第48話
宿屋の戸を開けるとそこに仁王立ちしているベルカがいた。シバはなにやら禍々しいオーラを感じた気がした。
「えっとぉー、」
「はい?」
表情を変えず笑顔のままベルカが尋ねる。
「ただいま帰宅しました、」
「それは見たらわかりますよ、もう少し早く帰ってきても良かったと思いますが?」
ベルカはにっこりと笑みを浮かべたままだ。
「えー、それはもうほんとに申し訳ないと思ってます、はい、」
(いやでも別にそんなに遅すぎるってわけでもないんだけどな、)
「おっ、少年帰って来たのかー、ベルカは怒らせると怖いよー、」
二階からマーニが降りてきた、次いでアイとエイミーもそろって降りてきた。
「シバ、あんた遅いわよ!」
「、、、おかえりなさい、シバ。」
「あれ?エイミーちゃん少年がいなくて寂しかったの?いい加減照れ隠しでツンツンするのやめなよー」
「はっ!?そんなんじゃないですからっ!別にシバがいなくたってなんともありませんから!そういうマーニさんやアイだってシバがいなくて寂しかったんじゃないんですか?」
相変わらずマーニはエイミーにちょっかいをかける。これにはまた始まったよと言わんばかりにシバは困った顔をアイに向けた。アイもその視線に気が付くと眠たそうな目を向けて肩をすくめた。
「私は少年が帰ってきてうれしかったけどなぁ、」
「、、、私も、弟の帰りを待っていた。」
「ってことは、エイミーちゃんは別に少年に会いたかったってわけじゃないみたいだし今晩少年の隣で寝る権利はなしだね、」
「、、、私とマーニの一騎打ち。」
また勝手に話が進んでいて当の本人であるシバはあきれ返っていた。
「はあ!何よそれ!私だって、、ていうかこの歳にまでなって弟と寝るって恥ずかしくないのー?」
エイミーが逆にアイに反論した。若干得意げなのが癪に障るとでも言うようにアイは口をとがらせながら言い返す。
「、、、義弟だから問題ない。」
「でもあんたたち血が繋がってるんじゃないの~?」
シバの体にはアイの血液が輸血されたため血が繋がっているとも言えるのだろうがかなり昔のことなので何とも言えないところなのだが。
「、、、別に家族が一緒に寝てはいけないということはない。むしろ家族でも恋人でもないあなたが一緒に寝ていということの方が問題。」
「えっ!?それ言ったらマーニさんだって、、」
「誰とも寝ないし、こいつも起きちまうからその辺でやめだ、」
このままだとまた色々めんどくさくなりそうだったのでシバが割って入った。するとエイミーがシバに背負われているアデルフィーに気が付いた。
「ちょっと、なによその子、」
アイやマーニの視線がシバの背中の銀髪のゴスロリ少女に集まった。
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