第40話

 これで完全に死んだと思ったシバであったが破壊された中心核がほのかに光を放っているのを見つけた。


「いやぁ、まさかここまでやるとは思いませんでしたよぉ、シバ・イクディキシ君、」


 砕けた中心核から気味の悪いレオポルドの声が聞こえた。

 

「おやぁ?もしかしてどうして私の声が聞こえるのか気になってるんですかぁ?君が殺したのは私のクローンだからですよぉ。自我を持ち合わせていますから彼の言葉は彼自身のものですが本体の私と意識はつながっているんですよぉ。だから先ほどまでの出来事はすべて知っていますよぉ」


「ん?なぜわざわざクローンを使っているかですかぁ?本人の私がいちいち買い取らせた奴隷の視察なんてするわけないじゃないですかぁ、面倒ですしぃ」

 

 この場に実体のないレオポルドは聞いてもいないことをすらすらと言った。

 

「まぁ、今回はいいデータも取れましたし引くことにしますぅ、またお会いすることになりますよぉ、次はおてやわらk、、」


グチャリ、、


 レオポルドが話している途中でシバは光を放つ中心核を踏みつぶし完全にクローンを殺した。


 シバは何とも言えない虚無感に襲われていた。ドロドロと溶けたクローンの肉片は消え地面に黒ずんだ染みができている。足元に残る核を破壊した時の感触が取れず鮮明に残る。大の字になって背中から倒れ空を見上げる。いつの間にか空は赤みを帯び始め夜が明けそうだ。自然と瞼が降りシバは眠りに落ちた。



 一方、マーニはシバのもとへ向かっていた。普段冒険者として活動し魔法兵たちの信頼を獲得していたので説明はあっさりと信じてもらえた。


 一通り説明を終えたマーニはレオポルドの飛んで行った方に向かった。だがほどなくして大きな魔力のぶつかり合いを感じた。ぶつかり合う衝撃が激しくビリビリと伝わってくる。その衝撃の正体が赤黒い魔力が渦巻く巨大な魔弾と燃え盛る火焔の大剣のぶつかり合いであると分かるのは路地裏を飛び立ってからすぐのことだった。

 

「こ、これは!?」

 

 魔弾と大剣は拮抗し互いに譲らなかった。しかし、シバが禍々しい黒いオーラを纏うと戦況は一変した。赤黒く巨大でまるで隕石のような魔弾は周囲に稲妻状にエネルギーを放出するように禍々しさを増していった。やがて大剣は押されオーラも崩れレオポルドは飲み込まれた。

 

「ま、まさか、ここまでとはね、」

 

 マーニはシバの攻撃が予想以上にすごかったことに驚きを隠せずに若干顔が引きつっていた。それからはレオポルドの再生やシバの潜在魔力に驚かされた。


 シバがあおむけに倒れた時には焦ったがただ眠っているだけだと分かりホッとした。

 

「まったく、君は本当にすごいよ、昔から君には驚かされてばっかりだよ、」

 

 眠るシバの肩に腕を回し呟いた。



 

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