『帰れと念じたらいなくなった』って事があったやろ。それから推測するに嬢ちゃんの能力は『本心から願ったこと、信じた事を現実にする能力』やと思うんや。あくまで予想やけど」


「まさか。私、そんな凄い能力持ってないですよ」


アリアちゃんはすぐさま否定した。でも、私が思うにフェリペさんの言うことは一理あると思った。現に、ヤスさんはこの場から居なくなっている。


「嬢ちゃん、今ぬいぐるみ持ってるやろ。儂が買ったテーブルを掌位の大きさにしてくれんか?」


「え⁉︎無理ですよ⁉︎」


「とりあえずやってみ」


フェリペさんは優しくアリアちゃんに言う。アリアちゃんは少し困惑していたが分かりましたよ…と渋々承諾した。


「アリアちゃん、頑張って!」


「店長さん‼︎ありがとうございます!ええっとー…ち、小さくなれ‼︎」


アリアちゃんは叫んだ。

しかし、店にアリアちゃんの声が響いただけだった。


「やっぱダメなんですよ。こんな凄いこと出来ませんって。こんなんだからヤスさんに厳しくされるんですかね」


「アリアちゃん……」



アリアちゃんがボソっと呟いた。こんな時、どんな言葉を掛ければ良いのだろうか。アリアちゃんは、底抜けに明るいように見えてどこか諦めている節があるのだ。


以前、ヤスさんが怖く、店に逃げて来たことがあった。いつもヘラヘラ笑いながら店にサボリに来るのに、その日はやけに静かだった。話を聞くと、ヤスさんに堕天するなと懇願されたらしい。

アリアちゃんは、ヤスさんが自分のことを理解してくれないのだと言った。

堕天したくて、している訳ではないと。

また、ヤスさんは過去に彼女のような天使に裏切られたらしい、と他の天使が噂しているのを耳にしたそうだ。そのことも彼女へのプレッシャーになっているようだった。

彼女は思っているよりも繊細で壊れやすいのかもしれない。少しでも、ヒビが入ってしまうと取り返しがつかなくなってしまうように。

私のような天使は信頼できませんよね、とへらりと笑った彼女の目が、ひどく潤んで、淀んでいたことを覚えている。


「アリアの嬢ちゃん、それは違うで」


この重苦しい空気を変えたのはフェリペさんだった。


「嬢ちゃんは凄い力を持っとる。自分で自分のことを貶すなんて、そないなことしたらあかん」


「会ったばかりの人に言われても説得力ないんですよ‼︎」


アリアちゃんは必死な形相で叫んだ。彼女の必死な顔を見たのはこれが初めてかもしれない。あの時のように、目がひどく潤んでいた。


「アリアの嬢ちゃん。よく聞くんや。

その人形はその人の聖なる力を高めるだけや。所詮、力を上手く使うかどうかはその人自身の問題や。

嬢ちゃんはそれを上手く使った。凄いことや。雑魚能力なんて言うたらあかん。

そもそも、この世に雑魚能力なんてないんや。どの能力も使い方次第や。自分でどう使うかやねん。どんな能力でも儂は嬢ちゃんを足手まといとも思わん。むしろ、頼むから一緒に仕事して欲しいくらいやわ」


「でも、私は落ちこぼれで、ろくに仕事もできなくて、もうすぐ堕天しそうで」


「堕天使になったらなんやねん。そんなんあかんわ。天使でも堕天使でも、アリアの嬢ちゃんはアリアの嬢ちゃんのまんまやろ」


「私は、私のまま……」


「せやで。それ一回できんかったくらいで落ち込まんでええ。挑戦するチャンスなんて、やろうと思えば何回もあるんやから」


フェリペさんが彼女に優しく、そう言い聞かせる。あぁ、この人は、この人は真っ直ぐな人なんだなと思った。でなければ、出会ったばかりの人にこんな言葉をかけられるはずがない。


「わたし、私…またやってみます!出来るまでやっていいんですよね師匠‼︎」


「し、師匠?」


「その調子だよ!アリアちゃん!」


真っ直ぐな言葉は、彼女に届いたらしい。いつものアリアちゃんだ。明るくて、純粋で、少し生意気。私は安心した。アリアちゃんはこうでないと。


「いきますよ〜‼︎小さくなれっっっ‼︎」


もう、彼女に迷いはなかった。テーブルが眩い光に包まれる。何処か暖かく、優しい気がする。見る見るうちにテーブルは小さくなっていった。アリアちゃんが少年のような明るい笑みを浮かべていた。胸に熱いものがこみ上げて来る。アリアちゃんがぬいぐるみを机に置いた。


