第43話 女神と女子会 ⑤ 正義戦隊アンポンタン設立

「はい、私の錬金術の今後に活かしたいですから、魂をどのような手段を用いて手に入れたのかだけでも聞かせてください」


「まあ、仕掛けは単純なんだけど、そこまで真剣になってるのに水を差すのも、なんだか悪い気がするし、私も空気を読めない訳じゃないから、教えてあげてもいいわよ」


「ありがとうございます──メグフェリーゼ様」


「それじゃ、まず最初に今までの研究の成果をアヴィに、一度じっくりと振り返ってもらうことから始めましょうか。アヴィは、セラフィシアの魂を、見つけることも再生させることも出来なかったのよね」


「はい、お母さんのお墓も残さず調べ尽くしましたし、お母さんの実家周辺を擬似神眼で調べたりしましたけど、どうしても見つかりませんでしたし、精霊王様や妖精女王様の力を借りても魂の再生は出来ませんでした」


 私はお母さんの魂を再現する為に、この世に残されていた古文書を精霊王様に読み聞かせてもらったり、妖精女王様も巻き込んで色々実験してるんだけど、結果は思うように進展していかなかった。


 エリクサーの製造方法を精霊王様から教えてもらい、試しに作って使用してみたけど、肉体の再生も思った程の効果は全然得られなかったし、魂の再生は全く出来なかったんだ。


 これなら、私の神水のほうがよっぽどマシな効果があるんだけど....。


 勿論、ハチャメチャな方の意味合いでね。


 お母さんが身に付けていた指輪や装飾品など全ての持ち物の中から、残留思念を集めて魂の生成の実験も試みてたけど、その実験も進展がなかなか見られなかったし....。


 全属性の精霊王に死者の復活の協力要請を打診しているけど、全員の精霊王達を説得するまでには、至っていないし....。


 諦めきれずに色々試してみたけど、魂の再生がいかに難しいかを思い知らされただけだった。


 はっきり言うと私は行き詰って焦っていたんだ──。


「錬金術の奥義に死霊魔術の仕組みも色々取り入れてみたんですけど、それも上手くいきませんでした」


「まあ、その方法じゃ無理よ。はっきり言うけど、そんな方法じゃ、いつまでたってもセラフィシアを復活させることは出来ないわね」


「死霊魔術はそもそも、残留思念の集合体の霊を元に発達した魔術だから魂の再生はお門違いよ。それに、人間達が使う錬金術程度の技術では、間違っても魂の再生は出来ないわ。根本的な原理原則として、魂を司るのは神の領域だから、まずはそこを理解するようになさい。これは、助言として言うけど今度からは無理そうだと判断したなら、根本的に発想を変えて試してみなさい」


 ──発想を変える?


「まず、アヴィがずっと探していたセラフィシアの魂だけど、そもそもこの世界に存在していないわ。この世界を統治する神々が天使を使役して、死んだ魂を回収した後に浄化を施して新たに再利用しているから、セラフィシアの魂も既に回収されていて浄化した後に再利用されているわ。セラフィシア自身の魂はもう既にこの世になくて、他の人物の魂として存在しているから、セラフィシア自身の魂を探すのは時間の無駄よ」


 そう言うと、草原の丘の空間に映像が次々に投影されていく。


 その投影した映像は、四次元映像として映されていて、私の研究風景が映し出されていた。


 他にも、私がお母さんの墓で残留思念や遺体を回収する姿や、魂を培養する実験の風景など、様々な風景が投影されていく。


 その中には、光り輝く天使達が死んだ生き物の魂を導びいていき、巨大な光の渦の中に送り込んでいく様子も映し出されていた。


 その光の渦の中に入り込んだ魂は、光の渦の中で同じ方向に流れていき、次第に様々な色に変化した魂が浄化されていくように見える。


 メグフェリーゼ様は、私にその映像を見せながら、教師のように理路整然と論理的に説明しだす。


「セラフィシアの遺体に残る残留思念を集めて、魂として培養しようとしていたようだけど、それも間違いね。ボロボロに掛けた残留思念をいくら繋ぎ合わせても、本物のセラフィシアの魂には、決して成り得ないわね。模造の魂にすらならないわ」


