第24話復讐の話

「あの、甲冑男を探して」

 私は、セシルに命令した。

「探してどうしたいんだ?」

 私の提案の意味をセシルは理解していなかった。

「あなたの魔術は、相手が多数には効きにくいんでしょう」

「効く」

 セシルは、プライドが傷つけられたような顔をしていた。

 どうやら、自分の魔術には自信を持っているらしい。

「でも、効果は薄くなるんでしょう」

 さっきの戦いを見ていて気が付いたのだ。

 セシルは複数に対して魔術を行使するさいに、一つ一つの威力が弱まる。幸い、さっきの一戦で相手にそれには気が付かれなかったようだ。だが、よく思い出してみればバレるかもしれない。

「……そうだ」

 セシルは認めた。

 私は、ため息をつく。

 つまり、彼は一人対多数が苦手なのだ。

 エシャを殺した異世界人は、少なくとも二組の仲間がいる。さらに、ここらへんには野良の異世界人もいるらしい。甲冑男が乱入してから、セシルのペースが乱された。おそらくだが、セシルの魔術は二人捕らえるのが限界なのだ。

 ならば、味方を増やす必要がある。

 今知っている異世界人のなかで、味方に引き込めそうなのは一人しかいない。

「無理だ」

 セシルは、そう言った。

 はっきりと言った。

「あの異世界人は、話が通じない。おそらくは、ボケてから死んだんだろう」

 セシルの言葉に、私は少し考えこむ。

「なら、彼を利用しましょう。おびき寄せることはできる?」

 私の言葉に、セシルは頷く。

「それだったら、できる。異世界人は魔力を欲するからな。お前を囮にすれば、簡単に釣れると思う」

 なら、つりましょう。

 私は、そう言った。

「釣って、どうする気なんだ?」

「そんなの決まっているでしょう」

 誰よりも先に彼を殺して、戦線を有利にするのである。

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