09 こき使われてる盗賊



 オネエのおっさんからよく分からんアドバイスを受けた。


 シェフィを誰かに預けない方がいいとか、特に兵士は論外だと。


 何か知ってんのか?


 でも、シェフィ個人とは面識がないとも言ってたよな。


「嘘は言ってない天使に誓って」、だってさ。

 この世界で天使に誓って約束する事は、とても重い事だ。


 そんなの就職する時とか、何か大きな事をする時くらいにしか口にしない。


 裏の世界で生きてる人間の事は信用できないけど……。

 どうだろう。


 だめだ、やっぱり判断つかねぇ。

 シェフィの事については、もうちょっと保留にしとくか。


 シェフィはあたしに懐いているようだし、しばらく様子を見てみよう。

 ひょっとしたら何か思いだすかもしれないし。

 そうしたら、あたしにだってできる事があるだろう。


 というわけであたしは宿をとって、シェフィを留守番させながら、情報集めをする事にした。


 でも、あのオネエおっさん、人の事せいだいにこき使ってくれやがってな!


 路銀がつきたから、体で払う事になったのが運のツキだ。


 あたし一人だったらともかく、今はシェフィがいる。

 メシ代とか宿代を考えなしに使うわけにはいかねーし。野宿は論外。


 だから、おっさんから斡旋された仕事をちまちまこなす事にした。

 露頭で財布をすられた兄ちゃんの手伝いとか、迷子の子供探しとか。


 あのうさん臭いおっさん、盗賊のあたしに何て仕事まわしてくんだよ。


 おかげで良い評判が広まっちまったし、変な人脈ができちまったじゃねーか。


 井戸端情報網とか、チビガキ探検隊情報とか。


 そんなもん要るかっ!


 でも、一応苦労をしたかいはあった。

 ザーフィスの足取りがつかめたんだ。

 あいつはこの町にいるらしい。


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