 私もそれは、数々の実験を経てとても本物には成り得ないと分かっていた。


 でも、他に方法が思い浮かばなかったんだ。


「アヴィ、貴女は神力が使えるんだから、一般の人間が考えるようなお堅い思考は捨てたほうがいいわよ。貴女は女神が受肉してこの地上に遣わされた存在なのだから──」


 確かにメグフェリーゼ様の言いようは至極最もだと思うけど、今の私にはその御力は使えない。


 だから、必然的に私の力で生き返らせることは、土台無理な話しだったのかもしれない。


「アヴィが完全にマリティカと御力を受け入れさえすれば、セラフィシアの魂の復活も夢や幻じゃなく現実の物となったでしょうに、アヴィ──貴女自身の心の有り様が成功を阻む要因となっているわ」


 そう言うと、色々草原の丘の空間に映っていた映像を全て消して、新しい画像を次々に投影しながら、メグフェリーゼ様は教師のように理路整然と論理的に説明しだす。


 メグフェリーゼ様の教え方も上手で、私にも理解できるように色々分かりやすく説明してくれた。それが大いに刺激となり、その理論を上手く納得することもできて、その方法も私の錬金術の参考になりそうだよ。


 そのメグフェリーゼ様の方法は、私の完全な盲点だった。だけど、今の私の御力では叶えられない方法だった──。


 ──それは、魂がこの世にないなら、その魂がある時間帯まで遡って、その魂情報と肉体情報を複製しちゃえばいいという、ある意味ぶっ飛んだ方法だったんだ。御力のある女神様であるメグフェリーゼ様だからこそ、直ぐに簡単に出来たみたい。


 後は、本人の了解を取って神獣にグレードアップさせて、あれまあれまという間もなく終了したらしい。


 これなら、過去が書き換えられたことで起きる可能性がある強い時空震も発生しえないし、神々の神理法っていう神様達の法律にも、ギリギリ抵触しないらしいよ。


 この世界には、様々な神界があるとも教えてもらえたんだけど、その殆どの神界が神理法を元にした神法が制定されているらしくって、それを面倒臭そうで嫌々そうに語るメグフェリーゼ様は、気に入った人物を異世界に転生する際にも、この手法が用いられる場合があるとも教えてくれた。


 後は、もっと簡単な方法として、神眼に御力を注ぎ込んで【過去視】の御力を行使して、お母さんの魂と肉体の詳細な情報を取得して【神複製】すれば、瞬く間に復活させれるらしい。


 メグフェリーゼ様の解説は、大いに色々と私の中の疑問点が解消してくれた。


 そして私の知識欲を思う存分に満足させてくれたけど、それは同時に、私が今まで一生懸命取り組んできた研究結果が、瞬く間にゴミと化した瞬間だった。シクシク。


 そんな悲しみに暮れている私にメグフェリーゼ様の優しい声がすーっと耳に入っていく。


「参考までに話しておくけど、アヴィの持つ神能は6つ──」


「【神水創造】【神水精密操作】【神水硬化】の3つまでは、下界に落ちる前のマリが持っていた神能──」


「後の最後の3つの神能は、マリが下界にいくと言い出して聞かないから、選別として私からマリに【神水・神能付与】【神水・神強化】【超神水創造】の神能を授けてあげたのは、前回話してあげたはずだわ。そのアヴィの持つ御力を全て使いこなせれていれば、セラフィリアを五体満足の姿で生き返らせることも出来たはずよ」


 でも、それをするには、マリティカ様を受け入れなければ出来ないんでしょ。


 それは今の私には、無理な相談だよ。


 因みに、メグフェリーゼ様が話していた内容は、私が見ている夢世界の起きていた内容を端折った説明なんだけど、その説明にはまだまだ続きがあって、結局愚図ってるマリティカ様に嫌気が差したメグフェリーゼ様に【神複製】されちゃって、複製されたほうは天神界に残されたらしいよ。


 しかも複製された方のマリティカ様は、その事実を知らないそうな。


 ちょっと可哀想な気がしないでもない。


「それに前回渡したあの神具機器ゴッド・デバイス──漆黒神晶杖シャルメグワンドを使えば、アヴィの苦手な御力操作も無理なく出来るように作っておいたから、マリの支えがなくても、アヴィの心が御力を無理なく受け入れて、あの漆黒神晶杖シャルメグワンドを使いこなせば、遠からずアヴィ自身の手で復活させられてかもしれないわね」


 えっ....前回頂戴した漆黒神晶杖シャルメグワンドは、面白い効果がついてるから試しに使って見たらとあれよあれよと渡された品なんだけど、そんな付与効果が付いてたんだ。それじゃあ、こんな私でも、いつの日か私みたいな境遇の人達を助ける手助けが出来るかも知れないってことだよね。


