第34話 ラスレちゃんの告白タイム①
「はい、
「──グランドエルト様を私にください」
「私の
グランさんの父親のコスタおじちゃんに、直談判しちゃった、恋の特攻隊の乙女戦士ラスレちゃんは、微かに震える身体を、必死に抑えていた。
恋の吐息が、漏れ出るのを必死に我慢しながら、溢れ出そうになる口から出てくる言葉も、今は抑えて、事の成り行きを見守っていた。
ミ
ラスレちゃんの、今から始まる恋の戦いに、全てを掛ける気構えが、痛いほど私に伝わってくる。
私は、最後まで応援するから、負けないで!!
ミ
ラスレちゃんとコスタおじちゃんの間には、今までとは、また違う緊張した空気が、漂っているように感じられるけど、大丈夫かな?
でも、そんな緊張した空間を、少しでも和ませようと、『お父様』の言葉に反応したアルテちゃんが、元気にお仕事に励んでいるみたい。
洞窟大広間内には、更なる変化が起きそうな雰囲気が立ち込めていくのが、何故か、私には見えてしまう。
ミ
今回は、神威の波動が放射されなかったみたいだけど、多分もう、この大広間空間には、アルテちゃんの神威が満ちてるから、その必要が無かったみたい。
変化が起きそうな場所は──ついさっきまでは、所々に破壊された光苔の残骸や、回収できないほど穴の空いた魔物素材が、多数散らばるボコボコに穴が空いた岩の地面が、広がっていた大広間の地面──
その地面が──どんどん生まれ変わろうとしてるようで....。
恋色に染まる岩の地面の隙間からは、恋の息吹をかけられ生まれた、新たな桃色の恋草が、恋色模様の草原に、
複数箇所の恋色岩の地面からも、直接、新たな恋草の芽が辺り一面に、広がるように芽生えてきて、それも信じられない速度で、すくすく伸びて育っていって、恋色の豊かな草原が、夢みたいな速度で広がっていくの。
その恋色の草原は、淡い恋色の光が灯るように映り込んでいて、その場をよく見ると、恋の鼓動のように、規則正しくリンリンと点滅を繰り返す、恋色草が生い
幻想的な風景に、より
ついさっき生まれた恋色の花の芽も、どんどん信じられない速度で成長して、
私は、その風景を見つめてると、いつの間にか、恋花の小さな妖精達が、大勢で華麗な舞を踊ってるのに気づいてしまい、ビックリしちゃうけど、よく見ると凄く愛らしくて、私の家にも、また1匹欲しくなったよ。
本当に、凄く愛らしい踊りを披露してくれて、いつまでも眺めていたい、そんな感情に囚われそうになったけど、我慢をして視界を移す。
他にも、地面の高低差を利用した人工の花壇に、赤恋色や桃恋色、他にも黄色や
ついさっきまでの、荒れ果てちゃって破壊された景色──岩の突起が目立って、高低差もあって、でこぼこしてて、直ぐに
その突然の変化を、目の当たりにしたコスタおじちゃんは、
常識外の幻想的な風景と、想定外の状況に、かなり戸惑ってるように見えちゃうけど、大丈夫かな?
姿勢も全然安定していないから、フラフラと全身が揺らしてるし、とても歴戦の騎士には見えない姿を晒してるね。
「はー、ラスレ嬢」
「君の狙いは、グランドだったか」
コスタおじちゃんは、恋の特攻乙女ラスレちゃんの告白を聞き終わると、周囲の幻想的な変化に戸惑いつつも、何とか話を切り出してた。
そして、ラスレちゃんのHEART♡HEART♡に染まる両目の視線をじっくり見定める──
「──そうか!!君の生まれ持つ両目──アルスレグス家の魔眼で、最初から看破されていたのだな」
なんだか、1人で腕を組み頷いて納得してる、コスタおじちゃん。
ミ
その発言を私なりに読み解いてみると、グランさんの身に宿してる貴重な特殊スキルを、わからないように
「はー、どうも私はつくづく、交渉事には全く向いていないらしいな」
そう自分に言い終わると、全身鎧をカチャカチャと金属部分を擦り合わせる音を鳴らし、右手に装着した手甲越しの手の指で、短い黒髪頭を
「ところでラスレ嬢、詳しい話を聞く前に、これを何とかして欲しいんだが....」
「この私の周りに群がっている、この歪な物体達を何とかしてくれないかね」
「耳元に囁くように聞こえてくる、この小声も何とかしてほしいんだが?」
自分の周囲の空中を群れるように飛び回る|
「はい、
ラスレちゃんはHEART♡HEART♡に染めた両目の視線を、コスタおじちゃんの方に向けて、恋の吐息とあの言葉を、一緒に口から出して答えてた。
