第8話 お風呂で満喫?③

 話し終えた後も、ロリ笑顔を満開に咲かして顔を左右に軽く振りつつ、陽気に楽しそうにしているサラ。


 この言葉を言えば、どういう事態に自分が追いやられるのか、オロ叔父ちゃんから全く教えられていないのかなー。


 敢えて話さなかったのか、どういう意図があるのか、私には全然わからないけど、かなり冷たい冷水を浴びせられたよ。


 オロ叔父ちゃんも、こんな方法で私を脅すような姑息な攻め方、もうやめてくれないかな。


 こんな心が腐っていくような実地訓練、もう本当に止めて欲しいんだけどな。


 ──もしかして、私にもっと非情になれって暗に伝えようとしてる?


 ──それとも、私に喧嘩を売ろうとしてるのかな?


 私を怒らせたら怖いってオロ叔父ちゃんは、知ってる筈なのになー。


 まあ、今はオロ叔父ちゃんが考えがわからないから、何も判断できないよ。


 今からでも、直接オロ叔父ちゃんに聞きに行ったほうが早いや。


 もう止め止め!面倒臭いよ!撤収!撤収!!


 お遊びはもう止ーめた!!


 ──バイバイ、サラ。


 貴女がさっき喋った言葉なんだけど、その言葉で私が不快にならなければ、もっとお遊びに付き合おうと私してたんだよ。


 でもね、さっきの言葉ですっかり心が冷めちゃった──。


 その責任は、私に冷たい冷水を浴びせた、サラ自身が負う様ににするけど、別にいいよね。


 ──御免ね、サラ。許してちょうだい──。


「ねえ、サラ──」


「少しだけ教えてほしいことあるんだけど、聞いていい?」


「何ですかー、お師匠様ー」


「お風呂のお水──もしかして飲んでない?」


「飲んでみたですー」


「凄く美味しかったですー」


「お父さんからも『美味しいから1度飲んでみろ』と言われてたですー」


「この温泉水、お家に持ち帰りたいですー」


 あっそうなんだ。オロ叔父ちゃん、自慢の娘を最初から私に全部差し出す気、満々だったんだ。


 ふ──ん。それじゃあ、罪悪感も少しは減るってもんだね。


 私は自分の両眼球の水晶体に、神水を注入し擬似神眼を作り出して、サラの全身をじっくり見つめる。


 そして私は、知りたい情報を知ることができた。


 ──サラが嘘をついていない──サラは正直者だったんだね。


 私は擬似神眼を通して見つめるだけで、サラが本心で喋っていることが簡単に見抜いてしまえた。


 さらには、サラの体内に、神水が入り込み溶け込んでいるのが見え、その神水は、完全に私の支配下にあることも理解できてしまえた。


 そして、オロ叔父ちゃんも私がこれからすることをわかっていて、サラにそう仕向けているのがサラの言葉から伺え知ることができたし、それがわかってちょっと安心した。


 オロ叔父ちゃんがそう仕向けるなら、それが平錬協会の意志かもしれない。


 もう、迷わないでも、いいんじゃないかな。


 もし間違っていても、神水を取り出せばいいだけら、別にいいでしょ。


 取り出すときに、サラの精神が壊れてしまうかもしれないけど、その時は、サラの精神も新しく作り変えてあげるから安心して。


「サラ.....そのままの姿勢で眠りなさい」


 そして私は、サラに簡単な命令をした。


 すると、すぐにサラは、両目の瞼は固く締まり、体の電源が突然ショートしたように、首をカクンとうな垂れてしまう。


 その反動で、サラの頭の上にちょこんと置かれていた畳まれたタオルが、風呂場の床に落ちてしまった。


 そのままサラは、深い眠りに落ちていくのが、命令した私が一番よくわかっている。


 その眠りは──命じた私しか解けない──危険な眠り。


 使い方によっては、死よりも危険な眠りにすることも簡単に出来ちゃう。


 サラの今の状態は、私がサラの体内に取り込まれ溶け込んだ神水に命じて起こした現象。


 サラが神水を安易に飲んでしまったことで、私が念じて神水を取り除かなければ、彼女はもう一生私の影響下──つまりは私の奴隷で、その奴隷状態のまま、サラを永遠に使役することも簡単にできる。


