第10話 「エモい」という単語に垣間見える「近代病」

「近代病」と言っても新型コロナのお話ではありません。特に都心部に見る「近代病」です。

ニュースで「エモい」と言う言葉が巷の若い人の中で独り歩きしていると、暗に「皮肉」とも取れる話題がありました。勿論「Emotion(nal)」の派生、「英語からの転生の日本語」である事は認識していますが、

「日本人(特に都心部、時間経過により地方に分散)は多数派の動向・言動に同調する事により一抹の安心感を得られる、また時代に追いついていると言う自分のIdentityを見出している事象」が私の考えている「近代病」の内容です。

という事は逆に「多数派の動向・言動がないとIdentityを見失う」という事になります。なのでIdentityを見出すために新しいブームメントを常に探しているのでしょう。だから都会暮らしは「無駄に疲弊する」のだと思います。マグロの生態と似ているともとれます。それが都会なのでしょう。

私も東京にいるときは「罹患」していたのでしょうが、第三者的に引いて観ている現在ではそのように映ります。「寄らば大樹の陰」なのでしょう。

「ブームメント」として捉えると否定はできませんし、またその事で経済効果を産むメリットがあるのは非常に良い事ですが、果たしてその事象は他人にとってそれこそ「Emotional」な事なのでしょうか?或る意味そういう自身の「自己陶酔」ではないかとも取れます。

「鬼滅の刃」ブームも同じことが言えます。その話題に乗れないと「日本国民にあらず」みたいな事になっていて、一種の宗教化している様な気がします。詳細を知らないと「え、知らないの?」となり、お話にならないようです。私も数話観た事が在りますが、確かに面白そうと思います。しかし、それは世間と同化するための「手段」であり、「知らない人をつまはじき、差別化するツール」としか思えません。

大して内容など関係なく、時代に遅れない為の、ある意味「知識武装」でしかないのでは?とも見受けられます。もう既に「鬼滅の刃」ブームも冷めつつある感は否めません。最終的には「そんなのもあったねぇ」で終わりです。去年の「ラグビーW杯」の事など忘れている人が多いのでしょう。

なので、私は「俄か」が嫌いです。「俄か」自体が嫌いなのではなく、ラグビーでいう所の「モール」や「ラック」みたいな事象の事です。何を言わんとしてるかわからなければ、ラグビーの試合を見直してください。

その本質も知らず、居酒屋でビール片手に「俄か」知識を繰り広げ「おれってイケてる?」とでも言わん限りの態度で粋がっている人は何処に行ったのでしょうか?このW杯に賭けた選手たちの努力も浮かばれません。選手たちは現在も次のW杯に向けて厳しい練習を積んでおられるのでしょう。言いたい事も沢山有ったでしょうが、コメントも大衆向けにしないといけないと思うと心苦しい所もあります。そういう「バックボーン」を知るべきだと思います。

そんな「俄か」ブームの積み重ねで年月が経過してきたから、日本経済・国民性が「危うい」「脆い」のだと思います。「葉っぱ」だけで「根幹」が無いのです。ケーキの「ミルフィーユ」の様です。ブームきっかけで継続して実行するのは分かりますが、単にトレンドに乗っているだけなら当事者にも失礼だとも思います。

上記の「エモい」に関連して、現状は「昭和」ブームがあるようです。歌謡曲も

「昭和回顧」の流れもあるようで、若い人に好まれているとか。個人的には「現在の歌謡の良さが薄いから昭和の歌謡曲に流れている」と見ています。私も昭和生まれなので多少は気持ちは分かりますし、歌詞等も内容を比較すると「内容」があります。という事は「現在の歌謡曲のクオリティが昭和より低い」とも取れます。

昭和感のある居酒屋で飲んでいる若い人たちが本音を口にしていました。「実家にいるようだ」と。都会は何かと疲れるのは今も昔も然程変わらないようです。ですが、昭和の時代を作っていた方々はそういう気持ちで生活していたのだろうと思いを馳せても良いのではないのかとも思います。

人様の嗜好をどうこう言うつもりはさらさらないですが、これからの日本を造っていく若い人たちには「木を見て森を見ない」人間でなく「木を見て更に森を見る」人間になって行く事を期待しています。

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