雨と成功

雨。


明日は、ゴルフだった。この感じだと、予定はなくなるだろう。久方振りの、何もない土日がやってくる。


必死に生きてきた。


生まれた家も親の出来も平均よりちょっと下ぐらいだったから、とにかく平均よりも上、できるなら一位をとるように頑張った。

勉強も試験も、受けられるだけ受けた。休みの日はアルバイトをして、その狭間で走ったり筋トレをしたり。


その結果の、今。


周りからは出世確実と言われている。

平日はみんなから距離を置かれ陰口を叩かれ、休日は着たくない変な服を着て出たくもないゴルフや宴会をめぐる日々。学校を飛び級で抜けたから、友達はいない。どこかで身を固める関係上、恋人も作れない。


雨音。


こんな私に、休みをくれる。恵みの雨。

雨の降る音さえも、どこか優しい。

私に陰口を言いながら普通に生きている人には、きっと分からないだろう。

好きでこうやっているわけじゃない。たまたま、生まれた家と親の育て方でこうなっただけ。私の手柄じゃない。恵まれた身体も、地位も、努力や勉強さえも、たまたま生育条件がよくなかっただけ。最低限の水で育てられたから、成功を求めるしかなかった。


本当の私は、一人でなにも決められない、愚か者。中身のない、空っぽの人間。


そんな私にも、雨は優しく降り注ぐ。この音で、私のなかに、自分が溜まっていくみたい。


雨音。


唐突に、全てが嫌になって、外に飛び出した。

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