 さらに私が望めば、自我を完全に封じ込めて人形劇の人形のように、完全使役することも容易にできてしまう。


 もう、私が望めばいつでも利用可能な駒、そして、与えた命令を絶対遵守することが強制された、一生使える便利な駒を、またこんなに簡単に手に入れてしまった。


 ───もう、掃いて捨てるほどいるから、正直もういらないんだけど。


 神水は、私が自由自在に作り出し、自由自在に操ることができる私の力の源。


 夢世界の中で女神達は、この神の力を『神能』とか『御力』って言葉で表現してたのを思い出したよ。


 私はこの神水に、念じる御力を使うだけで、この世に超常現象を容易に引き起こすことができてしまう。


 でもさー正直、私は高度な使い方をちょっと模索しようとするだけで、この神の如き御力に毎回振り回されることになるのよねー。


 もう、この神水を自由自在に操る御力さんは、かなりのじゃじゃ馬さんなんだよ。


 長時間使用しようとすると簡単には制御できないようになるしね。


 その制御できない力は、私の手から容易に零れ落ちるほどの力で、超破壊的な震災を引き起こすのも何度もあったし、もう色々やらかし過ぎて、いちいち覚えていられないほど、本当に扱いづらい強力な御力さんなんだよ。


 私はこの力を使って、自分の国をつくるとか、この力を利用して世界征服するとか、力の弱い人々を助ける為に役立てるだとか、力に魅了された人達が考えそうな馬鹿なことを仕出かそうとか、そんな面倒臭いことにこの力を使う気は、全くぜんぜん考えてもいない。


 当然そんな事の為に、御力を使う気は、さらさらのさらもないよ。


 この御力さんは、容易で気軽に何も考えずに取り扱うと、間違いなくこの私を、身の破滅にいざない導びいていく起爆剤になるのはわかっているから。


 だから、普段はなるべくその御力を、使わないようにしてるんだ。


 その御力を使わないでも良いくらいに、私は他の一般人よりも、かなり恵まれた魔法の才能を持っているから、普段はその魔法を伸ばしてやることを主軸においていたんだけどなー。


 今回は、ちょっとカチンときてしまい、思わず使っちゃった。


 ベロリのサラを持ち駒にする気は、全く考えていなくて、怖くて扱いづらそうに見えたから、全然そうする気は起きなかったけど、これもなにかの縁なのかな。


 サラをしっかり厚生させてみるのも、暇つぶしとしては、面白そうかもしれない。


「サラ、あの変な話し方を使わないで普通に話しなさい」

「───はい」


 私が命令すると無意識に返事をするサラは、夢の世界に漂っているようにフラフラと体を揺らしていた。


「ここに来た目的と、どうやって警報を鳴らさずに、ここまで侵入したのか喋ってくれる?」


「──お師匠様と仲直りして、護衛官になって、隙をみて襲いかかるつもりでした」


「──侵入方法は、私が普通に忍びの技を駆使して、全ての障害をすり抜けて来ました」


 はー、神水使って良かった──。私グッジョブ。


 ていうか、サラって忍者だったのー。何この変な生き物。


 ベロリで忍者ってある意味最強だよ。


 こんな手駒いらないけど、どうしよう。


 今度ゴミの日にでも、捨ててしまおうかな。


 いやー、昔はよく遊んだ中だし、今は絶交中だけど、流石にそれは無いな。


 あっそうそう、さっき不思議に思っていたこと、この際だから聞いてみよ。


 さっきは、サラが突然風呂場に現れたから、私が内心で、かなり狼狽うろたえてしまってから、そこまで気が全然まわらない状況だったんだ。


 でも、今は丁度私の頭の脳裏に、どうしても聞きたい疑問点があるんだよ。


 丁度いいから、この際、聞いてみちゃおう。


 それで、問題解決出来たら超嬉しいから、直ぐに実行しちゃおう。そうしよう。


 よーし、さーサラ、正直にベロリと吐きだしなさい。


「このお風呂場、かなり濃い神威の臭気が立ち込めてるの、わかるよね」


 このお風呂場は、普通の人間なら、きっと神の臭気に耐えられずに気絶するほどの、重度の神臭気が充満しているのに、サラが普通に話しているから、おかしいなと思ったんだよ。


「その中にいて、どうしてサラは普通に話せてたか、教えてちょうだい」


「──サラは、お師匠様の血から培養された──人造人間ホムンクルスです」


「──強い高揚感がありましたが、倒れる程ではなく、問題ありませんでした」


 うわー。こんなところで発見したよ──私の模造品ホムンクルス


 だから、この場にいても平気なんだ。


 あんなに一緒に遊んでいたのに、全く気づいちゃいない私は、かなりのアホの子だと平錬協会に判定されてるんだろうな。


 これこそ絶対知りたくなかった、驚愕の事実なんだけど。


 オロ叔父さんの家は、大勢の家族構成なのも今の言葉で納得できちゃった。


 私に秘密にして平錬協会が模造品ホムンクルス研究してるのは、うすうす気づいてはいたけど、もうとっくの昔に完成してたんだ。


 はー、びっくりしたー。私は、やっぱりモルモットだったよ。


 そりゃ、大切に離れの豪邸に1人で住めるはずだよ。


 オロ叔父ちゃん、この秘密を私に打ち明ける気になったってことなのかな?