 私のお母さんは、助けることは出来なかったけど、私みたいな境遇の人を助けていければ、私の心の闇も少しずつ晴れていくかもしれないよ。


 ちょっと良い事聞いたかも!!きっと譜とした時に、結局私の力ではお母さんを助けられなかったのを悔やんでしまったり、また闇の心に振りまわされるだろうと思っていたから、この助言は、私に取って光明になるかもしれない。


「新たな目標が出来て良かったじゃない。」


 お母さんが私の心に光が灯ったのを一緒に喜んでくれて、頭を撫でてくれた。


「そうそう、アヴィの作成した魔導具の1つで、名前まではすぐに出てこないけど、魂を閉じ込める手法を取り入れた魔道具は着眼点が非常に良かったわよ」


 更に此処ぞとばかりにメグフェリーゼ様が畳み掛けるように、私が作成した魔導指輪イキルンルンの性能も褒めてくれるけど....。


「本当ですか?」


 散々今まで駄目出しされちゃったから、いまいち信じられなくて、もう一度聞き返してしまう。


「ええ、魂さえあれば完全再生の道も開けてくるし、魂の劣化を防ぐ保存方法ともっと改良すれば、更に使い勝手は良くなると思うわ」


 ウッヒョヒョーイ!!憧れのメグフェリーゼ様に褒められちった。


 うふふん、ふふん。嬉しいな。


「流石は、私の娘ね。お母さんも今度から一緒にアヴィの手伝うしちゃうわよ」


 私のお手々をにぎにぎと弄んでいたお母さんも応援してくれるらしい。


「えー、お母さんも手伝ってくれるの?本当に?」


「お母さんは、嘘はつかないわ。今まで一緒に居てあげられなかった分を纏めて甘やかせてあげるわ」


 爆上げしていく私の心は、熱く燃え上がるようにときめいていく。


「アヴィちゃんがメグフェリーゼ様に褒められて羨ましいポン。それに、セラフィシア様と仲良さそうで羨ましいポン」


「サラももっと自己主張していくポン」


「メグフェリーゼ様、もっと一般の冒険者達の死亡率を下げるには、どうすればいいかポン」


「サラミリアも他人のことを思いやれるなんて偉いわね」


「えへへだポン」


「そうね、魂情報と肉体情報を事細かく記憶できる媒体さえあれば、後はそれを元に肉体を再生する魔導具を用意すれば、なんとかなるんじゃないかしら」


「記憶媒体は、冒険者の認識カードに記憶されたら、いいかもしれないポン」


「ええ、その認識カードなら、そのカードに魂を回収して保存できる機能も同時につけておいたらどうかしら」


「他にも、あるわよ。契約魔法で魂に帰還場所を植え付けておいて、死亡したらその場所に帰還するようにしておいて、その場所で復活出来るように復活設備を整えておくのよ。その場所で定期的に肉体情報の記憶更新さえしておけば、装備品にわざわざ細かな魔導技術を施す必要もないわね」


 そんな感じで色々分かりやすく説明してくれたり、色々な方法を示唆してくれて、その方法を元にこれから錬金術の技術を上げていく手段のヒントもしてくれて、それが大いに刺激となり、その方法も私の錬金術の参考になりそうだよ。


 このメグフェリーゼ様の野外講習は、結果的に凄く実りのある内容だった。満足、満足。


 そんな私は、メグフェリーゼ様の野外教室を受講してみて、新しく私の胸の奥で芽生えた疑問点を解消すべく何気なく装って聞いてみる。


「その過去の世界で亡くなったお母さんの魂の行方は、結局何処に行ったんですか?」


「ああ、そうね。言ってなかったわね。貴女の傍で手を握っているサラミリアが、セラフィシアの魂の生まれ変わりよ──」


 その事実を聞かされた私は、ビックリ仰天!!なんですと!!


 魂の行方の行き先が神獣サラちゃんだったと知ると、私はよろめいて椅子から転げ落ちそうになってしまう。


 ウッキャー!!今の私ってば、お母さんの魂の転生体だったサラと、魂を複製して蘇ったお母さんと机の上で手を繋いで座っているんだけど....。


 お母さんの魂を再生してる横で、その作業を手伝っているサラが、お母さんの生まれ変わりだったというオチに驚きを隠せない。


 なんだか、究極のマザコン認定をメグフェリーゼ様から授かった気分なんだけど、どういう顔をすればいいんだろう。


 喜べばいいのかな?悲しめばいいのかな?