元に戻ったアリアちゃんは、また微笑んだ。


「わたし、私、すごく、嬉しいです。今はさっきのような力は使えません。でも、もっと強くなりたいって思いました!もっと頑張ろうって!」


「アリアの嬢ちゃん、その勢いやで!嬢ちゃんはもっと力の使い方を学んで、コントロールできるようになったら敵無しやろうからな!」


頑張るんやで、とフェリペさんはアリアちゃんの頭を撫でた。やった!、と子供のように喜んでいた。


「よかったねアリアちゃん!」


「はい!諦めなくて良かったです!あの、師匠、お願いがあるのですが」


アリアちゃんは恐る恐る言った。まるで、何かを決断したような、そんな雰囲気だ。


「師匠?まあええわ。なんや嬢ちゃん」


「私、天使の仕事は向いてないと思うんです。クソみたいな労働環境にクソ上司。コマのように扱われるのが嫌でずっとサボってばかりなんです。だから」


「だから…?」


「師匠の元で働きたいんです!私にあんなに向き合ってくれて、認めてくれて、褒めてくれて。そんなの初めてでした。すごく、嬉しかったんです。」


アリアちゃんは憑き物が落ちたような顔をしていた。ヤスさんのために、やめておけ言った方がいいのかもしれない。でも、このアリアちゃんの顔を見たら、そんな事は言えなかった。


「儂の仕事は悪魔を払う危ない仕事や。それでも、一緒に仕事をしてくれるか?儂の方こそ頼むわ。アリアの嬢ちゃん。儂と働かんか」


「…勿論ですっ!天使の仕事も危ない事ばかりでしたし!それに、師匠が力の使い方、教えてくれるんですよね!」


フェリペさんは、勿論や!っと言ってくしゃっと笑った。良かった、と思ったが重大なことに気づいた。


「あ、フェリペさん!テーブルどうするんですか?小さくなったままですよね」


「あー、事務所に置こうと思ったけど、ええわ。このまま持って帰って、いつかアリアの嬢ちゃんに戻してもらうわ」


「ふっふっふー……絶対できるようになりますからねっ‼︎」


アリアちゃんの顔に、パッと花が咲いたのだった。


ほな、今から入社パーティや!二人しかおらんけど!とフェリペさんは言い、やった!師匠と焼肉パーティだ!とアリアちゃんが言って二人はこの店を後にしようとした。


あ、とフェリペさんが言った。


「どうかしたんですか?」


「嬢ちゃん、なんか変な感じかするわ。嬢ちゃんは魔法とか使えるん?」


「え⁉︎いきなり悪口⁉︎えと、ただの人間ですけど…」


「ごめんな。ちゃうねん。なんやろうな、なんか嬢ちゃんのオーラ?が良くない感じやわ。悪魔の能力と似とるけど違うな。人間から普通こんな感じはせんのやけど。魔法か、これ?うーん、心配やな。ちょくちょくここに来るわ。」


「そんな事まで分かるんですね。あ!私も店長さんに会えてちょうどいいですね師匠!」


ほな、いくでと言って二人は本当に店を後にした。

私ももしかしてクレアさんやモミジさんのように魔法が使えるのかな?それはそれでいいかもしれない!

能力の開花……!的な。なんだかカッコいいな。昔から魔法を使ってみたいとは思っていたから、なんだかワクワクしている自分がいた。


それはさておき、結局、ヤスさんはこの店に来なかった。


もしかしたらアリアちゃんを探しに来るかもしれないと思いいつもより長く店を開けておいたのだが……。









次の日、フェリペさんの事務所の場所を確認すると私の店から2分ともかからない場所だと分かった。アリアちゃんはウチにサボりに来なかった。といってもフェリペさんとの仕事がない時は来ると言い張っていたがどうなるのだろうか。少なくともサボり場所はウチとフェリペさんの事務所になるのだろうな、と予想した。


まあ、祓魔師としての仕事もこれから頑張っていくのだろう。新たなスタートを切ったアリアちゃんを応援したい。


ただひとつだけ、ヤスさんがこの事を知っているのかだけが気がかりで仕方なかった。彼はどう思っているのだろうか。



















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