「サラのような人造人間どれくらい存在しているか、わかる範囲で教えて」


「──サラのシリアルナンバーはNo621です」


「──サラが生まれてから、9年過ぎたので、それよりも多く存在しているはずです」


 なんですとーチョー凄い数いそーじゃん。どうすんのよ。いつの間にそんなにいるのよ。


 もしかして、私と喧嘩したいのかな。やだなー、私平和主義者なんだけど。


 ──この後、オロ叔父ちゃんに話を伺いにいこうと思ってたのに.......


 どう事態が推移するかわかんないから──準備だけはしておこうかな。


 私はお風呂場の天井を見上げる。


 そして、天井に向けて大きな声で話し出す。


「マリティカ様ー聞こえてますかー」


「話し聞いていましたよねー」


「ちょっと、事態がわかるまで、休戦しませんか?」


 私はお風呂場の天井に向かい、声を張り上げて叫ぶように話して聞かせ、女神に休戦を持ちかけてみた。


 マリティカ女神は絶対影でこそこそ聞いてるはずだよ。


 私にはわかる。お願い、今日はもう休戦しよう。


 風呂場には、誰からも何の返事はなかったけど、私に包まれていた神臭気は、霞みがかったように一瞬で消えちゃった。


 くっそー。私があんなに一生懸命洗っていても、全然落なかったのに一瞬で消えるとは....。


 ──やっぱり、超性格悪いな──あのエロエロ女神。


 すると、神の臭気が、また匂い始め、私の体から瞬く間に強烈な神臭気が漂い始めた。


 くっさ──。さっきより、臭うじゃん。


「うわー、嘘。嘘です──女神様──最高──綺麗──美神」


「私、マリティカ様のように、美しくなれるように日々努力しているんです」


「あっそうだ!!今度、最新魔導式のマリティカ様の神像を神殿に奉納ほうのうします」


「ですから、何卒、さきほどの戯言ざれごとはお忘れください」


「はは──」(裸体土下座でぺこり)


 私の発言に女神はほこを収めてくれたのか、またあのエロエロ臭気が一瞬にして、消え去った。


 ほー、取り敢えず危険は去ったみたい。でも、あの女神様のことだから、私の思考を読み取っていても全然不思議じゃないし可笑しくはない。


 さっさとお風呂場から離脱しよう。そうしよう。


 私は、土下座の体勢から立ち直り、風呂場から出ようとしたが、この場にもう1人取り残されている裸のベロリちゃんがいるのを思い出し、彼女の方に振り返る。


「あらーまだ、体揺すってる」


「置時計で置いとくのもなんだしなー」


 サラは、バスチェアーに座った姿勢で、頭を俯かせて振り子のように体を揺すらせていた。


「あっ!!そうだった!!そうだった!!」


 ──あっと!危ない!危ない!今、思い出したよ。


「ベロリンサラちゃんを私色に染め上げようと考えていたんだった」


 うっかり忘れるところだったよ。


 それに、他にも聞きたいことが山ほどあるんだった。


 ついさっきの事なのに、そのままど忘れて素通りしちゃうとこだったよ。


 よーし、色々聞き出しながら、私色に染め上げていこうか。


 この前、私に襲いかかって純粋な乙女の心まで犯そうとした件も、これでチャラにしてあげるから、それでいいでしょ。


 まぁ、少し前まではお互いに友達だったし、その友達だった頃のよしみで普通に生活できるようには手加減をしてあげるから、それで許してちょうだいな。


 後、色々面白そうだから、オプションも充実させて上げるからね。


「よーし!!頑張って、SPスーパーベロリちゃんを完成させちゃおう」


 あっ、そうだ!!この件を元にして、休戦中のマリティカ様に少しだけ譲歩してみようか。


 流石にお互いが険悪なままじゃ、例え休戦中だと言っていても、いざという時に積極的に御力を貸してくれないかもしれないからね。


 一応誘ってみて様子を見てみようかな。


 そう思った私は、このお風呂場には、いまだ姿を現していなかったけど、きっと私の胸の中で居座って聞いているであろうマリティカ様に向かって口を開く。


「マリティカ様も一緒にどうですか──」


「一緒に遊びませんか──」


 さー、マリティカ様には、一応誘ってみたから、しばらく様子を見てみよう。


 それでは、お待ちかねのベロリのサラちゃんのイメチェンを始めるとしましょうか。


 ベロリのサラちゃんの驚く顔が目に浮かぶよ。ウッヒッヒッヒ──。

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