 サラが私を必要以上に追い詰めようとするのかが、何故だったのか、その疑問が少し解けた気がするけど、でも...出来ればそれは、知りたくなかった事実かもしんない。


「やっぱり、サラとアヴィちゃんの出会いは、運命だったポン」


「メグフェリーゼ様、ありがとうポン」


 神獣サラちゃんは、素直に笑顔を浮かべるとメグフェリーゼ様にお礼を言う。


 そのお礼を言われたメグフェリーゼ様は、さらなる状況説明をするために口を開く。


「アヴィには内緒にするように契約を取り交わしていたから、今まで教えてこなかったけど、私とセラフィシアの間では、貴女を産んでもらう契約を前もって取り交わしていたの」


「神子を出産する行為は、普通の人間には耐えられないらしくて、殆どが死を前提にした出産になるみたい。セラフィシアが亡くなるのも、この世界を管理する神々によって既に定められていたようだから、そこをまずは前提にしてセラフィシアと話し合い、アヴィを産んでもらう契約をして、その対価として、次の転生先も探してあげたり、苦しまないように亡くなるようにもしてあげたりと色々善処してあげてたわ。」


「それで、私達の間で結んだお互いの契約は終結していたんだけど、アヴィが我が儘を言うから、また過去まで遡って、更に追加の契約を結ぶことにしたわけなのよ。だから、今こうして貴女の横に神獣に生まれ変わったセラフィシアがいるわけ」


 普通の人間なら絶対叶わないレベルの願いなんだけど、メグフェリーゼ様には、ただの我が儘のレベルらしい。


 そんなメグフェリーゼ様の強大な御力に、軽い恐怖の念を抱いてしまう。


 どうやら、この世に私が生まれる前に、セラお母さんとメグフェリーゼ様との間では、既に転生契約を結ばれていたらしく、お母さんはその契約を受け入れて、私をこの世に誕生させる為に既に死の覚悟を受け入れて出産に望んだらしい。


 その事実を聞かされた私は、内心ではかなり動揺してしまう。


 死を前提にして赤子の私を出産するなんて、私だったら絶対にしないし、なんとかして死の回避をする方法を探して足掻き続けると思うけど、これが2人の愛の形なのかな?


「アヴィ、私の魂を持って生まれたサラちゃんとも仲良くしてげてね」


「仲良くはするよ。でも、サラとは絶対に結婚はしないからね」


 お母さんから、サラを擁護する発言をもらった私は複雑な心境を吐露してしまう。


 偏屈者の私は、やっぱりお母さんが傍にいても、持って生まれた性格までは変えられないみたい。


「ショポンだポン。でも諦めないポン」


「これで、大体アヴィの望む質問には答えたつもりだけど、どうかしら?」


「えーと、お母さんが神獣に生まれ変わったのは、理解しましたけど、どんな神獣に生まれ変わったんですか?」


「あらあら、そうだったわね。セラフィシアの神獣形態は、まだ紹介していなかったわね」


「セラフィシア、アヴィに貴女の素敵な姿を見せてあげたらどうかしら」


「はい、アヴィには、まず最初に見てもらいたかったので、声を掛かるのを心待ちにしていました」


「じゃあ、今から変身してみますから、アヴィしっかり見ていて、後で感想を聞かせてね」


「うん、わかったよ」


 そう、軽く言い終えるとお母さんは、椅子から優雅に立ち上がると、私達から距離をとるように歩き出す。


「お母さん、あんまり頑張り過ぎなくてもいいからね」


 あまり期待を掛けさせて、気負わせたくなかったから、軽い言葉を掛けておいた。


 暫く見ていると、お母さんが純白の光を放ち始める。


 お母さんを中心にして、風が上方へと巻き上がり、風で切れた草も上空に舞っていく。


 そして、そんな中でお母さんの姿が見る見る内に形を変えていく。


 それをみたら、またまたおったまげて言葉を失う──そしてそのまま暫くほうけた様に見惚みとれてしまう。


 何これ...綺麗...素敵...優美...美麗...絶句──。


 それほどまでの神々しい荘厳な姿の神獣の基本形態は──頭頂部に赤くて丸い斑点がある――丹頂たんちょうの純白孔雀さん。


 ──それが、私のお母さんのもう一つの姿だったんだ。


 長くてふさふさの尻尾の羽が真白に扇状に広がって幻想的に煌めいていて、頭の羽が長く伸びた冠羽かんうもキラキラ輝いていて素敵な模様が眼に映る。


 誰もが人目で神獣だと見抜いてしまう神々しい御姿──。


『どう、アヴィ』


 丹頂たんちょう孔雀の神獣に変化したお母さんが私に感想を求めてきた。


「お母さん、凄──い、綺麗だよ」


 お母さんが言うには、大きさも自由に変えられるそうで、他にも鳥の形態ならなんでも変身可能らしく、その場で純白の孔雀の尻尾がついた巨大なグリフォンにも変身してもらい、この雲一つない青々と見える創造空間の大空を飛んでもらった。