その『お父様』の言葉に反応して、アルテちゃんが張り切ってお仕事に励んでいるようで、洞窟大広間内では、更なる変化が起きちゃいそうな雰囲気が立ち込める。
今度の変化は、洞窟内大広間の天井部で、何か変化がおきる予感がする。
そんな私の予感は、直ぐに見事的中しちゃう。
高低差のある天井部分の全ての箇所に、網の目のような|
その伸びてきた茎からは、純白の光を灯す恋花が次々に咲き乱れていって、茎を覆い隠すように細かな花を咲かせた恋花のシャンデリアみたいに、天井部から次々に沢山垂れさがるように降りてきちゃう。
そして、瞬く間に天井部全体が、純白の恋光を灯した、恋花が咲き乱れる細長いシャンデリアに埋め尽くされちゃった。
純白だけじゃなくて、桃色や黄色や黄緑色の蛍光色の色合をした恋花も、天井部から所々で転々と、垂れ下がるのが視界に映ってて、それがまた、彩りを添えて美しくてこの風景に感じ入る。
天井一面に広がる恋のシャンデリアの隙間からは、2色|の透き通った
私はまたまた変化した幻想的な空間に、本当に綺麗でうっとりしてしまい....。
「──なんじゃこりゃー」って思わず叫びたくなっちゃった。
コスタおじちゃんとグランさんも、この目まぐるしく変化する風景に驚いていたようで、暫く言葉を失って、天井部分から吊り下がるように一面に広がる花の空中庭園を、感嘆の表情を浮かべて見入っていたね。
「御免、みんな、応援してくるのは、嬉しいけど、もう少し離れて応援してくれないかな?」
ラスレちゃんは、この周囲で必死に応援してた
「ありがとう、みんなの応援は、絶対に無駄にはしないよ」
そして、可愛らしいガンバの動作をみせて、気合を込めた誓いの約束をしてた。
多くの
「済まない、ラスレ嬢。正直君の余興には、かなり度肝を抜かれたぞ」
コスタおじちゃんは、
「私も最初の交渉時には、ここまでの余興をするとは、お聞きしていませんでしたので、私も本当に驚きました」
グランさんも、コスタおじちゃんの話を引き継いで、自分の正直な感想をラスレちゃんに伝えた。
「すいません。私の全ての熱い思いを、グラン様にも
ラスレちゃんは、髪の毛をかき上げながら、天使の微笑を交えて話を交わす。
どうせ、また何かを良からぬ事を考えてるんだろう。
この髪をかけ上げる仕草をすると、私の心の中では、ラスレちゃん要注意警報が発令しちゃうからね。
その要注意警報を受け取ったアルテちゃんが、『お父様』の言葉に反応して、次の
その風景は──聖なる青紫色の輝きを放つ、大人の倍ぐらいのサイズの巨大な聖水晶が、空中に浮かび漂う様に映る風景──それも魔導電灯機のように均等に整列して、数多くの聖水晶が聖なる光を放つ幻想的な風景。
それは、何も無かった空中空間にうっすらと聖水晶の輪郭が表れたと思ったら、すぐに色が
アルテちゃんなりに気を利かせたようで、ラスレちゃん達の話し合う場所にも、聖水晶製の透明な石で出来た大きな丸水晶机と、人数分の丸水晶椅子も、更に追加で出現させてたよ。
もう、聖水晶の塊まで出現させちゃうなんて、アルテちゃんもやることが、本当に半端ないね。
この聖水晶の聖光は、体力回復効果や魔力回復効果、毒素浄化効果もあるし魔物を寄せ付けない、とんでもない聖光を放つ水晶石で、すーっごく超貴重な聖宝石なんだよ。
私の住んでる地区の神殿を統括する大神殿でも、こんな大きさの聖水晶なんか、置いてないし持ってないからね。
その大きさの聖水晶が沢山空中に浮かべてるんだから、これは流石に私でも思うよ。
飛ばしすぎだよ、アルテちゃん。
今までの行動から予測すると、どうもアルテちゃんは、この空間を恋の聖域にする気、満々万太郎さんみたい。
もしかしたら、ここで2人が出会った証として、この
再び起こった神秘的な超常現象に、また驚愕の表情を浮かべ見入っていたコスタおじちゃんとグランさんだけど、次第にその表情が変わっていって、その表情のまま、ラスレちゃんに視線を移すように振り返る。
そして、2人の変化した表情──
「まさか、ここまでの力があるとは──」
コスタおじちゃんの、小さな呟き声は、私だけに伝わった。
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