rain fall62620

春嵐

挫折と雨

夢が、終わった。

とても写実的で、私の全てを叶えた夢だった。

夢の中で私は、嫌いな勉強を頑張り、自分に見合った大学に入った。

そして、ちゃんとした大学生活を送り、ちゃんとしたところに就職して、目標を追いかけながら日々の仕事に追われていた。

そして、目標が叶って円満退社し、晴れて自分の好きなことで生きていく。

そんな夢だった。

起きてしまえば、全てが夢だとわかる。

勉強は嫌いだからあんまり頑張れないし。ちゃんとした生活なんて、できないし。順風満帆な人生を送る人は、夢なんて見なくても、最初からちゃんと生きているはずだし。

私には、何もない。

見た目も、声も、才能も、努力も、身体能力も、夢も。全部ない。


雨。


こんなにだめな私でも、雨の音を聴いて、綺麗だな、美しい音だなと思える。

私がすごいんじゃなくて、雨がすごいんだ。

順風満帆な人生を送っている人には、分からないだろう。この雨の、挫折を冷たく突きつけながら、それでも優しく降り注ぐ、この音が。


雨音。


今日は外に出て、雨に打たれようか。

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