 私は地上の椅子に座りながら、お母さんが優雅に天空に舞っている姿に感動を覚えると、思わず椅子から立ち上がって見蕩れてしまう。


 この時点で私の心の許容範囲を超えた現象を色々見聞きしているから、もう正直フラフラなんだけど、まだまだ終わりそうにない。


 その後のテーマは、何故か私が心の奥にしまっていた『正義戦隊アンポンタン』の話題になっていく。


 メグフェリーゼ様やマリティカ様といった人外の女神様と付き合うと、私自身の心が次々とさらけ出されていくのを今回の女子会で思い知らされた。


 本日2度目の女子会だから、より凄惨に、私の純粋な心を弄び抉って突き刺してくるから、そこはもう、どう仕様もないから諦めるしかないみたい。


 私は、もう女子会恐怖症に陥りそうな気分だよ。


 どうやら、メグフェリーゼ様は、この話題が何より楽しみにしてたようで、この話題になると生き生きとして話を仕切りだす。


 メグフェリーゼ様は、私達の衣装も既に完成させてたみたいで、ノリノリで色々衣装の説明をしてくれた。


「ああ、そうそう、アヴィ。貴女とマリの魂の一部を接合したから、これからは2人3脚で頑張りなさい」


 そして、その場でまたまた、何気なく衝撃発言を繰り出してくる。


 一応私の擬似神眼を装備してマリティカ様を見るみると、いつの間にか私をマリティカ様の間に光の線が繋がっていた。


 はー、もう、正直このまま倒れてしまいたい。


 心の中の想像がどんどん形になっていくのも見せつけられて、なんだか酷い胸焼けがしてくる。


 私達は、隊員名も正式に決められて、それに沿った登場時の発言などが、次々と私を抜かしたみんなの意見で決められていった。


「アヴィ、貴女の衣装はこれよ。今日から貴女はアンポンタンのアンポコよ」


 やっぱり私が正義戦隊アンポンタンの1号で、この世界の安全保証を担う娘──アンポコ。


「..........」


 もう既に私は放心状態.....嫌、無我の境地に目覚めちゃったかも。


 色々みんなで楽しく和気あいあいとお話してるようだけど、私の頭は既に能力限界オーバーフロウ


 殆どの話し声が、耳の右から入ってそのまま左に抜けていく感じがしちゃう。


 そんな私を見ていたメグフェリーゼ様は、薄ら笑いを浮かべるとサラに向けて口を開く。


「サラミリア、貴女の衣装はこれよ。今日から貴女はアンポンタンのポンポコよ」


 神獣サラちゃんが正義戦隊アンポンタンの2号で、狸神獣戦士──ポンポコ。


「ありがとうポン。頑張るポン。任せてポン」


「セラフィシア、貴女の衣装はこれよ。今日から貴女はアンポンタンのタンポポよ」


 神獣セラお母さんが正義戦隊アンポンタンの3号で、丹頂孔雀神獣戦士──タンポポ。


「アヴィと一緒に戦えるなんて夢のようです。ありがとうございます、メグフェリーゼ様」


 そして、正義戦隊『アンポンタン』が正式に、メグフェリーゼ様の承認により結成されてしまった。


 その後に続く正義戦隊『アンポンタン』のブリーフィングタイムになると、私がいかに女神様の恩恵を授かっていたかと言う事実を痛いほど思い知らされた。


 ブリーフィング内容では、今日のお祭り騒ぎの収束方法から、現在進行中の事態の推移からその後の対処方針など、様々な議題が協議されていった。

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 そうして、時間は流れ、『第2回女神と女子会』はようやく閉会される運びとなる。


 私は真白な灰になったように、椅子に座ったまま燃え尽きてしまった。


「じゃあ、マリ。後始末をしっかり頼んだわよ」


「メグフェリーゼ様は、どうされるんですか?」


「私は、アヴィで遊ぼうとする暇神達の監視にまわるわ。これ以上こちらに手出しするようなら、面倒臭いから消してしまうけど、大丈夫よね?」


「....えーと、それは、私では判断出来ませんから、一度この世界の創造神様の了解を得られたほうがいいと思います」

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